妊婦の理想的な体重の増え方は?太りすぎ・痩せすぎのリスクも解説

妊婦の理想的な体重の増え方は?太りすぎ・痩せすぎのリスクも解説

妊娠すると「二人分、食べなきゃ」と思いっきり食事量を増やしてどんどん太ってしまう妊婦さんもいます。逆に体重が増えなくて悩んでいる妊婦さんもいるでしょう。
今回は、気になる妊娠中の理想的な体重の増え方や増えすぎ・痩せすぎの注意点、体重管理の方法を解説します。

妊娠すると増える体重!内訳は?

妊娠すると、ホルモンバランスが変わり太りやすくなっていきます。これは、皮下脂肪を付けてお腹にいる赤ちゃんを守るためや、出産・産後の授乳などに備えて体がエネルギーをためようとしているからなので、太ることは当たり前です。また、出産の出血時に血液が足らなくなることを防ぐために血液の量も増えていきます
では、赤ちゃんが生まれる直前の妊婦さんはどれくらい体重が増えているのでしょうか。体重増加分の内訳をみてみましょう。
生まれてくる赤ちゃんの体重は、約2.5kg~4.0kg、胎盤と羊水が各約0.5kg、血液が約2.5kg、子宮・乳房が大きくなる分は約1.5kg、それ以外にも脂肪が増え、水分を蓄積するので個人差はありますが、約7kg~10kgは体重が増加します。たとえば、妊娠前の体重が50kgだとすると、妊娠から出産までに57kg~60kgになるということです。

妊娠すると増える体重!内訳は?

赤ちゃんが育つために必要なカロリー量

妊婦さんの食べたものがダイレクトにお腹の赤ちゃんに届くわけではありません。妊婦さんが摂取した栄養は、一度体内に蓄えられ、血液の中に必要な栄養素が含まれて胎盤を通して赤ちゃんに届くようになっているのです。
妊娠すると、鉄分やタンパク質、ビタミンなどのさまざまな栄養素が必要ですが、カロリーで言うと、妊娠後期でも通常の1日摂取量にプラス450カロリー程度増えるだけです。450カロリーとは、一般的な醤油ラーメン1杯分程度です。

妊娠すると鉄分、タンパク質、ビタミンなどの栄養素が必要になる!内訳は?

妊婦の理想的な体重の増え方

では、具体的にどれくらい体重が増加すると良いのでしょうか。妊娠前の体重が人それぞれなので、理想的な体重増加量も個人差はありますが、簡単に計算する方法があります。
日本では、日本産科婦人科学会や日本肥満学会、厚生労働省などが推奨値を出していますが、若干数値が異なります。しかし、妊婦さんの妊娠前の体格やBMI値を基に算出している点では共通しています。では、まず妊娠前の体型を把握するためにBMI値を出してみましょう。
BMI値は、【体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)】で算出できます。たとえば、妊娠前の体重が50kg、身長160㎝の女性の場合は、 50÷1.6÷1.6=19.53となり、BMI値は、19.5です。

妊婦の理想的な体重の増え方

厚生労働省が推奨している妊娠時の理想的な体重増加は、BMI値18.5未満の低体重の人は9~12kg、BMI値18.5~25.0未満の普通体重の人は7~12kg、BMI値25.0以上の肥満の人は、医師に個別相談するように指導しています。

理想的な体重増加

実際に赤ちゃんの体重は、妊娠2ヶ月で約2g、3ヶ月で約20g、4ヶ月で約100g、5ヶ月で約200g、6ヶ月で約350g、7ヶ月で約1,000g、8ヶ月で約1,800g、9ヶ月で約2,300g、10ヶ月になると約3,000gになります。

赤ちゃんの体重

このことからわかるように、赤ちゃんの体重の増加を感じられるのが、5ヶ月以降となり、この頃から脂肪がついてきて、少しずつ赤ちゃんらしい体つきになってきます。
そのため、4ヶ月頃までは、体重を増やす必要はなく、太りすぎに注意する必要があります。妊婦さんは、一般的につわりが終わり食欲の増す時と産休に入ったあと、臨月になると急激に体重が増えると言われていますが、1週間の体重増加ペースは、200g~300gまでが理想的です。

