メチルパラベンとは?効果・効能や安全性について解説

メチルパラベンとは?効果・効能や安全性について解説

化粧品をはじめ、多くの製品には品質維持のための防腐剤(パラベン)が使用されます。この中でも代表格といえる存在がメチルパラベンです。日本国内のみならず、欧米など世界各国で古くから使用されてきた実績を持つパラベンには、具体的にどのような効果があるのでしょうか。

また、中にはパラベンという言葉を聞いただけでも条件反射的に敬遠するという方もいます。本当にそこまで警戒すべき成分なのかどうかについて、安全性にも深く迫ってきましょう。さまざまな科学的データも交えて、赤ちゃんでも安全に使える成分なのかどうか結論付けていきます。

メチルパラベンとは

メチルパラベンは、パラオキシ安息香酸のメチルエステルであり、慣用名としては単純に「パラベン」と簡略化されることが一般的です。また、医薬部外品として表示される際には、パラオキシ安息香酸メチルという名称が用いられますが、メチルパラベン、パラベンともに成分の内容は変わりません。
メチルパラベンは、1947年に米国薬局方によって認可され、1977年にはアメリカの食品医薬品局にも上限付きで認可されました。日本でも1988年から現厚生労働省が添加物としての使用を認めており、現在は化粧品成分の一つとしても広く活用されています。
メチルパラベンを含むパラベン類は、一般的に人間の体内に浸透する性質を持ちますが、メチルパラベンは体内へ一度取り込んだ後に、間もなく加水分解されます。最大で72時間以内に尿として排出されるため、体内に残留する危険性はありません

メチルパラベンはどんな化粧品に含まれている?

メチルパラベンはどんな化粧品に含まれている?

メチルパラベンが多用される理由は、この成分に優れた抗菌・防腐作用が備わっているためです。これはジャンルを問わず、多くの化粧品にとって歓迎すべき作用になりますので、メチルパラベンが用いられる化粧品の種類も多種多様です。
とくに多いのが、スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品、日焼け止めをはじめとするリーブオン製品(成分を付けたまま使う化粧品)です。リーブオン製品と比べると割合は下がりますが、洗顔料や洗顔石鹸、シャンプーなどの洗浄製品のような、リンスオフ製品(洗い流す化粧品)に使われることもあります。

メチルパラベンの効果・効能

メチルパラベンから期待できる効果は、ずばり抗菌・防腐という2つの作用です。1990年にアメリカで行われた実験によると、メチルパラベンからはグラム陰性菌やグラム陽性菌、酵母、カビに至るまで多くの細菌に対する効果を発揮し、万能性の高い抗菌・防腐剤であるという結論が導き出されています。
抗菌活性だけに注目すると、プロピルやブチルといった成分と比較した場合、メチルは最も効果が下がります。しかしメチルはこの中で最も水溶性が高いという特性を兼ね備えているため、製品化する際の汎用性に優れており、極めて頻繁に用いられることになったのです。
メチルパラベンは、あらゆる化粧品に対して、成分100gあたり1gまでという明確な配合上限が設けられています。この規定は医薬部外品として使用される際も適用されていますので、海外から輸入した製品などに関しては、配合量の上限を上回っていないか確認するよう注意しましょう。

メチルパラベンの安全性

メチルパラベンは防腐剤の一種であり、その理由だけで敬遠するという方も少なくない成分です。多くの人にとって最も気になるポイントとなるのは安全性ですので、この点にとくに力を入れて解説します。結論としては「安全」と判断できますので、その理由を深掘りしていきましょう。

メチルパラベンの安全性

厚労省によって安全性が認められている

前述しましたが、メチルパラベンは厚労省が使用を許可している成分です。医療上の安全性が基準以上の成分が収載される「日本薬局方」、外原規2006規格をクリアした成分が収載される「医薬部外品原料規格2006」にも収載され、この点も安全性を示す根拠といえます。
とくにアメリカでは、80年以上に渡ってメチルパラベンが多用されてきましたが、健康被害等を訴える人物は表れていません。科学的に安全性が高いと判断され、実際に肌トラブルを起こしている人がいないという事実から見て、誰が使ったとしても安全な成分と考えるのが妥当でしょう。

ヒト試験による研究が頻繁に行われている

メチルパラベンは、ヒト試験の実績も豊富に持ち合わせています。主に1970年代から80年代にかけて行われた複数の試験では、いずれも軽度以上の皮膚刺激性は認められていません。また、アレルギー反応に関しても、重度の皮膚感作を示す証拠は見られませんでした
眼刺激性に関しても同様で、ヒト試験の結果、重篤な後遺症を示す結果は出ていません。軽度の刺激を示すケースもありましたが、視力等に影響するレベルのものではありませんでした。以上の点から総合的に判断して、赤ちゃんから大人まで安全に使用できる成分として評価できます

ヒト試験による研究が頻繁に行われている

メチルパラベンを使用する際の注意点

2005年に発行された朝日新聞において、メチルパラベンが紫外線による影響を受け、皮膚細胞死亡率を高めたり、老化の原因になったりする資質過酸化物を増加させるのではないかという記事が掲載されました。これがパラベンを敬遠する人を増やす一つの要因とも考えられます。
しかし、これに対して日本化粧品工業連合会、ならびに上野製薬は真っ当から否定するコメントを掲載しています。いずれも「定められた配合量を守った製品を、用法のとおりに使用すれば安全である」という旨の反論であり、この主張は過去の使用実績を鑑みても、高い信ぴょう性を持つと判断できるものです。

まとめ

メチルパラベンは、多くの化粧品に採用されている抗菌・防腐効果をもたらす添加物です。アメリカでは1940年代から認可されているほか、極めて慎重に判断を下すことで有名な日本の厚生労働省も認可する、安全性の高い成分です。
朝日新聞による記事は議論を呼びましたが、関係機関がこの内容を否定するコメントを出しており、過去の実績やヒト試験の結果を見ても、この主張に信ぴょう性を感じることができます。メチルパラベンは赤ちゃんでも安全に使える成分と考えて問題ありません。