炭酸水素Naとは?効果・効能や安全性について解説

炭酸水素Naとは?効果・効能や安全性について解説

近年では化粧品成分として採用されることが珍しくなりましたが、稀に原材料名に表示されるものの中に「炭酸水素Na」があります。慣用名としては、「重曹」「重炭酸ソーダ」という言葉が使われることが多く、この名前に聞き覚えがあるという方は多いのではないでしょうか。
意外にも我々の生活と身近な場所にある炭酸水素Naですが、化粧品成分として使われる場合は、どのような効果・効能を発揮するのでしょうか。今回は、赤ちゃんが触れた場合に気になる安全性についても根拠をもって解説しながら、炭酸水素Naの特徴を詳しく解説します。

炭酸水素Naとは

炭酸水素Naとは、炭酸水素イオンとナトリウムイオンによって構成される炭酸水素塩です。一般的には「重曹」「重炭酸ソーダ」「重炭酸ナトリウム」という名前で使われることが多く、膨張剤として食材に添加されることがあるほか、掃除の際のアイテムとしてもお馴染みの存在です。
炭酸水素Naは温泉成分のひとつでもあり、洗浄作用や保湿効果が主な効能として知られています。近年の化粧品成分として使われることは、大人用としても赤ちゃん用としても珍しくなりましたが、洗浄効果が求められる化粧品成分として採用されることがあります。

炭酸水素Na

炭酸水素Naはどんな化粧品に含まれている?

前述したとおり、炭酸水素Naには、洗浄作用と保湿効果が備わっていることから、入浴剤やシャンプー、コンディショナー、ボディソープのような洗浄に関連する化粧品に使われることが一般的です。洗顔料としても使われるなど、デリケートな箇所に使用することも多い成分といえます。
そのほかには、ネイル製品、あるいはマスカラの成分として使われていることも、2002年の製品調査によって明らかにされています。ヘアカラーの原料として混ぜられるケースもあり、着色を伴う化粧品において、サポート役として活用されることもあります。

成分が含まれる主な化粧品

炭酸水素Naの効果・効能

食品を膨張させる効果で有名な炭酸水素Naですが、化粧品成分として使われる場合には、どのような効果・効能を期待できるのでしょうか。先ほど軽く触れた保湿作用以外にも、いくつかの利点が備わっておりますので、その内容を詳しく見てみましょう。

皮膚柔軟化と保湿効果をあわせもつ

炭酸水素Naが温泉成分として著名なことからもわかるように、肌につけることによって皮膚を柔らかくさせ、なおかつ保湿させる効果をあわせもっています。主に入浴剤として炭酸水素Naが配合されている場合、この効能を見込んで採用された可能性が高いと考えられます。

皮膚柔軟化と保湿効果をあわせもつ

pH調整効果により変色と劣化を防ぐ効果がある

水処理において、pH調整を欠かすことができません。炭酸水素Naは、水溶液において弱塩基性をもつことがわかっており、酸性の状態から中和させるためのpH調整剤として重宝されています。これにより、金属イオンの除去などの作用を、さまざまな製品にもたらします。
pH調整を行うことによって、製品の劣化や変色といったトラブルを防ぐことが可能です。とくに入浴剤などを製造する場合は、商品の色合いを含む仕上がりのよさも重視しなければなりません。このクオリティを高め、長期間にわたって保つための切り札として、炭酸水素Naが採用されることがあります。

pH調整効果により変色と劣化を防ぐ効果がある

血行促進の効果を見込める

炭酸水素Naは、有機酸を添加することによって炭酸ガスを発生させることが可能です。炭酸ガスの効果によって血行促進の効果に期待できますので、炭酸をいかすことを売りにした入浴剤のほか、洗顔料やゲルパック、シートなどの化粧品成分として採用されることがあります。

炭酸ガスを発生させ血行促進の効果を見込める

炭酸水素Naの安全性

結論からいえば、炭酸水素Naの安全性は高く、赤ちゃんが使用する上でも問題がない成分と判断できます。ここからは、炭酸水素Naが安全であることの根拠を示していきますので、不安を感じられている場合には、とくにじっくりと内容をご確認ください。

国が定める安全基準をクリアしている

安全と評価できる決め手となっているのが、国が定める安全基準をクリアできているという事実です。炭酸水素Naは日本薬局方と医薬部外品原料規格2006の両方に収載されており、厚生労働省がその安全性について認めています。
とくに日本薬局方には、医療上の有効性が認められ、なおかつ安全性の基準をクリアした成分しか収載されることがありません。医薬品として国が認めているのですから、安全に使用できる成分であると判断してなんら問題はないのです。

40年以上にわたって食用としても使用されている

炭酸水素ナトリウムは、化粧品成分などとして使用されてから40年以上が経つ、実績に富んだ成分です。現在にいたるまで重大なトラブルを引き起こしたという報告例はありません。重曹として食用に用いられるため、万一体内に入ってしまったとしても、それが原因で中毒を引き起こす可能性もないのです。

重い皮膚刺激性などが認められない

動物試験において、皮膚刺激性とアレルギー性、そして眼刺激性に関する研究が行われています。皮膚刺激と眼刺激に関してはなんら問題がなく、刺激性についてほとんどないと結論付けられています。重大なトラブルを招くリスクがなく、安心して使用できる成分と考えて問題ありません。

炭酸水素Naを使用する際の注意点

安全性についてとくに疑う必要はありませんが、あえて気がかりな点をご紹介するとすれば、アレルギー性に関するヒト試験が行われていないことです。実験そのものが行われていないため、アレルギー性に関するデータが不足していますが、過去40年の使用実績でトラブルはなく、重度なアレルギー反応を示すことはなさそうです

まとめ

炭酸水素Naは、「重曹」という言葉でもお馴染みの成分です。化粧品成分として用いられる場合は、洗浄作用や保湿効果、そして製品のクオリティを保つために採用されることが多く、近年では入浴剤などに用いられるケースが目立ちます。
安全性に関しても、日本薬局方と医薬部外品原料規格2006の両方に収載されており、皮膚刺激性についても一切認められていません。炭酸水素Na単体なら口の中に入ったとしても安全な成分ですから、赤ちゃんにも安心して使用できる成分といえます。