ラウロイルアスパラギン酸Naとは?効果・効能や安全性について解説

ラウロイルアスパラギン酸Naとは?効果・効能や安全性について解説

起泡性や洗浄性を持つラウロイルアスパラギン酸Naは、シャンプーやコンディショナー、ボディソープの質感と機能性を高めるために使われる成分です。現代の日本ではあまり頻繁に配合されることがなくなりましたが、成分の一部が目に入る可能性もありますので、安全性を正しく把握する必要があります。
今回は、ラウロイルアスパラギン酸Naがどのような効果・効能をもたらしているのか、成分の基本についてご紹介します。その上で安全性や毒性についても解説し、赤ちゃんが使用しても問題のない成分かどうかについて詳しくお伝えしましょう。

ラウロイルアスパラギン酸Naとは

ラウロイルアスパラギン酸Naとは、高級脂肪酸の一種であるラウリン酸の塩化物と、炭酸アルミ酸のアスパラギン酸を縮合して得られるナトリウム塩です。陰イオン界面活性剤として使用され、医薬部外品として使われる際には「N-ラウロイル-L-アスパラギン酸ナトリウム液」と表示されます。
本成分は一般的に洗浄液として用いられることから、排水溝など通じて排出されます。この際に環境への悪影響についても考慮する必要がありますが、ラウロイルアスパラギン酸Naは生分解性が60%以上とされており、環境に対して大きな悪影響を与える心配がありません。

ラウロイルアスパラギン酸Na

ラウロイルアスパラギン酸Naはどんな化粧品に含まれている?

効果・効能の欄で詳細をお伝えしますが、ラウロイルアスパラギン酸Naには洗浄効果起泡効果(成分を泡立てる作用)が備わっているため、洗浄に関連する製品に使われることが一般的です。代表的なものとしてはシャンプーやコンディショナーが挙げられます。
ただし、現在はあまり多くの製品に採用されておらず、成分一覧からラウロイルアスパラギン酸Naという名前を見つける機会は少なくなっています。赤ちゃん用シャンプーなどに使われる回数も相対的に減っており、2012年頃の調査においては、リンスオフ製品への使用例が1例も確認されませんでした。

2012年頃の調査でリンスオフ製品への使用例は確認されていない

ラウロイルアスパラギン酸Naの効果・効能

先ほどお伝えしたように、ラウロイルアスパラギン酸Naから期待できる主な効果は、洗浄・起泡という2つの効果です。成分を泡立たせる能力と洗浄性を兼ね備えていることが特徴であるため、シャンプーなどに使用されることがあります。
一般論として、アミノ酸系陰イオン界面活性剤には、シャンプーやコンディショナーとして使用した際に「ぬめり」が残りやすいという欠点があります。スムーズに泡立ちさせられないことも難点の一つですが、アスパラギン酸Naは酸性アミノ酸が原料であるにも関わらず、そのような欠点を持ちません。
国内大手メーカーが界面活性剤の起泡力とすすぎ性を調査した際には、ラウロイルアスパラギン酸Naの起泡力が「60」、すすぎ性は「15」と数値化されています。これはアシルグルタミン塩酸のラウロイルグルタミン酸Naの起泡力「30」、すすぎ性「3」を大幅に上回る数値です。
一方で、別のメーカーが行った弱酸性領域という区分けによる実験結果においては、ラウロイルアスパラギン酸Naの起泡力はアミノ酸系界面活性剤としてごく平均的という評価が下されています。実用性という面ではとくに優位性を発揮できないため、頻繁に化粧品材料として採用されなくなったものと考えられます。

洗浄・起泡の効果があるが優位性を発揮できないため化粧品として採用されなくなった

ラウロイルアスパラギン酸Naの安全性

続いて、ラウロイルアスパラギン酸Naの安全性について細かく調査してみます。まず、本成分の安全性を示す材料として、外原規2006規格を満たしていることと、20年以上にわたり広く愛用されていることが挙げられます。懸念点も交えながら、より詳しく評価してみましょう。

外原規2006規格を満たし、事故なく運用されている

ラウロイルアスパラギン酸Naは、外原規2006規格の基準をクリアした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されています。これは厚生労働省による一部管理を受けている規格であることから、国によって安全性が認められていると考えられるポイントです。
また、20年以上に及ぶ使用実績の中で、これまでに大きなトラブルを引き起こした経験がありません。皮膚刺激やアレルギーに関する報告、訴訟に関連する問題などが一切なく、多くの人が安全に利用できている成分であることがわかります。

外原規2006規格を満たし事故なく運用されている

皮膚刺激性に関する問題も見当たらない

皮膚刺激性に関するテストとしては、動物試験が行われています。モルモットに対して30%濃度のラウロイルアスパラギン酸Naを塗布する実験を行ったところ、無刺激である旨が報告されたほか、アレルギーを引き起こすこともありませんでした。
眼刺激性についても動物試験が行われ、4%濃度のラウロイルアスパラギン酸Naを投与した結果、最小の眼刺激性があることが判明しています。少なくともこの濃度までの成分量であれば、目に入ったとしても後遺障害などは残らず、軽度なかゆみや充血程度で症状が収束するレベルです。

皮膚刺激性に関する問題も見当たらない

ラウロイルアスパラギン酸Naを使用する際の注意点

市販化されている程度の成分濃度のラウロイルアスパラギン酸Naであれば、赤ちゃんを含めたすべての人間が安全に使用できる成分として評価できます。ただし、前述した動物試験は、すべて一定の濃度以下のラウロイルアスパラギン酸Naを使って行われています。
皮膚刺激性を例に取ると、仮に30%を超える濃度のラウロイルアスパラギン酸Naを使用した場合には、どのような結果が生じるのか未知数です。過度な心配は不要ですが、使用前には念のために成分の濃度を調べておくとよいでしょう。

使用前には念のために成分の濃度を調べておくとよい

まとめ

ラウロイルアスパラギン酸Naは、陰イオン界面活性剤の一種であり、洗浄力と起泡力を持つことが知られています。この特性を生かしてシャンプーなどの成分に用いられることがありますが、現代の生活の中で本成分を見かけることは稀です。
外原規2006規格をクリアしていること、20年の使用実績で事故を起こしていないことから、安全性は高いと判断できます。ただし動物試験は本成分を一定の濃度以下に抑えて実施しているため、使用前には念のために成分濃度を確認することがおすすめです。