酸化チタンとは?効果・効能や安全性について解説

酸化チタンとは?効果・効能や安全性について解説

酸化チタンは紫外線をカットする効果があるとされ、日焼け止めをはじめとする多くの化粧品成分として採用されてきました。しかし近年の研究により、発がん性を持つ可能性があることがわかり、これはニュースでも報道されています。
現在も化粧品成分として継続使用されている酸化チタンですが、人体、とくに赤ちゃんへの悪影響は見受けられるのでしょうか。そこで今回は、気になる発がん性のリスクについて詳しく解説し、酸化チタンの効果や効能を合わせてお伝えします。

酸化チタンとは

酸化チタンは、酸化鉱物の1種であるチタン鉄鉱を粉砕した際に発生した、不溶性のチタン酸化物です。慣用名としては「二酸化チタン」、医薬部外品としては「微粒子酸化チタン」と表記されることもありますが、いずれも酸化チタンであることには変わりありません。
酸化チタンは工業用に使用されることもあり、この場合は屈折率に応じて結晶構造が変わります。具体的には、屈折率2.71の場合は「ルチル型」、2.52の場合は「アナターゼ型」と呼ばれています。アナターゼ型と比較すると、ルチル型のほうがより反射能力が高くなり、隠ぺい力が上がるという特性があります。
化粧品として酸化チタンが用いられる場合は、酸化力を抑えるために、表面に対してコーティング処理が行われます。この際のコーティング剤として用いられるのは、シリカやステアリン酸、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコンなどの成分となることが一般的です。

酸化チタン

酸化チタンはどんな化粧品に含まれている?

酸化チタンには、紫外線をシャットアウトする効果が備わっているため、日焼け止めやスキンケア化粧品、ネイル製品などに含まれています。また、光の屈折によって表面を白く見せる効果にも期待できるため、メイクアップ化粧品として採用されることも珍しくありません。

化粧品に含まれる酸化チタン

酸化チタンの効果・効能

酸化チタンから期待できる効果・効能は、先ほどもお伝えしていますが、紫外線遮断と着色効果という2点です。とくに紫外線を遮断する効果に関しては、赤ちゃんが受けられる恩恵も大きく、魅力的な作用と言えるでしょう。それぞれの効果を発揮するメカニズムを詳しくご紹介します。

UVBを吸収して紫外線を遮断させる効果

紫外線にはUVA、UVB、UVCという3つのタイプがあり、それぞれ波長の長さに応じて分類されています。酸化チタンはそれぞれのUVに対抗する力を持っていますが、とくにUVBを吸収する能力に長けており、紫外線から身を守るうえで重要な働きを見せる成分として評価できます。
UVBを浴びると、1時間以内に肌が赤くなりはじめ、炎症を起こしてヒリヒリとした刺激を受けることになります。症状が重い場合には水泡ができたり、将来的に黒化してしまったりという可能性もあります。酸化チタンを利用することにより、これらのリスクを避けられる可能性があるのです。

紫外線から身を守るUVBを吸収する効果がある

光の屈折を利用して肌を白く見せる効果

酸化チタンは屈折率の高い素材であるため、紫外線だけではなく、人間が目視できる可視光に関しても反射させる効果が備わっています。この効果は白色顔料との相性が非常に良く、肌を白く見せる効果に期待できるため、着色成分のアシスト役としても評価されています。

光で反射させ肌を白く見せる効果がある

酸化チタンの安全性

酸化チタンの安全性については、発がん性のリスクについて詳しく述べなければなりません。ヒト試験による皮膚刺激性や眼刺激性などについても確認しながら、酸化チタンを安全に使用できるのかどうか検証しましょう。

動物試験の結果、発がん性が認められている

国際がん研究機関では、酸化チタンについて「グループ2B」という評価を下しています。これは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」という成分を括ったカテゴリーであることから、発がん性に関するリスクにはある程度の警戒をしなければなりません。
この評価を下す根拠となったのは、動物に対して長期間吸入させ続けた結果、脳腫瘍などの病気を発生させるケースが認められたことです。動物に対する発がん性が認められていることは確かですが、一方でヒトに発がん性を与える素材であるかどうかという点については、未だ研究段階の域を出ません。
過去のデータを紐解くと、ヒトが酸化チタンを使用したことによってがんを発症したという経歴はなく、過去15年間において酸化チタンにおける健康被害の報告や相談も認められていません。動物が発がん性を示したことは確かですが、人間に発がん性をもたらす証拠は見あたらないというのが現状です。

人間に対して健康被害などは認められていない

皮膚刺激性に関するリスクは認められていない

皮膚刺激性、アレルギー性、眼刺激性に関してもヒト試験が行われていますが、これらの試験結果からはとくに大きな問題は見つかっていません。とくにアレルギー試験においては、数百人規模の実験においても陽性反応を示す人物は1人もおらず、高い安全性が確認されています。
また、医療上の有効性と安全性が一定の基準以上であると認められ、日本漢方局にも収載されています。10年以上にわたる使用実績を持つ成分でもありますが、赤ちゃんを含む人体への悪影響は報告されておらず、医薬部外品原料規格2006にも収載されています。

10年以上にわたる使用実績を持ち高い安全性が確認されている

酸化チタンを使用する際の注意点

酸化チタンにおいて警戒すべきなのは、前述した発がん性リスクのみです。人間への発がん性は現在のところ認められていませんが、動物試験の結果、国際がん研究機関が一定の危険性を示唆しています。慎重を期するのであれば、酸化チタンを含む化粧品の使用は念のため見合わせるべきでしょう。

まとめ

酸化チタンはチタン鉄鉱から産生されています。効能として認められるのは、紫外線吸収効果と肌を白く見せる効果という2点です。とくに紫外線の1種であるUVBを吸収する能力に長けており、日焼け止め製品などに酸化チタンが採用されるケースが目立ちます。
安全面に関しては、発がん性のリスクについて憂慮すべきではあります。ただし人間への発がん性が確認されたわけではなく、皮膚刺激性などについても認められていません。現段階では安全に使用できる成分と言えますが、慎重を期する場合には使用を見合わせるべきでしょう。

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