フェニルトリメチコンとは?効果・効能や安全性について解説

フェニルトリメチコンとは?効果・効能や安全性について解説

ネイルケアからヘアケアまで、美容関連アイテムの成分に注目してみると、フェニルトリメチコンという成分が使われていることがあります。この成分にはどんな特徴があり、どのような効果・効能を期待することができるのでしょうか。
とくにお子さんをおもちの方にとっては、赤ちゃんへの影響についても気になるところです。フェニルトリメチコンを含む化粧品が赤ちゃんの肌に触れた場合、なんらかの悪影響はあるのでしょうか。今回は。学術的な根拠を示しながら、成分の安全性についてわかりやすくご紹介します。

フェニルトリメチコンとは

フェニルトリメチコンは、フェニル変性シリコーンの一種です。変性シリコーンとは、成分そのものの強みをそのままに残しながら、別の性質を付加したシリコーンオイルのことです。医薬部外品として使用される際には、メチルフェニルポリシロキサンという名前が使われます。

フェニルトリメチコンとは

アルコールに対して溶けやすいという性質をもつことが最大の特徴で、撥水性を高めるための成分として、化粧品に採用されることがあります。ただし、頻繁に化粧品成分として活用されることはなく、どちらかといえば珍しい成分といえるでしょう。

フェニルトリメチコンはどんな化粧品に含まれている?

効果について詳しくは後述しますが、フェニルトリメチコンには、皮膜形成や光沢の付与といった作用が含まれるため、コンディショナーやなどの化粧品に使用されることがあります。保湿性にも長けているため、ハンドクリームやボディクリームといったリーブオン製品に使われることも多い成分です。
また、製品の滑らかさをアップさせる効果も秘められていることから、ネイル除光液のように滑りやすさが重要になるアイテムにも活用される場合があります。メイク用のアイテムとしてはアイシャドウなどに配合されることがあります。ただし、赤ちゃん向けのアイテムに使用される機会は、ほとんどありません。

皮膜形成や光沢の付与し製品の滑らかさをアップさせる

フェニルトリメチコンの効果・効能

フェニルトリメチコンは、大きくわけて4つの効果・効能に期待できます。配合製品数の調査によると、1986年と2002年を比較した場合、フェニルトリメチコンを配合する化粧品製品の数は3倍以上にまで増加しており、近年注目度を増した成分であることもわかります。具体的な効果を見てみましょう。

皮脂形成効果

フェニルトリメチコンには、撥水性があることが認められています。水を弾きやすくすることに加えて、皮膚につけることによって、ツヤと滑らかさを生み出すことが可能です。この作用をいかすことにも期待され、コンディショナーなどのヘアケアに関連する配合成分に使用されます。

ツヤと滑らかさを生み出すヘアケア商品に配合されている

分散効果

とくに有機成分を分散させる効果をもつことから、表面処理の際に使われます。具体例としては、ファンデーションのようなパウダー状の化粧品を挙げられます。一か所に固まらず、均等に分散させるための潤滑剤として使われることも、フェニルトリメチコンの特徴のひとつです。

均等に分散させるための潤滑剤としてパウダー状の化粧品に配合

光沢を与えられる

フェニルトリメチコンは、光の屈折率が高く、光を反射しやすい特徴をもつ成分であることから、そのほかの成分に対して光沢を与えられる成分でもあります。皮脂形成の効果との相乗効果にも期待でき、一部のスタイリング剤などにも使用されることがあります。

光の屈折率が高く反射しやすいためスタイリング剤として使用

溶剤として使われる

フェニルトリメチコンは、シリコーンオイルやそのほかの油剤を溶かすことは困難ですが、貴重なシリコーンオイルの溶剤として使用されています。フェニルトリメチコンが主体性をもって肌に浸透することがありませんが、そのほかの成分の潤滑剤として広く活躍しています。

フェニルトリメチコンは溶剤として使われる

フェニルトリメチコンの安全性

フェニルトリメチコンは、あらゆる角度で安全性を確認するための試験が行われています。結論としては、皮膚刺激性等に関して不安を感じるような点はなく、安全です。赤ちゃんの肌に触れたとしても安心できる理由について、詳しく解説します。

1.厚労省によって一定の安全性が認められている

フェニルトリメチコンは、医薬部外品原料規格2006、医薬品添加物規格2018の両方に収載されています。これは厚労省によって一定の安全性が認められたことを示すデータですので、人体にとって大きな悪影響が及ぶ心配はないと考えられます。

2.ヒト試験によって刺激性がほぼないことがわかっている

ヒト試験や動物試験によって皮膚刺激、アレルギー性、眼刺激性、光感作性という4つの部門がそれぞれ調査されています。この結果、いずれも刺激性がほとんどないことがわかっています。仮に多少の刺激を感じることがあったとしても、重大な問題に陥るリスクはありません。

3.30年以上に渡って使用されている

フェニルトリメチコンは、1986年に行われた調査においても、50種類もの化粧品材料として活用されていることがわかっています。これまでの30年以上に渡る期間において継続的に利用されており、重大な事故歴はありません。この事実も、フェニルトリメチコンの安全性を示す根拠の一つです。

フェニルトリメチコンを使用する際の注意点

安全面においては重大な問題点が見当たらず、注意すべき点は見当たりません。ただし、眼刺激性に関する動物試験の結果、個体によっては結膜炎が発生する可能性があることが指摘されています。とくに赤ちゃんの顔に近付けて使用する際には、眼に入らないように念のために注意すべきでしょう。

個体によっては結膜炎が発生する可能性がある

まとめ

フェニルトリメチコンはシリコーンオイルの一種で、成分に配合することによって、飛膜形成や光沢の付与、溶剤としての効果、そして分散作用に期待することができます。使用されることが多い化粧品としては、コンディショナーなどのヘアケア製品や、ハンドクリームなどのリーブオン製品が挙げられます。
医薬品添加物規格2018と医薬部外品原料規格2006の両方に収載されていることに加えて、30年以上にわたる使用歴があります。結膜炎に代表される若干の眼刺激性には注意すべきですが、皮膚刺激性などはヒト試験によって否定されており、基本的には、赤ちゃんに使用しても安全な成分といえます。