ラウレス硫酸Naとは?効果・効能や安全性について解説

ラウレス硫酸Naとは?効果・効能や安全性について解説

シャンプーをはじめとするヘアケア製品やクレンジング剤、保湿化粧品などに多用される成分に「ラウレス硫酸Na」というものがあります。これは非常にメジャーな成分であり、赤ちゃん用シャンプーなどに配合されることが多く、なおかつ配合商品が近年増加傾向にある成分です。
そこで気になるのが、ラウレス硫酸Naの安全性です。本成分が配合されたシャンプーを使う場合、成分が目の中に入る危険性もありますが、赤ちゃんへの影響は認められるのでしょうか。ラウレス硫酸Naが持つ効果・効能と共に、詳しく解説します。

ラウレス硫酸Naとは

ラウレス硫酸Naとは、高級アルコールの一種であるラウリルアルコールに酸化エチレンを加え、その一部を硫酸化させた陰イオン界面活性剤です。医薬部外品としてこの成分が使われる場合には、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」という名称が使われています。
ラウレス硫酸Naはリンスオフ製品(洗い流す化粧品)に使われる成分ですので、排水溝を通った後に生じる環境に影響を与える可能性があります。無害な物質へと分解されるものを易分解性と呼びますが、ラウレス硫酸Naは易分解性の界面活性剤であり、地球環境に悪影響を及ぼしません

ラウレス硫酸Na

ラウレス硫酸Naはどんな化粧品に含まれている?

ラウレス硫酸Naは、前述したようにリンスオフ製品に用いられることが一般的です。代表的な化粧品としては、シャンプーやボディケア、ハンドケアソープ、コンディショナー、カラーリング剤などのヘアケア製品に使われることが多く、その中には赤ちゃん用の製品も含まれます。
強い洗浄力を持つことが特徴的な成分でもありますので、洗顔料やクレンジング剤として使われることも珍しくありません。また、2015年に実施された配合製品数の調査によると、1,200種類もの保湿化粧品の成分として採用されていることもわかり、非常に万能で汎用性の高い成分とみなせます。

ラウレス硫酸Naが含まれる化粧品

ラウレス硫酸Naの効果・効能

ラウレス硫酸Naには、強い起泡性と洗浄能力が備わっていることが特徴的です。起泡性とは、泡を発生させて維持する能力のことであり、石鹸などを泡立てる際に、起泡性の高いラウレス硫酸Naが入っているとテクスチャーが良くなります。
ラウレス硫酸Naは陰イオン界面活性剤というジャンルに分類される界面活性剤です。陰イオン界面活性剤そのものに起泡性が備わっているのですが、とくにアルキル鎖が炭素数12~14という物質の発泡性が強いことがわかっています。
この炭素数に該当する成分としては、類似する「ラウリル硫酸Na」という成分が有名ですが、この成分は硬水との相性が悪く皮膚刺激性の強い成分です。そこでラウリル硫酸Naに成り代わって多用されるようになったのが、このページで解説しているラウレス硫酸Naになります。

さまざまな陰イオン活性剤を濃度12%に還元し、泡立ちや洗浄性、ツヤを数値化した研究結果が残されています。このデータによると、ラウレス硫酸Naはラウリル硫酸Naに泡立ちでは及ばないものの、より高い洗浄性とツヤの良さを持ち、さらにクシ通りが良好なことが解明されました。

用意するもの

シャンプーとして非常にバランスの良い性能を持つことが、ラウレス硫酸Naが高く評価されるようになった要因です。後述するように安全性についても大きな問題点が見当たらず、安心して使用できることも魅力の一つと言えるでしょう。

ラウレス硫酸Naの安全性

結論として、ラウレス硫酸Naは安全性の高い成分と評価できます。外原規2006規格の基準をクリアし、これまでに60年以上にわたって多くの人々に使用されてきました。刺激性に関してはヒト試験と動物試験が繰り返し行われていますので、その結果も確認しておきましょう。

皮膚刺激性に問題はない

皮膚試験ではあらゆる濃度のラウレス硫酸Naを用いた研究が行われていますが、18%以下の濃度においては、わずかな刺激性を除く重大なトラブルは見受けられません。皮膚感作性に関する報告例もありませんので、アレルギーの心配をする必要もないでしょう。
皮膚浸透性に関しては、動物試験の結果として1%未満に収まることがわかっています。一定期間の間、皮膚にラウレス硫酸Naを付着させていたとしても、その成分が深く浸透することはありません。髪の毛への残留も防ぎやすく、簡単に洗い流せる成分であることがわかります。

皮膚刺激性に問題はない

眼刺激性は濃度により増減する

次に気がかりになるのは眼刺激性です。これに関しては動物試験による研究データになりますが、基本的には軽度以下の刺激で収まっています。すぐに洗い流せば大きな問題にはつながらず、一時的なかゆみ、痛み、充血程度の問題で収まることが普通です。
一方で洗い流さずに放置していた場合は、ラウレス硫酸Naの濃度によって刺激性の大小が増減します。ただし、濃度が高い場合でも中度以上の刺激が現れたという報告例はなく、失明などの後遺症に悩まされる心配はありません。

眼刺激性は濃度により増減する

ラウレス硫酸Naを使用する際の注意点

ラウレス硫酸Naの使用時は、なるべく目に入らないように使用し、万一目の中に成分が入った場合には、すぐに水で洗い流すことを心がけましょう。とくに赤ちゃんに対して本成分が含まれるシャンプー等を使用する場合は、仰向けにして丁寧にケアすることを意識すると、トラブルなく洗浄を済ませられます。

まとめ

ラウレス硫酸Naは、シャンプーをはじめとした非常に多くの化粧品に配合される陰イオン界面活性剤です。赤ちゃん用の化粧品にも多用されており、泡立ちの良さを表現することに加えて、非刺激性でありながら高い洗浄力を持つことが特徴と言えます。
皮膚刺激性などに関する研究は盛んに行われており、有害性・有毒性を示す根拠は見つかっていません。目に入った場合にはすぐに水で洗い流すことをおすすめしますが、ラウレス硫酸Naの濃度が高くても重大な後遺症につながる危険性はなく、赤ちゃんから大人まで安心して使用できる成分と結論付けられます。