プロピルパラベンとは?効果・効能や安全性について解説

プロピルパラベンとは?効果・効能や安全性について解説

防腐剤として用いられるパラベンの一種に、プロピルパラベンというものがあります。2019年の調査によると、リーブオン製品(付けっぱなしの化粧品)だけで7,500種類を超える製品に使われていることからも、各メーカーがプロピルパラベンに信頼を置いていることがわかります。
プロピルパラベンにはどのような効果が秘められており、とくに有名なメチルパラベンと比較してどのような違いがあるのでしょうか。また、防腐剤である以上、やはり安全性についても注目すべきです。赤ちゃんに使用しても問題のない成分なのかどうか、しっかりと確認しましょう。

プロピルパラベンとは

プロピルパラベンは、パラオキシ安息香酸のプロピルエステルです。慣用名としては単純に「パラベン」という言葉が使われるほか、医薬部外品として使われる際は「パラオキシ安息香酸プロピル」という名称が使われます。主な用途としては、防腐剤として多くの化粧品に使われます。
プロピルパラベンは、1947年に米国薬局方によって認可を受けました。このとき、同時に認可を受けた成分に「メチルパラベン」があります。さらに1977年には食品医薬品局(FDA)からも認可され、濃度0.1%までという上限の範囲内で、食品への添加も認められた成分です。
日本国内においては、現厚生労働省によって、1988年に医療用医薬品の添加物として認定されています。パラベンはその性質上、皮膚の表面から体内に浸透しますが、プロピルパラベンは72時間以内に尿によって排出されるため、残留・蓄積されることはありません。

プロピルパラベンは防腐剤として多くの化粧品に使われている

プロピルパラベンはどんな化粧品に含まれている?

プロピルパラベンには抗菌作用と防腐効果が兼ね備えられており、多くの化粧品がこの特徴を頼りにして成分の一つに採用しています。水溶性があり、使い勝手が良いという点も追い風となり、さまざまなジャンルの化粧品で使われていることも特徴的です。
具体的には、スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品を筆頭に、日焼け止め、洗顔料や石鹸、シャンプーといった洗浄製品にも用いられています。皮膚に付けたまま過ごす化粧品から、すぐに洗い流す化粧品まで、あらゆる化粧品の成分として、プロピルパラベンの名前を見かけることができます。

プロピルパラベンが含まれる化粧品

プロピルパラベンの効果・効能

プロピルパラベンには抗菌・防腐という2大作用が備わっています。最大配合量は100gあたり1.0gまでという制限がありますが、それでも十分な効果を発揮することも特徴です。1990年に行われた研究結果から、その他のパラベンとの違いも確認してみましょう。

多くの細菌に対する有効性が確認されている

プロピルパラベンは、極めて多くの細菌に対する有効性が確認されている抗菌材です。たとえば黄色ブドウ球菌のようなグラム陽性球菌、大腸菌やチフス菌に代表されるグラム陰性桿菌、カンジダなどの酵母、アオカビをはじめとするカビに対しても強く作用します。
これらの細菌は大人だけでなく、赤ちゃんにとっても脅威になるものばかりです。パラベンの特性上、緑膿菌に対する効果については認められませんが、非常に多くの脅威から守る添加物として、幅広い活躍を見込めます。

多くの細菌に対する有効性が確認されている

抗菌活性が強い一方で水溶性では若干劣っている

パラベンには、主にプロピル・メチル・エチルという3つの種類があります。ここでご紹介しているプロピルは、この中で最も抗菌活性が強いという特性がありますが、水溶性では最も劣ります。そのため、商品としての応用性ではメチルとエチルに及びません。

抗菌活性が強い一方で水溶性では若干劣っている

プロピルパラベンの安全性

プロピルパラベンは防腐剤の一種であることから、安全性についてはしっかりと確認すべき成分です。戦後間もないタイミングから使われ始めた成分であり、現時点でも継続的に用いられていることから安全と考えられますが、その根拠をさらにじっくりと探ってみましょう。

日本薬局方と医薬部外品原料規格2006に収載されている

厚生労働省が認めた基準の一つとして、日本薬局方と医薬部外品原料規格2006という2つがあります。どちらも安全性や有効性の基準をクリアした成分だけが収載されるものですが、プロピルパラベンは、この両方に収載されている成分です。
国によって安全性が評価されていることに加えて、米国を含めると80年以上に渡る使用実績を擁しています。ここまでの運用歴の中で重篤なトラブル例は見当たらず、これも安全に使用できると断定できる根拠といえます。

日本薬局方と医薬部外品原料規格2006に収載されている

皮膚刺激性・眼刺激性が認められない

ヒト試験と動物試験により、皮膚刺激性と眼刺激性の両方が検査されています。まず皮膚刺激性に関しては、ヒト試験によってごく一部で軽度の皮膚刺激性が起きていることがわかっていますが、重症化に至った患者は存在していません。また、アレルギー性についても認められませんでした。
眼刺激性に関しては動物試験が行われています。この検査では0.1~0.8%程度のプロピルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベンの試験が実施されました。この結果、わずかな眼刺激性が認められたものの、後遺障害を及ぼすような重篤な症例は認められていません。

皮膚刺激性・眼刺激性が認められない

プロピルパラベンを使用する際の注意点

基本的には、プロピルパラベンは安全に使用できる成分ですが、注意が必要となるのは皮膚炎、または皮膚感作経験を有する人物が成分を使用する場合です。これに該当する人物がプロピルパラベンを使用した場合、接触性皮膚感作が起こる可能性があるため、念のために使用を控えるべきといえます。

まとめ

プロピルパラベンは、パラベンとして一般的に活用されることが多いメチル・プロピル・エチルという3種類の中の一つです。グラム陰性桿菌をはじめとする多くの細菌に対する作用が確認されており、強い抗菌・防腐効果が期待され、非常に多くの化粧品成分として採用されています。
皮膚炎や皮膚感作経験を持つ方は使用を控えるべきですが、それ以外の方であれば、赤ちゃんだとしても、使用することに何ら問題は見受けられません。厚生労働省からも認可されている成分ですので、特段の心配をする必要がなく、日常生活において活用して問題のない成分です。