エチルヘキサン酸セチルとは?効果・効能や安全性について解説

エチルヘキサン酸セチルとは?効果・効能や安全性について解説

皮膚につけて使う化粧品から、洗い流すシャンプーなどの製品に至るまで、非常に多くの製品に配合されている成分として、エチルヘキサン酸セチルというものがあります。万能性が高いことが大きな特徴ですが、一体どのような効果・効能に期待して、各メーカーが採用しているのでしょうか。
今回は、エチルヘキサン酸セチルに関する基本情報に加え、赤ちゃんが使用する場合の安全性について解説します。つけっぱなしにして使うことが多いアイテムの材料となることが多い成分ですので、詳細をきちんと把握しておきましょう。

エチルヘキサン酸セチルとは

エチルヘキサン酸セチルとは、エチルヘキサン酸と、高級アルコールとして知られるセタノールのエステルです。化粧品成分としては以前までオクタン酸セチルという名前が使われていましたが、現名称へと改称されています。また、医薬部外品として表示される場合の名称は、「2-エチルヘキサン酸セチル」です。
エステルとは、酸とアルコールの両方が組み合わさることで誕生する化学物質のひとつです。エステルが化粧品に使用される目的は、主にテクスチャーの改良です。油ぎったような感触のある成分が含まれる製品を滑らかにし、使い勝手や触り心地を改善することができます。

エチルヘキサン酸セチル

エチルヘキサン酸セチルはどんな化粧品に含まれている?

エチルヘキサン酸セチルが含まれる化粧品は多く、リーブオン製品・リンスオフ製品を問わずに採用されています。とくに多いのは乳化を必要とするスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品ですが、シャンプーやコンディショナーといったヘアケア製品にも、頻繁にエチルヘキサン酸セチルが使われています。
目の周りをはじめとする化粧品に採用されることが多い点が特徴です。成分の効果・効能については、次の項目で詳しくご紹介しますが、エチルヘキサン酸セチルには、顔料を分散させる性能が備わっていることから、化粧品のクオリティを高めるための成分として多用されるのです。

使用されている主な化粧品

エチルヘキサン酸セチルの効果・効能

エチルヘキサン酸セチルから期待できる効果と効能は、主にテクスチャー改良エモリエント作用という2点です。本成分が単体で肌に浸透し、なんらかの作用を与えることはありませんが、そのほかの配合成分を引き立たせ、製品の完成度を高めるための成分として存在感を発揮しています。効果を詳しく解説します。

テクスチャー改良効果

エチルヘキサン酸セチルには油っぽさがなく、軽く柔らかい感触が備わっています。さらに、肌につけるとすんなりと伸びていくような独特の感触を持ち合わせることも特徴のhいとつで、既存成分のテクスチャー改良を目的に化粧品に配合されるケースが目立ちます。
重たくなりすぎると不都合が生じる製品との相性が優れているため、スキンケア化粧品のように伸びやかな使用感が求められる化粧品に多く採用されることが特徴です。水の量が少なくてもすんなりと伸ばすことのできる製品に仕上げることを目指す、ヘアケア製品に多用される理由もここにあります。

肌につけるとすんなりと伸びていくような独特の感触を持ち合わせる

エモリエント作用によって潤いがもたらされる

エチルヘキサン酸セチルがもつもうひとつの作用が、エモリエント作用です。エモリエント作用とは、角質層に潤いを閉じ込めることによって保湿を実現させる作用で、スキンケア化粧品にエチルヘキサン酸セチルを加えることによって、肌の水分量増加を目指すことができます。
さらに、顔料を分散させる能力に長けていることも、エチルヘキサン酸セチルの特性になります。成分同士の個性が強く、ダマのようになってしまうこともあるメイクアップ化粧品においては、つなぎ役として本成分が活躍することにより、顔の上で顔料を均等に行き届かせることが可能です。

角質層に潤いを閉じ込め保湿を実現させる作用がある

エチルヘキサン酸セチルの安全性

エチルヘキサン酸セチルは長い使用実績があり、研究も重ねられている成分です。大人が使用することはもちろん、赤ちゃんに使ったとしてもとくに大きな問題が起きるとは考えられません。ただし、若干の不安材料が残ることも事実です。本成分の安全性について、詳しくご紹介します。

実績があり、医薬部外品原料規格2006に収載されている

エチルヘキサン酸セチルは、過去10年以上に渡る使用実績をもち、現在まで肌のコンディションや健康状態に悪影響を与えたという報告例が見当たりません。多くの人が健康被害なく本成分と向き合い続けているという点が、最大の安心材料になります。
その安全性を裏付ける根拠として、外原規2006規格を満たす成分のみ収載される「医薬部外品原料規格2006」にエチルヘキサン酸セチルの名前が刻まれているという点も挙げられます。厚労省としても安全性に疑問をもっていないため、安心できる成分です。

ヒト試験により皮膚刺激性が少ないことがわかっている

希釈していないエチルヘキサン酸セチルを被験者に塗布した結果、48時間後に軽度の皮膚刺激性を示す被験者が多かったというデータが残っています。ただし、本成分が化粧品材料として使用される際は希釈されることが一般的であり、希釈なしの状態でも重大なトラブルに発展することはありませんでした。
なお、眼刺激性やアレルギー性に関する研究結果は出揃っておらず、不明です。これまでの実績を確認する上ではアレルギーの発症例などは見当たらず、とくに気にする必要はありませんが、データ不足であることは否めません。

エチルヘキサン酸セチルを使用する際の注意点

ヒト試験の結果により、長時間にわたって肌に密着させた場合、軽度の皮膚刺激が起きることがわかっています。希釈された状態であれば問題はありませんが、成分の配合バランスを確認し、なるべく使用量の少ない製品を選んだほうが、より安心して赤ちゃんと向き合うことができるでしょう。

成分の配合バランスを確認し使用量の少ない製品を選ぶ

まとめ

エチルヘキサン酸セチルには、テクスチャー改良効果とエモリエント作用が備わっています。サラっとした肌触りの製品を作れるため、スキンケア化粧品やヘアケア製品などに配合荒れることが多いという特徴をもつ成分です。
長い使用歴があり、その間にアレルギー反応に関する問題点が示されておらず、なおかつ外原規2006の基準もクリアしています。安全性は確保されていますが、希釈なしで使用すると軽度の肌刺激が起きる可能性が高いため、使用前に濃度を確認するひと手間をかけるとよいでしょう。