ミネラルオイルとは?効果・効能や安全性について解説

ミネラルオイルとは?効果・効能や安全性について解説

流動パラフィンと呼ばれることもあるミネラルオイルは、古くから化粧品成分の1つとして採用されてきました。しかし過去には色素沈着による肌トラブルを引き起こす原因として名指しされたころもあり、安全性に疑問を持つ方も多いかもしれません。
そこで今回は、ミネラルオイルの安全性についてさまざまなデータから解析し、大人や赤ちゃんに使用できるのかどうかを解説します。ミネラルオイルが持つ効果や効能と合わせて、しっかりとチェックしておきましょう。

ミネラルオイルとは

ミネラルオイルは、石油を精製することで賛成する炭化水素の混合物です。医薬部外品としては「流動パラフィン」と表記されることもあります。この際には軽質流動パラフィンと重質流動パラフィンの2つに分類されますが、これは粘度に応じて区分けされるものであり、原材料には何ら変わりがありません。
ミネラルオイルは工業用としても化粧品としても使われます。ただし精製の過程における純度はそれぞれ大きく異なっており、工業用のミネラルオイルは「鉱油」という名前で区別されることが普通です。化粧品や医薬品として使われるミネラルオイルは「化粧品グレード」とも呼ばれています。

ミネラルオイル

ミネラルオイルはどんな化粧品に含まれている?

ミネラルオイルが化粧品に配合される場合は、エモリエント作用やテクスチャー改良効果に期待されることがほとんどです。乳化特性についても優れた作用を発揮することから、クリームや乳液といった化粧品に使われることが多く、ボディオイルなどの製品には油性基材として用いられます。

皮膚への浸透がほとんど見られないこともミネラルオイルの特徴であるため、クレンジング剤やリムーバーの成分として使われることもあります。テクスチャー改良に関しては、潤滑性に長けた成分であることから、やはりクリーム関連製品との相性がよく、こういった化粧品に多用されている成分です。
ミネラルオイル配合の化粧品

ミネラルオイルの効果・効能

ミネラルオイルの効果・効能として期待できるのは、エモリエント作用とテクスチャー改良の2点です。肌を保護して水分を守る効果を持ちながら、潤滑性を与えられる貴重な成分として化粧品に使われています。それぞれの特徴について細かく確認しておきましょう。

植物油と同様のエモリエント作用

ミネラルオイルにおける最大の特徴がエモリエント作用です。大手外資企業が2008年に実施した研究結果によると、ミネラルオイルからはホホバオイルやアーモンドオイルと同様のエモリエント作用があることがわかり、2012年に行われたドイツの大学による試験でも、同様の調査結果が認められています。
ミネラルオイルは不活性で、なおかつ耐水性や潤滑性を併せ持つことから、同じエモリエント作用を持つそのほかの成分と比較して汎用性に長けていると考えられます。肌の水分量を維持できるため、とくに乾燥肌の方にとっては非常に高い価値を持つ成分です。

肌の水分量を維持できる

テクスチャーを改良できる

ミネラルオイルには潤滑性があるため、テクスチャーを改良するための成分としても使われます。そのままではドロドロした状態の成分や薬剤を均等に伸ばし、柔軟に広げる脇役としての働きを見せることもミネラルオイルを成分に配合するメリットです。

成分や薬剤を均等に伸ばし柔軟に広げる

ミネラルオイルの安全性

ミネラルオイルの安全性については議論されることも珍しくありません。過去に皮膚トラブルを起こした事例があることがその理由ですが、この点については詳しく後述しましょう。結論からいえば、現在流通しているミネラルオイルに危険性はなく、赤ちゃんの肌に触れたとしても安全です。
まずミネラルオイルは医薬部外品原料規格2006に収載された、厚生労働省からも安全性を認められている成分です。化粧品として活用されてきた歴史も半世紀以上と長く、人間との付き合いも深い成分ですし、医療上の有効性が確認された成分だけが収載される日本漢方局にも名前が刻まれています。
ミネラルオイルは植物油の1種であり、ホホバオイルをはじめとするそのほかの植物油と同じように、角質層よりも深い場所に浸透することはありません。皮膚刺激性、眼刺激性ともに重大な問題を示すデータは見つかっておらず、総合的に見て安全な成分と判断できます。

危険性はなく赤ちゃんの肌にも安全に使用できる

1970年代に発生した色素沈着のトラブルは解決済み

ミネラルオイルは、1970年代に色素沈着に代表される肌トラブルを引き起こした経歴を有しています。そのため現代でも安全性に関する疑問を持つ人物は多く、一部では悪評が見られることもあります。ただし、この問題はすでに解決済みであり、現在流通しているミネラルオイルにはこのような問題が見受けられません。
色素沈着の原因となったのは、精製度の低いミネラルオイルが化粧品用として使用されたことでした。現在は不純物を取り除く精製法が確立されており、肌トラブルを起こすリスクのないミネラルオイルが流通しているため、安全に使用できます。

ミネラルオイルを使用する際の注意点

ミネラルオイルは近年の精製技術向上により改良が重ねられています。長年にわたって使用されてきた成分でもあることから、トータルで見れば高い安全性を持つと評価できますが、実は十分なヒト試験が行われた歴史を持っているわけではありません。
とくにアレルギー性や眼刺激性に関する研究は、データが不足しており、学術的な面で安全と言い切ることができません。過去の事例から見てトラブルが起きる可能性はほぼありませんが、心配が残る場合は、念のためパッチテストを実施したうえで使用することをおすすめします。

まとめ

石油を精製することで生み出されるミネラルオイルには、エモリエント作用やテクスチャー改良効果が備わっています。乳化特製に秀でていることから、乳液やクリームといった化粧品との相性がよく、赤ちゃん用の化粧品成分として使用されることもあります。
1970年代には色素沈着のトラブルを起こしていますが、現在は精製技術が進歩し、安全な領域まで不純物を取り除いたミネラルオイルが流通するようになりました。有毒性を指摘する声も現在は見受けられず、安全性の高い成分であると結論付けられます。

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