ステアロイルグルタミン酸とは?効果・効能や安全性について解説

ステアロイルグルタミン酸とは?効果・効能や安全性について解説

ヘアコンディショニングやボディソープ、洗浄剤として稀に使用される成分が、ステアロイルグルタミン酸です。流通量は決して多くないものの、赤ちゃんの肌につく可能性のある成分であることも確かであり、安全性について気になるというママ・パパは少なくないのではないでしょうか。
今回は、ステアロイルグルタミン酸の安全性に焦点を当てて詳しく解説するとともに、ステアロイルグルタミン酸がもつ効果・効能についても、わかりやすくお伝えします。結論としては、安全性の高い成分ですが、念のために、使用前に詳細を確認しておきましょう。

ステアロイルグルタミン酸とは

ステアロイルグルタミン酸は、高級脂肪酸の一種であるステアリン酸の塩化物とグルタミン酸を縮合することで得られる、アミノ酸誘導体の一種です。この成分のナトリウム塩に特化した成分が「ステアロイルグルタミン酸Na」で、こちらのほうが、より多くの化粧品成分として採用されています。

塩化物とグルタミン酸を縮合したアミノ酸誘導体の一種

ステアロイルグルタミン酸はどんな化粧品に含まれている?

ステアロイルグルタミン酸を配合する化粧品としてとくに多いのは、シャンプーやリンスなどのヘアケア製品です。ボディソープをはじめとするコンディショニング剤や、石鹸などの洗浄剤の成分として用いられることもあり、使用後すぐに洗い流すリンスオフ製品に使われることが多い成分といえます。
前述したステアロイルグルタミン酸Naは、対照的につけっぱなしにするリーブオン製品に使用されることが多い成分です。両者の違いは、基本的にはナトリウムの配合量の差ということになるのですが、性質が異なることによって、用途にも変化が出ることが注目すべき点になります。

ステアロイルグルタミン酸配合の化粧品

ステアロイルグルタミン酸の効果・効能

ステアロイルグルタミン酸から期待できる効果は、乳化剤としてそのほかの成分を馴染ませるというものです。ステアロイルグルタミン酸が単体で肌に潤いを与えたり、ツヤを出したりといった効果を与えることはありません。一方で、乳化剤として製品のクオリティを高めることは可能です。
特定の成分同士を組み合わせて、ひとつの製品として完成させるための貴重なつなぎ役として、いくつかの化粧品に採用されています。

ほかの成分と馴染ませ製品のクオリティを高める

乳化とは、そのままでは交じり合わない成分をまとめて、分散しやすくさせる作用です。製品としての効果を高めるために優秀な成分をいくつか使用しても、この成分同士の相性が悪ければ、製品として成り立ちません。相性の悪い素材同士をマッチングさせる作用が、ステアロイルグルタミン酸にはあります。
ステアロイルグルタミン酸は、極めて親水性が高い、つまり水に溶けやすい特徴をもつアミノ酸誘導体です。電解質との相性がいい成分であることから、アミノ酸を含むシャンプーやコンディショナーなどの成分として用いられることが一般的といえます。

水に溶けやすい特徴を持ちシャンプーやコンディショナーとして用いられる

ステアロイルグルタミン酸の安全性

シャンプーなどのアイテムに採用されることが多いステアロイルグルタミン酸は、肌に直接触れる機会が多い成分です。赤ちゃん用の化粧品に使われることはほぼありませんが、お風呂で同じ時間を過ごしていると、間接的に触れてしまう可能性も考えられます。そのため、安全性について詳しく確認しておきましょう。

医薬部外品原料規格2006に収載されている

ステアロイルグルタミン酸は、外原規2006規格をクリアした成分だけが収載を認められる、医薬部外品原料規格2006に収載されています。これは厚生労働省によって管理・更新されるものなので、安全性の高さについて、この段階で一定の評価を下すことが可能です。
また、ステアロイルグルタミン酸が使用されはじめた時期は、今から約50年前となる1970年代にまで遡ります。現在に至るまで健康被害に関する報告例は、国内・国外においてもとくに見当たりません。使用することによって特段のトラブルが起こるとは考えにくく、この点も安心材料のひとつです。

医薬部外品原料規格2006に収載されている

厚労省によって一定の安全性が認められている

ステアロイルグルタミン酸そのものに関する肌刺激性などのデータは見当たりませんが、この成分のナトリウムに特化したステアロイルグルタミン酸Naという成分において、研究結果が出揃っています。これによると、動物試験の結果により、肌刺激性がほとんどないことが判明しています。
眼刺激性については、動物試験によって軽度の刺激があることが認められましたが、なんらかの後遺症をもたらすほどのものではありません。アレルギー性検査の結果も陰性であり、このデータをステアロイルグルタミン酸に当てはめると、安全性の高い成分として評価できます。赤ちゃんに付着したとしても、大きな問題は起こらないといえるでしょう。

皮膚刺激性等に関するデータはステアロイルグルタミン酸Naにおいて出揃っている

ステアロイルグルタミン酸を使用する際の注意点

ステアロイルグルタミン酸が化粧品成分として使われることはあまりなく、安全面に関するデータが十分に出揃っているとはいえません。ここでご紹介した刺激性に関する研究も、ステアロイルグルタミン酸Naに関するものであり、本成分そのものに関する研究を見つけることはできませんでした。
不透明な点が多い成分ではあるものの、すぐに洗い流すリンスオフ製品に使われることや、外原規2006の基準をクリアしていることは、安心材料になります。使用上の注意を守って利用すれば、赤ちゃんに付着しても、大きなトラブルが起こるとは考えられません。

まとめ

ステアロイルグルタミン酸は、アミノ酸の一種であり、乳化剤として主にシャンプーなどのリンスオフ製品に使用されています。1970年代から使用され、外原規2006の規格も満たしているため、安全性についても一定の評価を下すことが可能です。
ただし、使用される機会が少ない成分ということもあり、有効な実験データを見つけることはできません。関連する「ステアロイルグルタミン酸Na」に関しては、ヒト試験による結果も良好です。これらの点から、安全性が高い成分だといえます。