ステアロイルグルタミン酸Naとは?効果・効能や安全性について解説
目次
- ・ステアロイルグルタミン酸Naとは
- ・ステアロイルグルタミン酸Naはどんな化粧品に含まれている?
- ・ステアロイルグルタミン酸Naの効果・効能
- ・ステアロイルグルタミン酸Naの安全性
- ・ステアロイルグルタミン酸Naを使用する際の注意点
- ・まとめ
乳化剤として用いられることが多いステアロイルグルタミン酸Naは、ボディソープやハンドソープをはじめとした製品からスキンケア化粧品まで、幅広い分野の用品に含まれる成分です。身近なところにある成分の場合、ふとしたときに気になるのは安全性の有無ではないでしょうか。
まずはステアロイルグルタミン酸Naがどういった用途で使われているのか、効果・効能を見ながら把握しておきましょう。その上で健康上の問題が生じる有毒性はないのか、赤ちゃんにも安心して使えるのかといった情報を、具体的な根拠を添えて解説します。
ステアロイルグルタミン酸Naとは
ステアロイルグルタミン酸Naは、高級脂肪酸の一種であるステアリン酸から抽出した塩化物と、酸性アミノ酸のグルタミン酸を分離して混ぜることで発生する、ステアロイルグルタミン酸のナトリウム塩です。これは、陰イオン系の界面活性剤として分類されています。
主に乳化剤として用いられることが一般的であり、医薬部外品として添加されることも珍しくありません。この際の表示名にはN-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムという名称が使用されますが、どちらも内容はまったく変わらない成分です。
ステアロイルグルタミン酸Naはどんな化粧品に含まれている?
ステアロイルグルタミン酸Naは、主に付けっぱなしにして使う「リーブオン製品」に含まれることが目立ちます。とくにスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品の成分として採用されることが多いのですが、これは後に説明する乳化をもたらす作用に期待できるためです。
その他にも、わずかながらボディソープやハンドソープ、シャンプーにコンディショナーなどのリンスオフ製品に採用されるケースも見られます。赤ちゃん用の製品に含まれることはさほど多くなく、海外で実施された配合状況調査においては、調査対象外となりました。
ステアロイルグルタミン酸Naの効果・効能
ステアロイルグルタミン酸Naには、乳化をもたらす作用が備わっています。乳化の結果として生み出される成分のことをエマルションといい、親水性が高いものをO/W型、親油性が高いものをW/O型と分類しており、ステアロイルグルタミン酸NaはO/W型の乳化剤に分類される成分です。
親水性あるいは親油性を示す数値としてHLBという単位が使われており、この中でステアロイルグルタミン酸Naは「20以上」という高い親水性を示す数値を出しています。この特性を持つことから電気質との相性に優れており、アミノ酸類などの乳化剤として活用されるケースが目立ちました。
非イオン界面活性剤というカテゴリーに入る成分でありながら、その親水性の高さに起因し、洗浄力や起泡力はあまり高くありません。これが、シャンプーやボディソープといった泡立てて使う洗浄製品の成分として使われることが少ない理由になっています。
ステアロイルグルタミン酸Naの安全性
肌に付けたまま使うタイプの化粧品に配合されることが多い成分であるため、安全性についてより深く知りたいという方が多いものと思われます。本成分は2000年代に複数の動物試験が行われ、その結果が出揃っておりますので、赤ちゃんにとって無害かどうかを確認しておきましょう。
まず皮膚刺激性においては、5%濃度のステアロイルグルタミン酸Naを使用したパッチテストにおいて、中程度の皮膚刺激性があったことが確認されています。一方で濃度を落とした実験結果は非刺激性であり、製品として使用される濃度は1%未満であることから、人体への影響はないと見てよいでしょう。
アレルギー性についても、モルモットによる動物試験が行われています。皮膚感作試験の結果は陰性であり、アレルギー性を持つとは考えられていません。皮膚刺激、アレルギーともに許容範囲内であり、デリケートな肌に対しても安全に使用できます。
ステアロイルグルタミン酸Naは、外原規2006の規格を満たす成分です。医薬部外品原料規格2006に収載されていることから、厚生労働省が安全性を認めている成分と判断でき、この点も安心材料の一つです。
また、ステアロイルグルタミン酸Naは1970年代から我が国で継続的に使用されてきた実績を持っています。近年、化粧品材料として用いられることは少なくなりましたが、成分使用者によるトラブルの報告例がなく、これも動物試験によるポジティブな結果を裏付け、後押しする在庁です。
ステアロイルグルタミン酸Naを使用する際の注意点
皮膚刺激性に関する問題点は見当たりませんが、眼刺激性については軽度の刺激性があることが動物試験の結果で判明しています。後遺症を残すほどのものではありませんが、一時的なかゆみや痛み、充血といった症状を引き起こす可能性があります。
ステアロイルグルタミン酸Naは、目の周りに付ける化粧品成分として使用されることもあります。こういった製品を購入する際には配合されている成分を確認し、当成分の表示が認められた場合には、念のため注意を払いながら使用するように意識しましょう。
まとめ
ステアロイルグルタミン酸Naは、乳化剤として主にリーブオン製品の成分として使われています。特徴は親水性が高くサラサラした性質を持つことであり、洗浄力や起泡力が乏しいため、シャンプーなどに使われることはほぼありません。
皮膚刺激性に関してはとくに問題がなく、赤ちゃんでも安心して使用できる成分です。ただし、動物試験の結果によって眼刺激性が認められることがわかっています。目の周りに使う製品に本成分が含まれる場合は、念のため用法と容量に注意しましょう。