クエン酸とは?効果・効能や安全性について解説

クエン酸とは?効果・効能や安全性について解説

柑橘類などに多く含まれているクエン酸は、食品添加物として使用されることで有名ですが、化粧品成分の一つとして採用されることも少なくありません。掃除の際に用いられることもあるほど万能性の高いクエン酸は、安全性にも問題点がなく使用できる成分なのでしょうか。
人間の生活と深い関わりを持つ成分であるだけに、クエン酸に関する研究は各方面で盛んに行われています。クエン酸が人体にもたらす効果・効能に加えて、化粧品成分として使用する場合に赤ちゃんへの有毒性が認められるのかどうかなど、さまざまな点をわかりやすく解説します。

クエン酸とは

クエン酸は、柑橘類の果実に多く配合されている有機酸の一種です。工業的な製造過程においては、デンプン質をはじめとする糖類を発酵することによって抽出しています。また、動植物内では、ナトリウムなどの塩類として存在することでも知られている成分です。
クエン酸の用途は非常に多く、酸味を持たせることを目的に食品や飲料水に添加されることもあれば、汚れを浮かせて落とす作用が期待され、掃除道具として用いられることもあります。それに加えて、後述するような化粧品に対しても、クエン酸は頻繁に使用されている成分です。

食品や飲料水に添加されたり汚れを浮かせて落とす掃除道具として用いられる

クエン酸はどんな化粧品に含まれている?

2011年に海外で行われた配合調査では、実に約6,800種類にも及ぶ化粧品にクエン酸が配合されていることがわかりました。最も多い配合量の化粧品の場合、なんと全成分のうち39%がクエン酸で占められているものもあり、とくに皮膚接触を伴う製品にクエン酸が用いられるケースが目立っています。
クエン酸が化粧品に多用される理由は、後述するpH調整による緩衝効果を一因として挙げられます。具体的なジャンルでいうと、クエン酸はスキンケア化粧品や洗浄製品、洗顔料や石鹸、ピーリング化粧品、シートマスク製品などに配合されることが多い点が特徴的です。

クエン酸が配合される化粧品

クエン酸の効果・効能

クエン酸による効果として一番に挙げられるのは緩衝性能の高さであり、製品を安定させるための材料として用いられます。また、収れん作用があることもクエン酸の特徴の一つです。それぞれの効果について、詳しく確認してみましょう。

pH調整を行うことによる緩衝効果

化粧品のクオリティを安定させるために必要なものがpHです。pHは大気や細菌にさらされることによって変動を起こしやすいという特徴を秘めていますが、こういった状況化でも安定性を保つ作用を与えるための緩衝材として、クエン酸・クエン酸Naの両方が用いられています。
化粧品にクエン酸を配合することによって、酸やアルカリを製品に添加、あるいは除去したとしても、一定値以上のpHを保つことが可能です。つまり、化粧品の品質を高い状態のまま安定させて留めるための成分として、多くの化粧品にクエン酸が採用されているということです。

化粧品の品質を高い状態のまま安定させて留めることができる

収れん作用が認められている

収れん作用とは、タンパク質を変性させることによって組織や血管を引き締める作用のことです。クエン酸は酸性の成分であるため、その他の配合成分をあえて酸性に引き寄せるために使用でき、収れん性化粧水の原料として用いられることがあります。

収れん性化粧水の原料として用いられることがある

クエン酸の安全性

クエン酸の研究は盛んに行われており、皮膚刺激性やアレルギー性に関するデータも出揃っています。結論としては、安全に使用できる成分ですが、用途次第では若干の注意が必要です。安全性について詳しく解説しましょう。

安全性の基準を満たし、使用実績も長い

クエン酸は、医療上の有効性と安全性の基準をどちらもクリアした成分が収載される日本薬局方と、外原規2006の規格をクリアした成分が収載される医薬部外品原料規格2006のいずれにも収載されています。厚労省が定めた安全性の基準を満たしている成分です。
また、これまでに食用をはじめとするさまざまな用途で活用され、10年以上という長い使用実績を持っています。この間に大きなトラブルの報告例は見当たらず、継続して多数の製品に使用されていることからも、安全性は高いと判断することが可能です。

厚労省が定めた安全性の基準を満たしている成分

皮膚刺激性の問題も事実上ない

ヒト試験の結果、濃度5%以上のクエン酸には若干の皮膚刺激性が認められましたが、それよりも低い数値の場合は刺激性なしと判断できます。国内で用いられる化粧品に配合されるクエン酸濃度は1%未満というケースが多く、安全性に問題は見られません。
また、4%濃度のクエン酸を用いたアレルギー性テストでは、56人の被験者がいずれも皮膚感作の兆候を示すことがありませんでした。皮膚炎を有する場合においても一時刺激のリスクはないと結論付けられており、ここでも問題は見当たりません。

クエン酸を使用する際の注意点

一般的な使用量が守られていればクエン酸に有害性はなく、赤ちゃんでも安心して触れられる成分です。しかし注意しておきたい点が2点あり、第一が眼刺激性を持つことです。10%濃度以上のクエン酸が目の中に入った場合、軽度~中度の刺激性が確認されているため、この点には注意しましょう。
また、収れん化粧品にクエン酸が含まれている場合は、スティンギングが起こるリスクがあることに要注意です。スティンギングとは、製品使用時に感じるピリピリとした痛みを示す言葉であり、とくに敏感肌の方にとっては注意すべき点です。
クエン酸においては、濃度5%以上かつpH5以下という条件下において、皮膚炎などの患者がスティンギングに見舞われる可能性があります。製品購入時にはクエン酸の配合量に注目し、基準を下回るものを選ぶように意識しましょう。

クエン酸を使用する際の注意点

まとめ

クエン酸は食品用・掃除用・化粧品用とさまざまな用途で活用されている成分です。化粧品として使われる際には、主に緩衝効果と収れん性に期待されることが一般的であり、非常に多くの種類の製品に配合されています。
特定の条件下においてスティンギングが起こる可能性があることや、眼刺激性を持つことには注意すべきですが、肌刺激性についての問題はありません。国内で流通している製品であれば、クエン酸配合の品を赤ちゃんに使用したとしても安全です。