メタクリル酸メチルクロスポリマーとは?効果・効能や安全性について解説

メタクリル酸メチルクロスポリマーとは?効果・効能や安全性について解説

ここ10年の間に、メイクアップ化粧品の成分として使われる機会が増えたのが、メタクリル酸メチルクロスポリマーという成分です。使われる化粧品の性質上、赤ちゃんが使う化粧品に配合される機会はほぼありませんが、一緒に暮らす上では、安全性が気になるところでしょう。
今回は、メタクリル酸メチルクロスポリマーに関する基本的な情報に加えて、効能や効果、使用する際の注意点をお伝えします。なお、この成分が安全と評価できる場合には、その根拠もあわせてわかりやすく解説します。

メタクリル酸メチルクロスポリマーとは

メタクリル酸メチルクロスポリマーとは、アクリル樹脂のポリメタクリル酸メチルという物質を化学的に変質させた微粒子です。医薬部外品としては「ポリアクリル酸アルキル」という名前で、慣用名としては「架橋PMMA」という名前で呼ばれることが一般的ですが、いずれも内容は変わりません。

メタクリル酸メチルクロスポリマー

メタクリル酸メチルクロスポリマーはどんな化粧品に含まれている?

メタクリル酸メチルクロスポリマーが化粧品成分として使われる場合は、リーブオン製品(つけっぱなしで使う製品)に採用されることが一般的です。本成分が使用された製品数は、2008年時点で144商品でしたが、2018年には423商品にまで増えており、より一般的な成分として認知されるようになりました。
とくに多く使われているのは、リキッドタイプ・パウダータイプ双方のファンデーションやアイライナー、チーク、口紅、コンシーラー、パウダータイプのアイシャドーです。その理由は、この後にご紹介する効果・効能をご覧いただけばわかりますが、テクスチャー改良や充填という効果に期待できるためです。

成分が含まれている主な化粧品

メタクリル酸メチルクロスポリマーの効果・効能

メタクリル酸メチルクロスポリマーの効果として、テクスチャー改良と充填という2つが挙げられます。また、表面処理粉体の構成成分として使用される場合があります。それぞれの詳細を、この項目で詳しく解説しましょう。

テクスチャー改良効果に期待できる

メタクリル酸メチルクロスポリマーは非常に小さな球体の微粒子であり、さらに表面が平らで滑らかな構造をもつため、とても優れた触り心地です。さらに、エタノールをはじめとする有機溶媒にも安定性をもち、汎用性が高いことも特徴のひとつです。
本成分を配合することにより、商品そのものの触り心地や使い心地が改良されます。そのため、肌に直接つけて、しかも長時間そのままの状態にしておくことが多いファンデーションや口紅、コンシーラー、チークといった化粧品材料に用いられることが多いのです。

本成分を配合することにより触り心地や使い心地が改良される

充填剤としての効果をもち合わせている

メタクリル酸メチルクロスポリマーは、充填剤としても使われています。充填剤は、そのほかの有効成分の効能を原料の濃度のままで持続させた上で、質量そのものを増やすために使われます。簡単にいえば、量の少ない成分にメタクリル酸メチルクロスポリマーを添加することで、品質はそのままに、量だけを増やせるのです。
パウダー製品にメタクリル酸メチルクロスポリマーを追加することで、粒子を補強することができ、破断を防ぎやすくなります。化粧品にとって衝撃は大敵になりますが、この補強効果によって商品そのものの割れを予防することができ、製品の耐久性を高めることが可能です。

商品そのものの割れを予防し耐久性を高めることが可能

表面処理粉体として使われることもある

そのほかの成分に対する表面処理剤として活用することによって、その成分が抱えている弱点を補うことができます。メタクリル酸メチルクロスポリマーが使われる主な原料名は、以下の3点です。

・Silcrusta MK03・プルセア OPZ-50・プルセア OPZ-50-J

こういった原料名が表示されている場合には、メタクリル酸メチルクロスポリマーが成分の一部として使用されている可能性が高いと判断しましょう。

メタクリル酸メチルクロスポリマーの安全性

メタクリル酸メチルクロスポリマーは、ポリアクリル酸アルキルという名前で医薬部外品として使われることがあります。この成分は、医薬部外品原料規格2006に収載されており、外原規2006の規格を満たす安全な成分だということがわかりました。
皮膚刺激性や皮膚感作性(アレルギー性)については、過去にヒト試験が実施されています。この試験では106人の被験者に対して本成分をマスカラとして塗布していますが、いずれの被験者においても皮膚反応は確認されず、安全性が高いことが示されています。
眼刺激性については、インビトロ試験(試験管を使った疑似ヒト試験)が実施されました。この試験による眼刺激性スコアは0であり、非刺激性であることが確認されています。個人差はあるにせよ、眼に入れたとしても、失明などの重大なリスクにさらされるとは考えられません。
さらにメタクリル酸メチルクロスポリマーは、これまでに多くの化粧品成分として採用されており、20年以上にわたって使い続けられています。この間に重大なトラブルが発生したとの報告は見当たらず、この点からも安全性を確認できます。赤ちゃんの肌についたとしても、問題ないといえるでしょう。

用意するもの

メタクリル酸メチルクロスポリマーを使用する際の注意点

メタクリル酸メチルクロスポリマーは、あらゆる面から安全性が確認されており、使用上の注意点はとくに見当たりません。大人用のメイクアップ化粧品に使用されることが主であり、赤ちゃん向けの化粧品に採用されることはほぼありませんが、ママから子どもに成分が移ったとしても皮膚刺激などのリスクはありません

まとめ

メタクリル酸メチルクロスポリマーは、テクスチャー改良や充填を目的として使われる微粒子です。そのほかの成分と混ぜて使うことにより、触り心地をよくしたり、成分そのものを補強したりする効果に期待することができます。そのため、化粧品としてはリーブオン製品に使われることが一般的です。
ヒト試験の結果により、皮膚刺激性やアレルギー性、眼刺激性がないことが確認されており、しかも20年以上にわたってトラブルなく化粧品材料として使われてきた歴史をもっています。医薬部外品原料規格2006にも収載されており、赤ちゃんでも安全に使用できる成分と結論付けることができます。