グルコン酸クロルヘキシジンとは?効果・効能や安全性について解説
目次
- ・グルコン酸クロルヘキシジンとは
- ・グルコン酸クロルヘキシジンはどんな化粧品に含まれている?
- ・グルコン酸クロルヘキシジンの効果・効能
- ・グルコン酸クロルヘキシジンの安全性
- ・グルコン酸クロルヘキシジンを使用する際の注意点
- ・まとめ
殺菌に使われる成分として、「グルコン酸クロルヘキシジン」というものがあります。これは主に医薬品として用いられるもので、現代の化粧品成分として使われることはほとんどありませんが、一部の製品には防腐剤として用いられているケースも見受けられる成分です。
グルコン酸クロルヘキシジンは、過去にアナフィラキシーショックを引き起こした事例があることから、日本国内では用途が制限されている成分でもあります。赤ちゃんに対しても危険をもたらす可能性のある成分ですので、安全性について詳しく確認しておきましょう。
グルコン酸クロルヘキシジンとは
グルコン酸クロルヘキシジンは、生体消毒薬として医療用としても用いられる成分です。強い殺菌力を示すだけではなく、皮膚に残留して高い効果を発揮し続けることが最大の特徴で、ポビドンヨードと並行して評価されることもある成分として知られています。
グルコン酸クロルヘキシジンが使用される主なシーンは、医療現場です。手術前後の手洗いをはじめ、患者の手術部位に対して消毒をしたり、カテーテル挿入時に用いられたりなど、その殺菌力は医療現場においても高く評価されています。
その一方で、安全性に関しては注意すべき点が多く、現在の日本では、口腔以外の粘膜に使用することが禁じられています。また、アルコールに溶かしたグルコン酸クロルヘキシジンは、化粧品製造工場における関連製品の殺菌を目的として使用されることのある成分です。
グルコン酸クロルヘキシジンはどんな化粧品に含まれている?
日本国内において取り扱いが制限されている成分であることから、化粧品成分として含まれることはほとんどありません。ただし、強力な殺菌・防腐効果をもつ成分であることは確かであり、稀に化粧品成分のひとつとして採用されることがあります。
リンスオフ製品に関しては配合上限がないため、シャンプーやコンディショナーなどでは稀に原材料のひとつとして、グルコン酸クロルヘキシジンが使われることがあります。リーブオン製品については、100g中0.050gまでの使用が認められていますが、そのほかの殺菌成分が代替されることがほとんどです。
グルコン酸クロルヘキシジンの効果・効能
グルコン酸クロルヘキシジンは、医療現場でも頼りにされるほどの強い殺菌効果をもっています。それが裏目に出て重篤な副作用を引き起こすことが問題点ですが、まずはリスクを切り離して、どのような効果に期待できるのか、詳しく解説します。
グルコン酸クロルヘキシジンは、グラム陰性菌とグラム陽性菌の両方に対して、有効な殺菌性を示しています。殺菌効果が長続きすることも特徴で、微生物の殺菌に絶大な力を発揮します。医療現場で頻繁に用いられるのは、このためです。
グラム陰性菌は、数々の感染症を引き起こす原因として知られています。一例としては、ペスト、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、インフルエンザなどがあり、いずれも現代においても脅威となる感染症ばかりです。これらを避けるための消毒薬として、あらゆる場面で活躍を見せています。
多くの細菌を殺菌するグルコン酸クロルヘキシジンには、歯周病に対する有効性があることも認められています。歯科医においてもグルコン酸クロルヘキシジンを使用することがあるほか、市販されるマウスウォッシュの成分に採用されることもあるようです。
グルコン酸クロルヘキシジンの安全性
グルコン酸クロルヘキシジンの安全性については、残念ながら高く評価することはできません。化粧品に含めることが条件付きで認められている一方、配合できる量が大幅に制限されており、これが原因で化粧品成分として用いられることはほぼありません。より詳しく安全性に関する情報をお伝えします。
大きな問題点としてお伝えしなければならないのは、1980年代に、グルコン酸クロルヘキシジンを使用したことが原因と見られるアナフィラキシーショックが頻発したことです。この出来事が、現在で容量の制限が設けられるきっかけになりました。
具体的には、膀胱や膣・口腔といった免疫、あるいは創傷部位に対してグルコン酸クロルヘキシジンを使用した結果、アナフィラキシーショックが出現したというケースが数十件確認されています。なかには適正濃度で使用した場合の発症例もあり、危険性が高い成分といわざるを得ません。
アナフィラキシーショックは、急激な血圧低下や全身発赤、呼吸困難といった症状を引き起こす重大な問題です。場合によっては死に至ることもありますので、医師による管理が行き届いている環境以外で使用することは、赤ちゃん・大人を問わずにおすすめすることができません。
アナフィラキシーショックを重篤化させるリスクが高いのが、アレルギーや喘息といった持病をもつ人々です。発症により呼吸困難を招くと、アレルギー症状や喘息の症状を伴った結果、命の危険に曝されることがあります。配合されている化粧品を万一使用する際には、十分な注意が必要です。
グルコン酸クロルヘキシジンを使用する際の注意点
注意点は、安全性に関する項目でお伝えしている通り、アナフィラキシーショックを引き起こした実例があることです。その教訓を生かして使用制限が設けられていますが、それをもってしても確実に安全と断言することができません。医療現場以外では、とくに赤ちゃんへの使用は控えるべき成分といえます。
まとめ
グルコン酸クロルヘキシジンには強い殺菌効果があり、医療現場では現在も多用されています。防腐効果も備わることから化粧品に使用されることもありますが、使用量には厳格な制限が加えられ、口腔以外の粘膜に使用することも認められていません。
その理由は、1980年代に、本成分を使用したことが原因と断定されるアナフィラキシーショックを引き起こした患者が多発したためです。医療現場以外では、この成分を含む化粧品等を使用することはおすすめできません。赤ちゃんに使用するのは、控えるようにしましょう。