ラウロイルリシンとは?効果・効能や安全性について解説

ラウロイルリシンとは?効果・効能や安全性について解説

化粧品成分の一種として頻繁に使われる成分に、ラウロイルリシンがあります。ファンデーションから口紅まで、さまざまなアイテムに多用されているラウロイルリシンは、一体何を目的に使用されており、どんな役目を果たしているのでしょうか。
ラウロイルリシンは、赤ちゃん向けの商品に使用されることはほぼありませんが、ママの化粧品が肌に付着する可能性は十分に考えられます。今回は、デリケートな赤ちゃんの肌についても問題ない成分なのかどうか、安全性についても詳しく解説します。

ラウロイルリシンとは

ラウロイルリシンとは、高級脂肪酸のラウリン酸と、アミノ酸の一種リシンのアミド(脱水縮合させたもの)で、六角版状の結晶です。医薬部外品として表示される際には、Nε-ラウロイル-L-リジンという名称が使われることが一般的です。
ラウロイルリシンは、アミノ酸系の界面活性剤として研究・開発された歴史をもっています。構造としては良性界面活性剤なのですが、不溶性であることが原因で、界面活性剤として働くことができません。結果的に、撥水性と潤滑性という2つの特性を活かせる機能性粉体として使われることが一般的です。

ラウロイルリシン

ラウロイルリシンはどんな化粧品に含まれている?

ラウロイルリシンは、リーブオン製品(つけっぱなしにする化粧品)に使用される成分です。ごく一部のリンスオフ成分に使われることもありますが、ノンカラーの毛髪関連アイテムに使われる以外は、メイクアップ化粧品の材料として使用されています。
とくに目の周りに使用する化粧品材料として用いられることが多く、さまざまな価格帯のアイテムに使われます。性質上、赤ちゃん向けの化粧品に使われることはまずありませんが、スキンシップの際に赤ちゃんの肌にラウロイルリシンが触れる可能性はありますので、安全性について把握しておきましょう。

ラウロイルリシン配合の化粧品

ラウロイルリシンの効果・効能

ラウロイルリシンは、テクスチャー改良と、親水性粉体を表面処理することを目的に使われることが一般的です。ラウロイルリシンがもつ潤滑性に期待して配合されることが多いのですが、これがどのような効果・効能をもたらすのか、項目ごとに踏み込んで解説します。

潤滑性を買われてテクスチャー改良のために使用される

ラウロイルリシンの特徴として、潤滑性に富んでいるという点が挙げられます。ファンデーションやアイシャドー、口紅といった化粧品は、成分を肌に馴染ませて発色させるために潤滑剤を配合することが一般的で、この目的を果たす上でマッチするラウロイルリシンは、頻繁に活用されています。
さらにラウロイルリシンには疎水性であることも特徴で、タルクやマイカなどの親水性無機粉体に若干量を加えることによって、これらの素材の表面にくっつき、疎水化(水をはじくようにする)効果を発揮します。揮発性を求める化粧品にラウロイルリシンが多用されるのは、このためです。
また、同等の役目を果たすその他の材料と比較して、より透明性が高いこともラウロイルリシンの長所になります。化粧品に配合されている本来の色合いを失わせずに済む成分であるため、見た目の印象を高めるという成果にも期待できます。

潤滑性を買われてテクスチャー改良のために使用される

親水性粉体の表面処理に使われる

ラウロイルリシンは、親和性の高いリシン残基と疎水的アシル基という化学構造をもっています。マイカや酸化チタンといった油性基材には、粉上の成分が分散しにくいという特性があります。この問題を解消するために、表面処理の材料として、ラウロイルリシンが用いられることもあります。

ラウロイルリシンの安全性

結論からいえば、ラウロイルリシンの安全性は非常に高く、赤ちゃんの肌に付着したとしても、刺激を与えることはまずありません。ラウロイルリシンは医薬部外品原規格2006にも収載されており、厚生労働省からも、一定の安全性が認められている成分です。
皮膚刺激性、あるいはアレルギー性の問題が生じないかどうかという点については、これまでに数回のヒト試験が行われ、研究されてきました。文献を確認すると、これまでに2回のヒト試験が国外で実施されていますが、いずれも刺激性を示すデータは採取されておりません。
とくに2005年に行われた試験では、600人の被験者に対して、ラウロイルリシンを含むパウダー製品を使用したテストを実施しています。この結果、皮膚刺激や皮膚疲労、皮膚感作(アレルギー反応)を示した被験者は一人もおらず、安全であることが解明されています。
なお、眼刺激性については動物試験が行われており、ごくわずかな刺激が確認されています。しかし、刺激ありと判断されたグループの動物も、時間の経過とともに刺激が和らぐことが確認され、失明をはじめとする後遺症が発生したケースは、一例も認められておりません。

ラウロイルリシンは安全であることが解明されている

ラウロイルリシンを使用する際の注意点

ラウロイルリシンは安全に使用できる成分と判断でき、とくに注意点として覚えておくべきことはありません。あえて注意点をひとつ指摘するとするならば、ラウロイルリシンに関する研究があまり多く行われていないということくらいでしょうか。
文献によって確認されている主なテスト結果は、ヒト試験が2回、動物試験が1回という限られたものです。ヒト試験においては多くの被験者を採用してテストを行っており、高い安全性も認められているため、過度に気にする必要はないでしょう。

まとめ

ラウロイルリシンは、ファンデーションや口紅をはじめとするメイクアップ化粧品で多用される成分です。元々は界面活性剤としての働きに期待されて開発が行われましたが、この役目を果たすことはなく、透明性が高く、クオリティをもたらすことができるテクスチャー改良や、表面処理目的で使用されます。
ラウロイルリシンは、外原規2006に収載されるなど、厚生労働省にも認められた成分です。1990年代から約30年間にわたって化粧品成分などに使用されていますが、とくにトラブルの報告例も見当たりません。赤ちゃんの肌についたとしても、安全な成分と結論付けられます。

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