デシルグルコシドとは?効果・効能や安全性について解説

デシルグルコシドとは?効果・効能や安全性について解説

起泡・洗浄能力を引き出す成分として、シャンプーなどに多く含まれる成分がデシルグルコシドです。これは赤ちゃん向けの製品に使用されることもある成分なので、配合成分を気にしながら購入されるママ・パパの中には、名前に見覚えがあるという方もいるかもしれません。
短時間といえども肌に直接つけて使う製品なので、皮膚刺激性がないか、安全に使えるかといった点は気がかりになります。そこで今回は、デシルグルコシドの安全性をさまざまな角度から分析し、効果や効能の詳細と併せて解説していきます。

デシルグルコシドとは

高級アルコールの一種であるデシルアルコールと、グルコースオリゴマーのエーテル化物のことをデシルグルコシドと言います。これは多価アルコール型のアルキルグリコシドとして分類される界面活性剤です。医薬部外品としては、アルキル(8~16)グルコシドという名称で使われています。

2011年の調査によると、合計492種類の製品にデシルグルコシドが成分の一つとして配合されていたことがわかっています。大半がリンスオフ製品(洗い流すタイプの化粧品)に使われていることが特徴的であり、赤ちゃん用の製品にも合計25製品に配合されていました。

デシルグルコシドの大半がリンスオフ製品の使われている

デシルグルコシドはどんな化粧品に含まれている?

デシルグルコシドには起泡性と洗浄能力があります。起泡性とは、製品に含まれる成分を泡立たせるための性質であり、この有無は洗浄製品を作る上で非常に重要なポイントです。洗浄性能は言わずもがな、シャンプーやボディソープなどに利用された際、汚れを落とす力が強いことを意味しています。
デシルグルコシドはこのような特徴を有しているため、シャンプーやボディソープ、ハンドソープなどの成分として使われることが目立つという点が特徴です。その他の化粧品としては、クレンジング製品や洗顔料などに用いられることも珍しくありません。

起泡性と洗浄能力がありシャンプー、ボディソープ、ハンドソープなどの成分として使われる

デシルグルコシドの効果・効能

デシルグルコシドの効果・効能は極めてシンプルであり、起泡性と洗浄性能の高さです。いずれもクオリティの高い洗浄製品を製造するためには不可欠な要素であることから、多くのアイテムでデシルグルコシドが採用されています。
界面活性剤にはいくつものタイプがあり、デシルグルコシドは、どちらかと言えば泡立ちにくく流れにくい非イオン界面活性剤に分類されています。しかしこのタイプの界面活性剤としては珍しく、すすぎやすいテクスチャーを持ちながら、優れた洗浄性能を発揮することがデシルグルコシドの特徴です。
高級脂肪酸に非アルカリ金属が混ぜられた「金属セッケン」を分散させる能力も持ち合わせており、軟水のみならず硬水においても洗浄性能を働かせることができます。これは陰イオン界面活性剤と同じか、それ以上の性能と評価でき、これが多くの製品に使われる要因になっているのです。

すすぎやすいテクスチャーを持ちながら優れた洗浄性能を発揮する

デシルグルコシドの安全性

デシルグルコシドの安全性を評価する上で最初にお伝えできるのは、10年以上にわたって事故なく使用されてきたという実績です。シャンプーなどの地肌に密着させる製品の成分として長く使われてきましたが、これまでに重篤なトラブルの報告例はありません。その他のポイントも解説します。

外原規2006規格を満たしている

デシルグルコシドは、医薬部外品としての使用が認められている成分が収載される「医薬部外品原料規格2006」に収載されている成分です。厚生労働省が定めた安全性の基準をクリアする成分であることから、赤ちゃんでも問題なく使用できる成分と判断できます。

外原規2006規格を満たし赤ちゃんで使用できる

皮膚刺激性について最小限という試験結果が出ている

皮膚刺激性については、有効なデータとして確認できる分だけでも、合計6回のヒト試験が実施されています。この結果として被験者に皮膚刺激が現れたケースはごく少数であり、症状が現れたいずれの被験者も、ごく軽微な刺激異常に皮膚へのダメージが派生することはありませんでした。
同様にアレルギー反応についても、ヒト試験における問題点は見当たりません。眼刺激性に関しても、インビトロ試験(人体構造を再現した試験管を使う実験)でわずかな刺激が確認されたケースはあるものの、後遺障害を残すような重大な問題点は見られませんでした。

皮膚刺激性について最小限という試験結果

タンパク質の変性などが起こらない

人間の皮膚や毛髪はタンパク質で作られているので、洗浄目的で使用される成分にタンパク質変性を起こす特性が備わっていると、肌にダメージを与えてしまうことがあります。国内大手メーカーがこれについて研究しており、デシルグルコシドについてはタンパク質変性が見られないと結論付けられました。
また、皮膚にあるアミノ酸や資質が溶け出してしまうと、皮膚が必要とするバリア機能を低下させてしまうことになります。ラウリル硫酸Naに代表されるAS系成分は、人体が本来必要としている成分を分解し、溶かしてしまう恐れがあると指摘される成分です。
デシルグルコシドにおいても、アミノ酸や脂質溶出の有無について大手メーカーによる実験が行われましたが、ネガティブな反応は見られませんでした。皮膚への吸着性もなく、簡単に洗い流して成分を取り除けることもメリットです。

皮膚への吸着性もなく洗い流して成分を取り除ける

デシルグルコシドを使用する際の注意点

デシルグルコシドに関する特筆すべき注意点はありません。強い眼刺激性はありませんが、一般的な界面活性剤と同じように、シャンプーなどを洗い流す際に目の中に入らないように注意していれば、それ以上に警戒すべき問題点はないでしょう。

まとめ

デシルグルコシドは、起泡力と洗浄性能が優れた非イオン界面活性剤です。陰イオン界面活性剤と比較して遜色なく、それ以上の性能を発揮することもあるため、赤ちゃん用を含むリンスオフ製品の多くに配合されています。
外原規2006規格をクリアしているほか、10年以上の使用歴の中でトラブルを起こした事例はありません。ヒト試験などによる結果もポジティブであり、赤ちゃんでも安心して使用できる成分として評価できます。