体重を増やさず太りすぎに注意

また、妊娠中の時期によってもペースを変える必要はありますが、安定期に入る妊娠中期は、4~5kg程度、妊娠後期は、妊娠合併症のリスクが高くなるので、2~3kgの増加にとどめておきましょう。1週間の体重増加ペースが500g以上増えると、妊娠高血圧症候群などにかかりやすくなります。

・妊娠中期は4~5kg程度・妊娠後期は2~3kgの増加

妊婦が太りすぎる2つのリスク

妊娠時の体重増加には個人差がありますが、太りすぎると母体や胎児に影響を与えることもあるので注意しましょう。

妊娠高血圧症候群

高血圧や蛋白尿、むくみなどの症状が現れる「妊娠高血圧症候群」は、妊娠中期以降に症状が出やすくなります。この妊娠高血圧症候群になると、胎盤や子宮に血液が流れにくくなり、胎児の発育に支障をきたす可能性があります。
妊娠高血圧症候群が重症化すると、意識障害を伴うけいれん発作の子癇や常位胎盤早期剥離などの合併症を起こし、母子ともに生命の危険に及ぶ場合があるので、状況によっては帝王切開で早めに分娩することもあります。

高血圧、蛋白尿、むくみなどの症状が現れる

妊娠糖尿病

妊娠中のホルモン変化によって、血糖をコントロールするインスリンの働きが一時的に弱まり、血糖値が高くなることがあります。この状態になると、妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠糖尿病になると、流産や早産のリスクのほか、胎児機能不全、胎児死亡の危険性、生まれた赤ちゃんが将来的に肥満や糖尿病、高血圧になる可能性もあります。
肥満や糖尿病にかかっている家族がいる場合や35歳以上の高齢出産も妊娠糖尿病にかかる可能性が高くなるので、心配な人は、妊娠初期から定期的に検査を行い、医師の指導を仰ぐようにしましょう。

インスリンの働きが一時的に弱まり血糖値が高くなる

妊婦が痩せすぎのリスク

妊娠前から痩せすぎていた場合やつわりがひどく食事がとれなかった人は、体重が増えずに困っているかもしれません。仮にあまり体重が増えなくても、妊婦検診で「問題なし」とされた場合は、あまり心配することはありません。
しかし、体重が急激に減るようなことになると、赤ちゃんに十分な栄養が届かず、低体重で生まれる場合もあります。太りすぎも問題はありますが、体重が増えないのも心配です。体重が増えない場合は、医師と相談しながら少しずつ体重を増やしていきましょう。

体重が急激に減少すると低体重で生まれる可能性がある

妊婦におすすめの体重管理方法

健康的に体重を管理していくにはどうしたら良いのでしょうか。

こまめに体重をチェックする

こまめに体重計に乗って体重をチェックしていれば、体重管理にも役立ちます。スマホのアプリなどを利用すれば、気軽にレコーディングダイエットができます。

食事内容を見直す

妊娠前と同じような食事をとっていると、塩分や糖分、脂質が多すぎるかもしれません。厚生労働省の「妊産婦のための食事バランスガイド」や妊婦さん用のレシピ本などを参考にさまざまな栄養をまんべんなく摂取するように心がけましょう。

食事の量と回数を見直す

いつもお腹が空いてなんとなく食べてしまう妊婦さんも多くいます。そんな妊婦さんは、回数を増やして一度に食べる量を減らしてみると良いでしょう。一度に食べる量を減らすことで、急激な血糖値の上昇を抑えられます。

おやつの内容を見直す

どうしても甘いものが食べたくなった場合は、カロリーオフのチョコレートや食物繊維が豊富な寒天、こんにゃくのゼリー、低カロリーで歯ごたえのあるお菓子などを選んで食べるようにしましょう。

適度な運動を行う

医師の了承を得たうえで、マタニティヨガやマタニティスイミング、ウォーキングなどを行うと良いでしょう。適度な運動は、気分転換になるうえ、体重を管理するためにおすすめの方法です。

まとめ

元気な赤ちゃんを産むためにも、体重管理はとても大切ですが、気にしすぎてもストレスがたまる一方です。体重増加が大きい、なかなか体重が増えないなどの悩みは、健康的な食事をすることから解消されていくでしょう。どうしても心配な場合は、医療機関に相談することも大切です。