妊娠中なのに生理のような出血が!考えられる原因と注意点とは

妊娠中なのに生理のような出血が!考えられる原因と注意点とは

妊娠をしたのに生理のような出血があったら、とても心配です。妊娠中の出血は、特に問題のないものもありますが、中には早く処置をしないと母子ともに危険な状態になる場合もあります。
そこで今回は、妊娠初期に生理のような出血があった場合の原因や注意点を解説します。

生理以外の出血は「不正出血」

生理とは、子宮の壁から剥がれ落ちた内膜や血液のことで「経血」とも呼ばれています。個人差もありますが、生理は、1ヶ月程度の間隔で起こり出血の期間は、3日から7日程度です。
不正出血は、子宮がんやポリープ、子宮筋腫などの腫瘍、炎症などによって起こる器質性出血とホルモンバランスが崩れたことで起こる機能性出血があります。排卵時に起こる中間期出血も機能性出血の一種です。妊娠中に起こる出血も不正出血となるので、原因を特定するために病院で受診することが大切です。

不正出血

妊娠中の出血で考えられる8つの原因

妊娠中初期に出血があった場合は、いくつかの原因が考えられます。

着床出血(月経様出血)

生理が始まる1週間前ごろに少量の出血が起こることもあります。これは、受精卵が子宮の内膜に着床する時の刺激によって起こる現象で着床出血と呼びます。通常の出血と比べて出血量や日数が少なく、特に問題がない出血なので安心しても良いでしょう。

受精卵が子宮の内膜に着床する時の刺激によって出血する

絨毛膜下血種

妊娠初期から中期の子宮内に血液がたまることで起こる出血を「絨毛膜下血種」と呼びます。絨毛膜下血種は、病院で受診した時に超音波で見つかることが多く、出血の他にお腹が張ることもあり、出血量によって安静を指示されることがあります。

妊娠初期から中期に子宮内に血液がたまることで起こる出血

切迫流産

切迫流産とは、胎児や胎嚢が子宮内にとどまっている状態で流産になる可能性がある状態のことを言います。妊娠22週目未満の妊婦さんが痛みや出血で病院を受診した場合は、この診断名が付くこともあり、主に安静にして経過観察します。

胎児や胎嚢が子宮内にとどまっている状態で流産になる

流産(進行流産)

下腹部が痛み出血が多い場合は、流産の可能性があります。妊娠初期の流産は、染色体や遺伝子の異常などによって偶発的に起こるものです。また、妊娠12週目以降の流産は、子宮の出口が緩むことや感染を起こすなどによる子宮頚管無力症が原因の場合もあります。
いずれも、子宮の中で胎児の成長が止まり、子宮口が開き胎児の付属物が出血と一緒に流れ出ますが、完全流産すると自然に出血も止まっていきます。

流産(進行流産)

科学的流産

妊娠判定薬で陽性反応が出たのに、胎嚢を確認する前に生理のような出血が始まった状態を科学的流産と呼びます。科学的流産は、受精はしたけれど着床・成長できずに流れてしまった状態で、健康なカップルでも30%~40%の割合で起こると言われています。

胎嚢を確認する前に生理のような出血が始まった状態

子宮外妊娠(異所性妊娠)

子宮内膜以外の場所に受精卵が着床することを子宮外妊娠(異所性妊娠)と呼びます。子宮外妊娠のほとんどは、卵管で起こりますが、細い卵管では受精卵の成長に耐えられず破裂してしまい命に関わることがあります。
子宮外妊娠の場合は、出血量こそ多くありませんが、突然の激痛と腹部内での大量出血によりショック状態になることもあるので、一刻も早い治療が必要です。生理が遅れているのに、妊娠が確認できない時期下腹部の痛みや出血が見られた場合は、子宮外妊娠の可能性もあります。

突然の激痛と腹部内での大量出血によりショック状態になる

子宮頚管ポリープ

子宮頚管ポリープとは、子宮と膣の境目にできる球状のものです。妊娠すると女性ホルモンの一種であるエストロゲンの作用によってポリープが大きくなって出血することもあります。子宮と膣の境目にある子宮頚管ポリープのほとんどは良性ですが、出血を繰り返すことや膣内で細菌感染することもあるので、医師の判断で切除することもあります。

子宮と膣の境目にできる球状のもの出血を繰り返すと膣内で細菌感染することも

子宮膣部びらん

「びらん」とは皮膚がただれた状態を指しますが、子宮膣部びらんは、膣の奥にある子宮膣部という部分が赤く膨らんでいる状態のことを言います。この症状は、それほど珍しいことではないので、ほとんど治療することはありませんが、出血やおりものが増えて膣炎を起こすようになった場合は治療を施すこともあります。

膣の奥にある子宮膣部という部分が赤く膨らんでいる状態

妊娠中に出血があった場合の対処法

妊娠初期に生理のような出血があることは、比較的珍しくありません。そのため、出血をしたからといって胎児に危険が及ぶことは少ないのですが、怖いのは子宮外妊娠です。
生理が遅れ下腹に強烈な痛みと出血が見られた場合は、子宮外妊娠の可能性があるので自己判断せずに医療機関で判断を仰ぎましょう。その際は、「いつから出血しているか」「痛み」「出血量」「血の色、匂い」「出血以外にも塊のようなものがあるか」「腹痛や張りの有無」「吐き気や貧血などの症状」を説明すると受診すべきかを教えてくれます。

妊娠中に出血があった場合の対処法

まとめ

妊娠初期の生理のような出血は、あまり心配しなくても良い場合がほとんどですが、中には母子ともに命に関わることもあります。妊娠初期に出血が見られたら、落ち着いて医師に症状を説明し判断を仰ぐようにしましょう。また、激しい痛みと出血がある場合は、子宮外妊娠や進行流産の可能性もあるので、時間に関わらず医療機関に連絡をしてください。