ラウラミドプロピルベタインとは?効果・効能や安全性について解説
目次
- ・ラウラミドプロピルベタインとは
- ・ラウラミドプロピルベタインはどんな化粧品に含まれている?
- ・ラウラミドプロピルベタインの効果・効能
- ・ラウラミドプロピルベタインの安全性
- ・ラウラミドプロピルベタインを使用する際の注意点
- ・まとめ
コンディショニング作用を持つ両性界面活性剤のラウラミドプロピルベタインは、シャンプーやコンディショナーをはじめとするリンスオフ製品に含まれることがある成分です。主に入浴中などに赤ちゃんの肌に触れる可能性も考えられるので、安全性が気がかりな方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ラウラミドプロピルベタインの安全性をご紹介すると共に、成分が持つ作用や効果・効能を詳しく解説します。毒性の有無、皮膚刺激などの問題が起きる可能性の有無など、成分の詳細について確認しておきましょう。
ラウラミドプロピルベタインとは
ラウラミドプロピルベタインは、高級脂肪酸であるラウリン酸と、脂肪酸のアミドアミンを合成して得られる両性界面活性剤です。医薬部外品として使われる場合には、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液Mという名称が使われますが、いずれも成分の内容は変わりません。
両性界面活性剤の特徴として、pH値の変動によってイオン性も変化します。ラウラミドプロピルベタインに関しては一般的な両性界面活性剤と違い、塩基性領域では両性界面活性剤を維持し、酸性領域において陽イオン界面活性剤となることが特徴的です。
ラウラミドプロピルベタインはどんな化粧品に含まれている?
ラウラミドプロピルベタインは、リンスオフ製品(洗い流すタイプの化粧品)で使われるケースが圧倒的多数を占めます。後述するようなヘアコンディショニング作用も備えることから、シャンプーやコンディショナーなどのヘアケア製品で使われることが目立つ成分です。
2010年に海外で行われた調査では、ラウラミドプロピルベタインが配合された化粧品は全部で227種類であり、そのうちの218種類をリンスオフ製品が占めていました。赤ちゃん用化粧品における使用例はないものの、入浴中の赤ちゃんが成分に触れる可能性はあり、安全性について配慮すべきです。
ラウラミドプロピルベタインの効果・効能
ラウラミドプロピルベタインが持つ効果・効能は、陰イオン界面活性剤と併用することによって獲得できる起泡・洗浄効果や、その他のイオンによる刺激緩和や可溶化、ヘアコンディショニング作用などを挙げられます。それぞれの項目を具体的に確認してみましょう。
ラウラミドプロピルベタイン単体でも起泡性・洗浄性を持ちますが、陰イオン界面活性剤と併用することでその効果を高められます。陰イオンがとくにテクスチャーに与える影響は大きく、フワフワとした大きな泡を作れるようになることから、製品の完成度を大幅に向上させることが可能です。
陽イオン界面活性剤の中には、そのままでは水に溶けず、製品化を進めることのできない優秀な成分が存在します。これを水に溶かす、すなわち可溶化させる効果がラウラミドプロピルベタインに備わっており、クオリティの高い洗浄製品を作りやすくするためのアシスト役として働くことがあるのです。
一例として、ラウリル硫酸Naなどの成分は強陰イオン界面活性剤として分類され、中度以上の肌刺激性を持つ場合があります。このような成分にラウラミドプロピルベタインを添加することで成分の吸着量を抑えられ、皮膚や毛髪などへの刺激を緩和させることが可能です。
シリコーンや油性成分を吸収して、コンディショニング作用を発揮する成分に「コアセルベート」というものがあります。これを産生するために必要な成分が、両性界面活性剤です。両性界面活性剤であるラウラミドプロピルベタインをその他の成分と組み合わせることで、ヘアコンディショニング作用を発揮します。
ラウラミドプロピルベタインの安全性
ラウラミドプロピルベタインは、これまでに30年以上にわたって我々の生活に溶け込んでいた成分です。皮膚や人体そのものに致命的なダメージを与えたという報告例は見当たらない成分ではありますが、その他の角度からもラウラミドプロピルベタインの安全性を確認してみます。
医薬部外品の原料として配合が認められた成分の一部は、医薬部外品原料規格2006に収載されます。これは厚生労働省によって認められた成分という証でもあり、国の直属機関による認定を受けているとも言い換えられるため、安全性が高いと判断できます。
皮膚刺激性やアレルギー性については、ヒト試験によって研究が進められています。この結果、皮膚刺激やアレルギーは認められないと結論付けられており、これも安心材料の一つです。赤ちゃんが使用したとしても、この結果が覆る可能性はまずありません。
ラウラミドプロピルベタインを使用する際の注意点
ヒト試験によって肌刺激性がないことは確認されていますが、これはラウラミドプロピルベタインの濃度が0.07%以下という前提条件で行われた研究結果です。それ以上の濃度でラウラミドプロピルベタインが使われる場合の安全性は不透明です。
また、眼刺激性に関してはヒト試験などによる研究がまだ行われていません。これまでの使用実績から、特に大きな問題が起こるとは考えられませんが、データ量としては不十分であり、確証を持って安全性が高いと言い切ることができません。
まとめ
ラウラミドプロピルベタインは、両性界面活性剤としてシャンプーやコンディショナーなどの成分として採用されています。起泡性や洗浄性の高さが認められるだけではなく、その他のイオンとの相乗効果を持ち、可溶化や刺激の緩和といった作用をもたらすことが特徴的です。
外原規2006の基準をクリアしていることや、30年以上にわたる使用歴を持つことから安全性が高い成分と結論付けられます。ただし眼刺激性に関しては、ヒト試験などによる有効な実験が現在までに行われておらず、安全性が不透明です。使用する際の注意点として覚えておきましょう。