ココイルグルタミン酸Kとは?効果・効能や安全性について解説

ココイルグルタミン酸Kとは?効果・効能や安全性について解説

近年の化粧品成分としてはほとんど使用されることがありませんが、起泡・洗浄効果が求められるシャンプーなどの配合成分の一つとして「ココイルグルタミン酸K」が使われることがあります。これは、ヤシ油から採取できる陰イオン界面活性剤です。
界面活性剤の中には、使用することによって皮膚にダメージを与える可能性があるものもあります。とくに赤ちゃんに対してそのような刺激物を使用することは問題ですので、ココイルグルタミン酸Kの安全性について、効果や効能と併せて詳しく知っておきましょう。

ココイルグルタミン酸Kとは

ココイルグルタミン酸Kとは、ヤシ油から抽出する脂肪酸の塩化物と、酸性アミノ酸のグルタミン酸を縮合して得られるカリウム塩です。陰イオン界面活性剤として用いられており、医薬部外品として使用される場合の名称は「N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム」です。

ココイルグルタミン酸Kに含まれるヤシ油の脂肪酸配合比率は、ラウリン酸が50%を上回っており、次いでミリスチン酸、パルミチン酸、カプリン酸が高比率で配合されます。この効果については後述しますが、洗浄作用をもたらす上で魅力的です。
また、ココイルグルタミン酸Kの生分解率は90%以上とされています。生分解率は、60%以上のものが易分解性として扱われることが一般的です。易分解性の成分は、地球環境に悪影響を及ぼす心配がないため、家庭の浴室などから安心して排出できます。

ココイルグルタミン酸K

ココイルグルタミン酸Kはどんな化粧品に含まれている?

ココイルグルタミン酸Kが含まれる化粧品は、石鹸やボディソープ、ハンドソープ、シャンプー、リンスといった製品です。このように、使用後はすぐに洗い流すタイプの製品のことを「リンスオフ製品」と呼びますが、ココイルグルタミン酸Kは原則としてリンスオフ製品以外には使用されません。
また、ココイルグルタミン酸Kが配合されている製品そのものが非常に少なくなっています。2012年から2013年にかけて行われた配合状況調査では、ココイルグルタミン酸Kを含む化粧品の数は合計で6商品とされており、赤ちゃん用の商品には一つも含まれていませんでした。

ココイルグルタミン酸Kが配合される化粧品

ココイルグルタミン酸Kの効果・効能

ココイルグルタミン酸Kは陰イオン界面活性剤であり、このタイプの界面活性剤は毛髪に対する親和性が高いことが特徴です。軟水だけでなく硬水においても起泡性を発揮することから、シャンプーなどの製品に多用されています。ココイルグルタミン酸Kの効果と効能についてより詳しく見ていきましょう。

洗浄力と起泡性が高い

ココイルグルタミン酸Kの主成分となっているのは、洗浄力と起泡性に長けたラウリン酸です。ラウリン酸の配合比率は原料となるヤシの個体によって変動しますが、一般的には50%以上となることから、本成分において重要な役割を果たすことは間違いありません。
ココイルグルタミン酸Kが持つ「水に溶けやすい」という効果に、ラウリン酸が持つ洗浄力と起泡性が合わさることにより、極めて高い洗浄効果に期待できます。泡の性質も「柔らかく、泡切れが良い」と評価されることが多く、テクスチャーの良さもココイルグルタミン酸Kが持つ魅力の一つです。

水に溶けやすく高い洗浄効果に期待できる

その他の成分が泡持続性を強めている

洗浄効果と起泡効果の両方に秀でているココイルグルタミン酸Kですが、発生させた泡を長時間キープさせられないという難点を持っています。この状態では髪の毛や皮膚になじみにくく、せっかくのポテンシャルを生かすことができません。
しかしココイルグルタミン酸Kには、泡持続性が高いことで知られるミリスチン酸、パルミチン酸といった成分も高濃度で配合されています。ラウリン酸の欠点を補うことにより相乗効果を発揮しますので、ココイルグルタミン酸Kを含む洗浄製品には品質の高さを期待できるのです。

その他の成分を配合することで泡持続性を強めている

ココイルグルタミン酸Kの安全性

安全性を把握することも大切なポイントです。ココイルグルタミン酸Kは1973年頃から使われている成分であり、現在までに大きなトラブルを起こした経歴はありません。そのため安全性は高いと見ることもできますが、その他の要素からもより細かく調査してみましょう。

皮膚刺激性や眼刺激性に関する客観的なデータはない

化粧品成分が安全に使用できるものかそうでないかを結論付けるために、ヒト試験や動物試験で盛んに研究が行われます。しかしココイルグルタミン酸Kに関しては、皮膚刺激性やアレルギー性、眼刺激性などに関する研究が全くと言っていいほど進んでいません。
数十年という使用歴の中で、事故を起こしていないという事実に依存して「安全」と評価せざるを得ないというのが実情です。同様の陰イオン界面活性剤には深く研究が進んだ成分も多く、最近の化粧品には、そういった成分が優先的に採用されています。

医薬部外品原料規格2006に収載されている

具体的なヒト試験によるデータはありませんが、科学的な検証により安全性が実証されていることも事実です。その根拠の一つが外原規2006規格を満たす成分だけが収載される医薬部外品原料規格2006に収載されていることです。ココイルグルタミン酸Kは、厚労省から安全性が認められています。

ココイルグルタミン酸Kを使用する際の注意点

過去の実績から、ココイルグルタミン酸Kを安全な成分と見なしていいことは間違いありません。一方で主成分となるラウリン酸は、50%以上の濃度で使用すると皮膚刺激性のある成分です。ラウリン酸の配合比率と濃度を確認し、安全な範囲内の製品を購入するとより安心と言えます。

まとめ

ココイルグルタミン酸Kは、ヤシ油から抽出できる陰イオン界面活性剤です。強い洗浄力と揮発力、泡持続性を持つことが特徴で、主にシャンプーなどに使用されています。
本成分の使用実績は豊富で、事故を起こした経歴がなく、外原規2006の企画も満たす安全な成分です。ヒト試験こそ行われていませんが、赤ちゃんでも安心できる成分として評価できます。