化粧品の肌なじみを向上させる効果を持つだけではなく、肌の水分の蒸発を抑えるエモリエント作用も備えているため、メイクアップ化粧品の成分に採用されることがあります。シャンプーやリンスなどにも用いられますが、どちらかと言えばクリームなどのリーブオン製品に使用されることが多い成分です。
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とくに皮膚に接触させるタイプの化粧品に使われることが多く、クリームやパック、美容液、ファンデーション、化粧水、乳液などの成分にもなります。赤ちゃん向けの化粧品成分に採用されることはあまり多くありませんが、ヘアケア製品の溶剤といった形でパルミチン酸エチルヘキシルが活用されることがあります。

パルミチン酸エチルヘキシルには、肌の中に含まれている水分の蒸発を抑えるエモリエント作用と、化粧品の肌なじみをよくするためのテクスチャー改良効果が含まれています。それぞれの効果について、より詳しく確認しておきましょう。

パルミチン酸エチルヘキシルには、皮膚からの水分の蒸発を抑えられるエモリエント作用が含まれています。皮膚を柔軟にさせる効能があるため、保湿剤としての作用にも期待できるでしょう。クリームなどの化粧品にパルミチン酸エチルヘキシルが配合される理由はこのためです。
エモリエント作用を含む化粧品を使用することによって、地肌がカサカサすることを防ぎ、肌荒れを予防できます。乾燥は大人にとっても重大な問題ですが、とくに赤ちゃんの肌はデリケートなので、乾燥性湿疹などの肌トラブルを防ぐために利用をおすすめします。

パルミチン酸エチルヘキシルは、粘度が低く、安定感のある成分としても高く評価されています。カテゴリーとしては油剤に該当しますが、油特有のベタベタしたテクスチャーがありません。このような特性を持つことから、テクスチャー改良成分として化粧品に配合されることも目立っています。
リーブオン製品、つまり肌につけっぱなしにすることが前提の化粧品には、とくに頻繁にパルミチン酸エチルヘキシルが使用されています。パルミチン酸エチルヘキシルは、そのほかの成分を引き立たせるための脇役に徹することもある成分であり、多くの化粧品メーカーから信頼を集めています。

保湿効果やテクスチャー改良効果が認められるパルミチン酸エチルヘキシルですが、肝心の安全性については信頼できる成分なのでしょうか。とくに赤ちゃんに使用する場合や、赤ちゃんと同居している場合には気になるポイントですが、結論から言えばとても安全な成分として信頼を置けます。
まず、パルミチン酸エチルヘキシルは医薬部外品原料規格2006に収載されている成分です。これは外原規2006規格を満たした素材だけが収載されるものであり、厚生労働省が認めた成分と判断できます。ここに収載されている段階で、一定の安全性は保障されているのです。
皮膚刺激性に関しては、各研究機関によってヒト試験が実施されています。数人の被験者に皮膚刺激の兆候が現れたというデータも残っていますが、いずれも重大なトラブルには発展していません。また、その他の研究結果においては「全員陰性」といった実績が残されています。
眼刺激性に関しては、若干の注意が必要です。動物実験による結果において、ごく軽微な眼刺激性が認められたことがわかっています。こちらも失明などの問題を起こす可能性はまずありえませんが、顔につけて使用する商品にパルミチン酸エチルヘキシルが含まれる場合には、念のため注意しておきましょう。
アレルギー性については、100人以上の被験者を対象に試験を行った結果、誰一人として陽性反応を示さなかったという研究結果が残されています。パルミチン酸エチルヘキシルは10年以上にわたって化粧品に採用されている成分でもあり、安全性に関する問題は認められません。

眼刺激性に関する若干の問題以外は、とくに注意すべきポイントは見当たりません。大人用としてはもちろんですが、子ども用・赤ちゃん用の化粧品にパルミチン酸エチルヘキシルが含まれていても有毒性はなく、安全に使用できます。