PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンとは?効果・効能や安全性について解説

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンとは?効果・効能や安全性について解説

皮膚へのリーブオン製品の成分として配合されることが多いPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンですが、各化粧品メーカーは、本成分にどのような効果・効能があると考えているのでしょうか。その理由を知るためには、成分ならではの特性を理解しなければなりません。とくにママ・パパにとって気がかりになるのが安全性です。
今回は、赤ちゃんにとってなんらかの悪影響があるかどうか、過去に行われた試験データを根拠に用いながら解説します。注意点も含めて、成分の長所と短所をそれぞれ認識しておきましょう。

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンとは

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンは、シリコーン系界面活性剤の一種です。シリコーンのメチル基の一部を、酸化エチレンに置き換える形で作られることが特徴で、複数の単量体が結合を繰り返して、まとまった重合体として扱われます。
シリコーン系界面活性剤は、乳化やゲル化を目的に使われることや、テクスチャーを改良すること、そしてヘアコンディショニングのための潤滑剤として使われることがあります。本成分に関しては、主にシリコーン油を乳化させることを目的に配合される機会が目立っています。

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコン

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンはどんな化粧品に含まれている?

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンは、リーブオン製品の成分として採用されることが多いことが特徴です。代表的な例としては、ファンデーションをはじめとする化粧下地やチークなどを挙げることができます。これらの化粧品に配合される理由は、この成分に乳化剤としての効果を求められるためです。
それ以外では、スキンケア化粧品や日焼け止めアイテムにも、PEG9-ポリジメチルシロキシエチルジメリコンが使われることがあります。こちらも、そのほかの成分を乳化させることを目的に、貴重な調整役として本成分を用いるケースが目立ちます。

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコン配合の化粧品

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンの効果・効能

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンから期待できる効果・効能は、シリコーン油を乳化させるという一点です。シリコーン油の乳化を行える成分はとても少なく、貴重な品として本成分が活用されています。細かな効果を解説します。

シリコーン油を乳化させられる

シリコーン油は、乳化することは非常に難しいことで知られており、製品化する際には多くの乳化剤が必要になります。PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンは、高いクオリティでシリコーン油を乳化させられる貴重な成分として、数多くの製品で成分のひとつとして使われています。
親油性と親和性の度合いを示す数値として、「HLB」が使われます。PEG9-ポリジメチルシロキシエチルジメリコンの場合、HLBは4.0であり、親油性の高さが特徴です。シリコーンを分散させる能力をもつ本成分は、特有の油っぽさを排除し、あっさりした質感に変化させる力をもち、製品化を容易にしています。
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンは、乳化の際にW/O型エマルションとして分類されます。これはバターやマーガリンと同じものと考えましょう。一方で、真逆となるO/W型エマルションの一例を挙げると、牛乳や生クリームなどになります。

高いクオリティでシリコーン油を乳化させられる

混合乳化剤として使用されることがある

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンは、そのほかの乳化剤や原料と混合されて配合されることがあります。この場合は原料名が変化し、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンという名前が排除されることになりますから、本成分を使用したくないという場合には避けましょう。
具体的には、KGO-225の原料に本成分が使われています。これは、製剤のテクスチャーを改良したり、安定感を発揮させたりするために使われるW/O型の乳化剤です。KGO-255に含まれるそのほかの代表的な成分としては、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、クロスポリマーといった成分を挙げられます。

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンの安全性

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンは、医薬品として使用される成分ではないことから、日本薬局方や医薬部外品原料規格2006などに収載されることはありません。安全性を図るための基準が減るため、安全性の有無については、慎重に検討する必要があります。

混合乳化剤として使用されることがある

皮膚刺激性の有無について

皮膚刺激性については、動物試験とインビトロ試験が行われています。動物試験では、わずかな皮膚刺激性があることが指摘されており、無害とはいえません。また、同様の動物試験においては、アレルギー性が確認されないことがわかっています。赤ちゃんに利用する場合は注意する必要があるため、できるかぎり避けたほうがいいでしょう。
インビトロ試験とは、試験管の中で人体と同じような状況を作り出し、刺激性が示されるかどうかを検査する試験です。インビトロ試験においては刺激性がないという結果が出ており、人体への使用において大きなトラブルが生じることはないと考えられます。

赤ちゃんに利用する場合は注意する必要がある

眼刺激性の有無について

眼刺激性についても、インビトロ試験が行われています。この試験では、鶏卵を用いて本成分の処理を行った結果、「若干の刺激性あり」という結果が導き出されています。重篤な問題ではないにせよ、充血などの諸症状には注意しなければなりません。

充血などの諸症状には注意する

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンを使用する際の注意点

注意点としては、ヒト試験が実施されておらず、あくまでもインビトロ試験や動物試験にとどまっているという点があります。しかも試験結果は、決してよいとはいえません。低いレベルではありますが、皮膚刺激・眼刺激ともに認められており、赤ちゃんに使用する際には注意しなければなりません。

まとめ

PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメリコンは、シリコーン系界面活性剤としての性能をいかし、多くの化粧品で用いられています。1990年代から継続的に使用されており、致命的な皮膚刺激や眼刺激が認められたという報告例はありません。
一方で、ヒト試験の実績に乏しい成分であり、なおかつわずかな刺激性があると指摘されています。大きなトラブルが起きる可能性はほとんどありませんが、赤ちゃんなどのデリケートな肌につけて使用することは、できれば避けておきたい成分といえるでしょう。

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