ポリソルベート80とは?効果・効能や安全性について解説

ポリソルベート80とは?効果・効能や安全性について解説

界面活性剤の一種であるポリソルベート80は、乳化作用を含んでいるほか、可溶化剤として使われることもあります。主にリーブオン製品の成分として多用されていますが、赤ちゃんの肌につけても問題はないのでしょうか。
今回は、ポリソルベート80がどのような化粧品に含まれることが多いのかという基本的な情報を筆頭に、期待できる効能や効果、そして気になる安全性も徹底して解説します。赤ちゃんにつける前に、詳しく内容を確認しておきましょう。

ポリソルベート80とは

ポリソルベート80とは、ソルビタン脂肪酸エステルの仲間であるオレイン酸ソルビタンに酸化エチレンを加えた際に得られる、非イオン界面活性剤です。医薬部外品として使用される場合には、「モノオレイン酸ポリオキイエチレンソルビタン」という名前が使われることがあります。
ポリソルベート80は、主に乳化と可溶化という2つの目的のために使われています。乳化は、ある2つの液体同士を混ぜ合わせるために必要となるものであり、可溶化は、原料の中にその他の成分を溶かし込むために必要です。このような特性をもつため、ポリソルベート80は主につなぎ役として重宝されます。

ポリソルベート80

ポリソルベート80はどんな化粧品に含まれている?

上記の2つの目的を達成するために使われる界面活性剤であることから、化粧品としての用途は多岐にわたっています。スキンケアやメイクアップのための化粧品に使われることもあれば、ボディソープやハンドソープにも使われるなど、肌に対して直接的につけて使用するアイテムに多用されています。
そのほかにも、日焼け止めアイテムや、フレグランスなどにもポリソルベート80が活躍します。有効成分を溶かし込む働きや、成分同士を融合させる役割に期待できるため、赤ちゃん用のアイテムを含む様々な化粧品の材料のひとつとして配合されることが多いのです。

ポリソルベート80配合の化粧品

ポリソルベート80の効果・効能

ポリソルベート80の効果・効能として期待できるのは、乳化と可溶化という2点で、いずれも主成分のポテンシャルを引き立たせるために用いられます。そのほかにも、特性を活かして混合材料として使用されるケースもありますので、各項目の特徴を、より詳しく確認してみましょう。

乳化作用があり、成分同士を結合させられる

乳化とは、そのままでは交じり合わないほど相性の悪い原材料同士の間に入り、分散を手助けする作用のことです。極端な例としては、「水と油」はそのままでは決して混ざりませんが、乳化させることができれば、相互の成分を分散させ、混ぜ合わせることが可能になります。
ポリソルベート80は「O/W型乳化」という作用をもたらします。身近にあるもので例えると、生クリームやマヨネーズといった品がO/Wエマルションのひとつです。親水性の高さを示すHLB値では、最大値20に対して15.0を計測しており、親水性の高い界面活性剤として分類可能です。

乳化作用があり成分同士を結合させられる

親水性の高さをもつため、可溶化剤として用いられる

ポリソルベート80は親水性の高さが特徴で、しかも液状で使用できるという特性をもつため、可溶化剤としての効果に期待され、多くの化粧品に配合されます。とくに香料や色素などを溶かす可溶化剤として使用される機会が目立ちます。
グリセリンやエタノール、リン脂質と混ぜて作られる「AMISOLCLEAR」は有名な原料名で、水にビタミンを溶かし込む際の可溶化剤として使われます。このほかにも、多数の構成成分と組み合わせることによって、多くの製品の可溶化剤に用いられています。

親水性の高さをもつため可溶化剤として用いられる

混合原料として使われることもある

一例としては「SIMULGEL EG QD」の構成成分として、コポリマーや水、イソヘキサデカンといった成分とともに混合原料として使われることがあります。これは、質感を調整することが容易なアクリル系乳化増粘剤として、リーブオン成否に使用されます。

混合原料として使われることもある

ポリソルベート80の安全性

ポリソルベート80は、医療上の有効性や安全性が確認されている日本薬局方に収載されているほか、医薬部外品原料規格2006にも収載されています。どちらも一定の安全性が認められた成分しか収載が認められませんので、安心して使用できる成分であることがわかります。
皮膚刺激性については、過去に複数のヒト試験が行われていますが、パッチテストの結果、皮膚反応を示す被験者はいずれの試験でも一人も現れませんでした。眼刺激性についても「最小限」または「非刺激」と評価され、失明などのトラブルが起こる可能性は指摘されていません。
また、1960年頃から化粧品材料として、ポリソルベート80が継続的に使用されています。現在に至るまで重大なトラブルの報告例はなく、むしろ1998年と比較して、2015年にはポリソルベート80を使用する化粧品が増えており、現代科学においても危険性は指摘されていません。
最後に光感作性についてですが、こちらもヒト試験の結果により、被験者に光感作の兆候はなしと結論付けられています。以上の科学的なデータから、赤ちゃんに使用しても問題が生じることはない成分と判断できます。

ポリソルベート80を使用する際の注意点

皮膚刺激性に関するヒト試験では、異常値を示すことがまったくありませんでしたが、アレルギー性の反応については、一部でネガティブなデータが存在します。303人の被験者に対する試験では、合計で39人に、軽度の皮膚刺激が確認されています。
皮膚感作に至るまでの重大な問題は起きていませんが、赤ちゃんに使用する場合のように少しでもリスクを低下させるべきシチュエーションにおいては、パッチテストを実施することがオススメです。肌への異常がないことを確認した上で、ポリソルベート80配合化粧品を使用するとよいでしょう。

まとめ

ポリソルベート80には乳化作用があり、可溶化剤としても化粧品材料の一種として使われることがあります。とくにリーブオン製品で活用されることが多い点が特徴で、赤ちゃん用の化粧品にも稀に使われることがあります。
皮膚刺激性や眼刺激性などはほとんどありませんので、老若男女が安心して触れられる成分です。日本薬局方に収載されていることや、外原規2006の規格を満たしていることも、安心材料のひとつといえるでしょう。

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