安息香酸Naとは?効果・効能や安全性について解説

安息香酸Naとは?効果・効能や安全性について解説

さまざまな化粧品に加えて、食品の防腐剤としても使用されることのある成分に、安息香酸Naというものがあります。食品に添加されるほどの成分ですから、安心して使用できるものであると考えられますが、赤ちゃんに与えたとしても、問題のない成分として太鼓判を捺せるのでしょうか。
今回は、安息香酸Naがどのような化粧品に使用され、どんな効果・効能をもたらすのかをご紹介します。安全性に関しては、過去に行われたヒト試験などによる結果を鑑みて、安全性について詳しく、わかりやすく解説していきます。

安息香酸Naとは

安息香酸は水溶性が低く、水に溶けにくいという特性があります。その欠点を補うために、安息香酸に対してナトリウム塩を加えたものが、安息香酸Naです。医薬部外品として使用する場合には、安息香酸ナトリウムという名称が用いられます。
安息香酸Naは、化粧品成分として採用されるばかりではなく、食品にも添加されることがあります。食品に添加される理由は、防腐剤としての効果が備わっているためです。さらに抗菌作用も備わっているため、菌の繁殖を抑え、製品のクオリティを安定させることができます。

安息香酸Na

安息香酸Naはどんな化粧品に含まれている?

前述したように、安息香酸Naには防腐・抗菌作用が認められています。万能性のある成分であることから、2010年から2011年にかけて行われた調査では、1,500種類を超える毛用品への採用が確認されました。とくにシャンプーなどのリンスオフ製品に使われることが多い成分です。
そのほかにも、固形石鹸やボディケア・ハンドケア製品、乳得剤といった製品のほか、化粧水や美容液、ファンデーション、アイブロウなどの化粧品に採用されることもあります。特筆すべきなのは、欧米と比較して、日本では成分の配合量に制限が加えられていることです。
具体的には、化粧品成分として安息香酸Naを使用する場合には、100gに対して1.0g以下までとするように定められています。安全性に関する詳しい評価は、この後の「安息香酸Naの安全性」の項目の中で詳しくご紹介します。

安息香酸Naが配合されている化粧品

安息香酸Naの効果・効能

化粧品に配合される場合に期待される効果と効能は、抗菌や防腐という一点です。そのほかにはとくに大きな効果はありませんが、少量の使用でも抗菌・防腐効果を実現させるという実力が買われ、とても多くの製品に採用されています。
大阪市立衛生研究所による研究により、安息香酸Naはグラム陽性桿菌、グラム陽性球菌、コウジカビという3つの微生物に対する抗菌活性をもつことがわかりました。本成分にフェノキシエタノールなどの成分を併用することによって、さらに防腐効果を高めることも可能です。

3つの微生物に対する抗菌活性をもつ

安息香酸は、本来ならば水溶性がなく、水気を含む製品に活用することができません。しかし、安息香酸Naとして水溶性をもたせることによって、シャンプーなどの製品にも活用することができ、汎用性が高まっていることも特徴です。
先ほどもご紹介しましたが、日本国内においては安息香酸Naの使用量を100gあたり1gまでに制限されています。これはシャンプーなどのリンスオフ製品も、メイクアップ化粧品などのリーブオン製品も同様であり、国によって厳しく管理されています。

日本国内では使用量を100gあたり1gまでに制限

安息香酸Naの安全性

使用量が制限されていると聞くと、危険性のある成分なのではないかと感じてしまいますが、逆にいえば、国内で正規に流通している製品を選べば、安全な製品が手に入るともいえます。
結論から申し上げれば、安息香酸Naを日本国内で使用する場合は無害であり、安全性は高いと評価できます。大人はもちろん、赤ちゃんも安心して利用できるでしょう。その理由を詳しく解説します。

厚労省によって一定の安全性が認められている

まずは医療上の有効性と安全性、そして汎用性がある成分が収載される「日本薬局方」にその名前が刻まれていることが、安心材料に挙げられます。また、安息香酸Naは、医薬部外品原料規格2006にも収載されており、厚労省によって安全性に関するお墨付きを得られていることも特徴です。
さらに、10年以上にわたって安全に使われてきたという歴史があります。有毒性があるという報告例は現在に至るまで認められず、多くの人々が害を感じることなく使用を継続してきたという歴史をもつことも、安息香酸Naの安全性を語る上で欠かすことのできない要素です。

皮膚刺激性に関するデータが揃っている

皮膚刺激性については、過去2回の有効なヒト試験実施歴がありますが、いずれの試験においても、皮膚刺激が確認された被験者は一人もいませんでした。アレルギー性に関しても、皮膚炎を発症しているケース以外ではとくに認められず、安心して使用できます。
眼刺激性に関しては動物実験が行われており、わずかな刺激性が出る可能性があるという結論が下されています。ただし、この実験に用いられた安息香酸Naの濃度は不明であり、100gあたり1gという基準を守って使用する場合は、異なる結果が現れる可能性もあるでしょう。

安息香酸Naを使用する際の注意点

安息香酸Naの配合量は、日本国内で作られる製品に関しては厳格に規制されてコントロールを受けていますが、海外では日本と同様の規定がなく、自由な量を配合することができます。そのため、海外の製品に安息香酸Naが使用されている場合は、注意が必要です。
濃度が高い場合に有害性があるという具体的な報告例はなく、海外でも独自の審査を経て安全性を確認した上で商品化されていることは確かです。極度の心配は無用ですが、安全性をより考慮するならば、個人輸入などの製品には注意すべきといえます。

極度の心配は無用ですが個人輸入製品には注意しましょう

まとめ

安息香酸Naには、強い抗菌・防腐作用があります。非常に少ない容量でも高い効果を発揮するため汎用性が高く、リーブオン製品からリンスオフ製品に至るまで数々の化粧品に採用され、赤ちゃん向けの製品に配合されることもあります。
ヒト試験により皮膚刺激性のなさが確認されており、さらに日本では100gあたり1g以下という配合量の制限が設けられています。規制のない海外製品には若干の注意が必要ですが、赤ちゃんでも安全に使用できる成分といえます。