メチルイソチアゾリノンとは?効果・効能や安全性について解説

メチルイソチアゾリノンとは?効果・効能や安全性について解説

メチルイソチアゾリノンは防腐剤として、さらに抗菌作用に期待して使われることが多い成分です。2014年に関連する成分が欧州で使用禁止になって以降、メチルイソチアゾリノンは使用される製品数は減少傾向に転じていますが、現在も変わらずに使用されることがあります。
メチルイソチアゾリノンは具体的にどのような製品に使用され、どんな効果を発揮しているのでしょうか。とくに赤ちゃんを育てている最中のご家庭の場合、成分の安全性も気になるところです。そこで今回は、成分の特徴や安全性を深掘りし、詳しくご紹介します。

メチルイソチアゾリノンとは

メチルイソチアゾリノンは、複素環式化合物の一つである「イソチアゾリノン」の誘導体です。いわゆる「イソチアゾリノン系」と呼ばれる誘導体の一つであり、主に防腐剤として使用されます。化粧品成分としては1970年頃から継続して使われている、長い歴史を持つ成分です。
2014年、欧州委員会によって、メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの混合液や、メチルクロロイソチアゾリノンの一部使用禁止などの措置が取られました。これはメチルイソチアゾリノン単体とは無関係ですが、この煽りを受けて、イソチアゾリノン系誘導体が化粧品に使われる機会は減少しています。

メチルイソチアゾリノン

メチルイソチアゾリノンはどんな化粧品に含まれている?

メチルイソチアゾリノンは防腐・抗菌効果に期待して使われる成分です。シャンプーやコンディショナーといったリンスオフ製品に広く活用されてきましたが、近年では付けっぱなしにするリーブオン製品に用いられる機会が増えており、2014年の調査では2007年と比較して両タイプの比率が逆転しています。
前述したように、2014年に欧州委員会によって取り決められた制約により、イソチアゾリノン系誘導体そのものが化粧品成分として使用される機会そのものが減少しました。しかしメチルイソチアゾリノンそのものには危険性がなく、現在も国内外に流通する一部の化粧品に本成分が使用されています。

メチルイソチアゾリノンが配合される化粧品

メチルイソチアゾリノンの効果・効能

メチルイソチアゾリノンには、防腐・抗菌という二つの効果が備わっています。どのような菌に対して作用するのかについては、インビトロ試験(人体を模した試験管を使用するテスト)による研究結果が出ていますので、この数値を軸にして解説していきます。

さまざまな細菌に対する抗菌効果が備わっている

2004年に実施された抗菌活性検証の結果、メチルイソチアゾリノンにはさまざまな細菌に対する抗菌効果が備わっていることがわかりました。これにより、メチルイソチアゾリノン単体で防腐・抗菌効果を備えられることが判明しています。
具体的にはグラム陽性球菌、グラム陰性桿菌、カビ、酵母という4つのジャンルに対する抗菌効果が認められました。この中には黄色ブドウ球菌や大腸菌のほか、パラベンでは対応することができない緑膿菌といった微生物が含まれていることも特徴的です。

さまざまな細菌に対する抗菌効果が備わっている

メチルクロロイソチアゾリノンとの混合液で使用されると相乗効果に期待できる

併用される頻度は減りましたが、メチルイソチアゾリノンは、メチルクロロイソチアゾリノンとの混合液として使用される場合に相乗効果に期待できます。抗菌剤としてカバーできる範囲が広がり、チフス菌や出芽酵母といった細菌に対しても対処できるようになるのです。
しかも、抗菌活性が飛躍的に伸びます。たとえば黄色ブドウ球菌に対しては5倍、緑膿菌は7倍、コウジカビに至っては200倍という抗菌活性を持たせることができます。この点がメチルイソチアゾリノンにおける大きな特徴です。
混合液に関しては、変異性が認められるという一部研究結果が話題を集めたこともありました。しかしマウスによる実験を行ったところ、発がん性については否定されています。メチルイソチアゾリノン単体では数回に及ぶ変異原性試験で陰性を出しており、発がん性は認められません。

メチルクロロイソチアゾリノンとの混合液で使用されると相乗効果に期待できる

メチルイソチアゾリノンの安全性

メチルイソチアゾリノンは、これまでに10年以上にわたって使用を続けられてきたという実績があります。関連する成分の使用はヨーロッパにおいて一部禁じられていますが、メチルイソチアゾリノン単体に対する規制はかかっておらず、現在も多くの成分に配合されているという事実もあります。
日本国内ではあまり流通していない成分であることも一因ではありますが、厚生労働省による安全性の確認が行われておらず、外原規2006などの規格をクリアすることはできていません。この点は気がかりになりますが、ヒト試験による皮膚刺激性検査なども実施されており、結果は良好です。

日本国内ではあまり流通していない成分である

化粧品配合上限濃度以下では強い刺激性が認められない

ヒト試験により、化粧品として使用される上限濃度以下のメチルイソチアゾリノンを用いたテストが行われています。この結果、皮膚刺激性と眼刺激性という二点において、軽度以上の刺激は確認されておらず、強い刺激が加わる可能性はほぼありません。
皮膚感作性、あるいは光毒性といった点においても同様で、基準値以下で使用される場合に重度な問題点は見当たりませんでした。メチルイソチアゾリノンによってアレルギーを発症したという症例はなく、ヒト試験においても有毒性は認められないため、安全な成分と判断できます。

化粧品配合上限濃度以下では強い刺激性が認められない

メチルイソチアゾリノンを使用する際の注意点

メチルイソチアゾリノンは、厳格に最大配合量が定められています。100gあたり0,01gというのが本成分を配合できる最大量で、しかも使用できるのは「粘膜に使用せず、洗い流すタイプの化粧品」のみです。一般的に流通している製品なら問題ありませんが、念のために配合量が超過していないか確認しましょう。

念のために配合量が超過していないか確認する

まとめ

メチルイソチアゾリノンは、主にヨーロッパにおいて防腐剤として使用されている成分です。化粧品に配合されることもありますが、この際には厳格に配合上限が定められており、安全に管理された上で商品化されています。
過去10年にわたる歴史の中で、重篤なアレルギーや皮膚刺激を引き起こした事例はありません。メチルクロロイソチアゾリノンとの混合液に関しては、発がん性が疑われた時期もありましたが、試験によって完全に否定されており、安全な成分として位置付けることができます。