セスキイソステアリン酸ソルビタンとは?効果・効能や安全性について解説

セスキイソステアリン酸ソルビタンとは?効果・効能や安全性について解説

目元に使用するメイクアップ化粧品に採用されることが多い材料として、セスキイソステアリン酸ソルビタンというものがあります。2000年代以降からメジャーになりはじめた成分ですが、化粧品メーカーは、どのような効果を期待して使用しているのでしょうか。
セスキイソステアリン酸ソルビタンが赤ちゃん用の製品に採用されることはほぼありませんが、ママから赤ちゃんへと、成分が間接的に移ってしまう可能性があります。今回は、仮にそうなった場合に、赤ちゃんに悪影響が及ぶことがないのか、成分の効果とあわせて、安全性についても解説します。

セスキイソステアリン酸ソルビタンとは

セスキイソステアリン酸ソルビタンは、多価アルコールの一種で、ソルビタン脂肪酸エステルというカテゴリーで扱われる非イオン界面活性剤です。化粧品成分としてのみならず、医薬部外品にも同様の名称で使用されることがあります。
日本国内でも長く使用された実績をもちますが、とくに頻繁に化粧品成分として使われるようになったのは2000年代以降です。赤ちゃん用の製品に使われることはほとんどありませんが、主にリーブオン製品を商品化させる上で、欠かせないある役割を果たしています。

セスキイソステアリン酸ソルビタン

セスキイソステアリン酸ソルビタンはどんな化粧品に含まれている?

セスキイソステアリン酸ソルビタンが含まれるのは主にリーブオン製品、つまりつけたままの状態で過ごす化粧品です。長時間にわたって肌と密着させることを前提とした化粧品に使われるため、安全性について、より深く知りたいという方は多いかもしれません。
2014年に行われた調査の結果によると、配合が確認された340種類の製品のうち、実に240種類が目の周りに使う製品に集中していることがわかります。とくにアイクリームや美容液といった化粧品成分のひとつとして、本成分が頻繁に使用されています。

アイクリームや美容液などの目の周りに使う製品が多い

セスキイソステアリン酸ソルビタンの効果・効能

セスキイソステアリン酸ソルビタンから期待できる効果・効能は、「乳化」という作用です。化粧品には多数の成分が含まれていますが、この中には成分同士の相性がよくないものもあります。相性が悪い成分同士は溶け合わず、分散しないという欠点をもつのですが、乳化作用をもつ成分を含むことで解消できます。
つまり、化粧品としての完成度を高め、相乗効果をもたらすために配合されるのがセスキイソステアリン酸ソルビタンということになります。さらに、本成分は混合原料として採用されることもありますので、それぞれを詳しくご紹介します。

乳化剤として使用される

化粧品成分として採用される際には、ほぼ例外なく乳化剤として使われています。親油性と親水性を判断する基準となるHLB値において、セスキイソステアリン酸ソルビタンは4.5という数値を出しており、親油性の高い乳化剤として見なされています。
ただし、単体では成分を分散させる能力が高くはなく、そのほかの乳化剤と組み合わせて使われることが一般的です。セスキイソステアリン酸ソルビタンはバターなどと同じW/O型の乳化剤であるため、セットになるのは牛乳などと同じO/W型の乳化剤になります。

親油性の高い乳化剤として使用される

混合原料として使われることもある

前述したように、セスキイソステアリン酸ソルビタンは、そのほかの乳化剤と組み合わせることによって相乗効果を発揮する成分です。そのため、混合材料のひとつとして採用される場合があり、「NIKKOL ニコムルス SE W」の原料名が表示されている製品には、本成分が含まれていると考えられます。
これは、アイシャドーやクレンジング、美容液などに配合されることが多い混合原料です。構成成分にはBGやトリイソステアリン酸PEG-20グリセリルなどがあり、いずれも安全性に関しては、特段の問題が見られない成分と評価できます。

「NIKKOL ニコムルス SE W」が表示されている製品には本成分が含まれている

セスキイソステアリン酸ソルビタンの安全性

結論としては、セスキイソステアリン酸ソルビタンは、赤ちゃんでも安全に使用できる成分です。外原規2006の規格をクリアした成分だけが掲載される「医薬部外品原料規格2006」にも収載されている成分ですので、厚生労働省による厳しい審査を突破できるだけの安全性が備わっています。
皮膚刺激性については、ヒト試験と動物試験が実施されています。動物試験においては「最小限の刺激性あり」という報告がありますが、ヒト試験によって行われたパッチテストでは、10人の被験者がいずれもネガティブな皮膚反応を示すことがありませんでした。
眼刺激性に関するテストは、動物試験でのみ実施されています。本成分を含む成分を点眼後に観察を行った結果、最小限の眼刺激性があることが確認されました。一時的な充血などを引き起こすリスクがありますが、失明などの重大な問題が起こることはない数値と判断できます。

セスキイソステアリン酸ソルビタンは赤ちゃんでも安全に使用できる成分

セスキイソステアリン酸ソルビタンを使用する際の注意点

注意点として認識しなければならないのは、現段階でアレルギー性の有無について、根拠のある実験が行われていないことです。化粧品成分として使用する上でアレルギー発症のリスクがあるかどうかについて、現段階では明確に安全であるという根拠が示されていません。
一方で、セスキイソステアリン酸ソルビタンは、1950年代から継続的に使用されてきた成分でもあります。2020年現在で、この間に本成分が原因でアレルギーを発症したという報告例や実証例は存在しておらず、一定期間の継続使用を行ったとしても、とくに問題が発生することはないと考えられます。

アレルギーを発症したという実証例は存在していない

まとめ

セスキイソステアリン酸ソルビタンには、乳化作用があり、混ざりにくい成分同士の間に立ち、製品のクオリティを高めるための成分として多くの化粧品に採用されています。赤ちゃん用に使われることはほぼありませんが、主に女性用のメイクアップ化粧品、とくにアイクリームなど目元につけるアイテムに多用されています。
1950年代から継続的に使用されていることに加え、外原規2006の基準もクリアしています。アレルギー性の有無に関する有効な実験は認められませんが、皮膚刺激性に問題がないことはヒト試験により実証されています。そのため、赤ちゃんが触れても安全な成分と評価できます。