尿素とは?効果・効能や安全性について解説

尿素とは?効果・効能や安全性について解説

軟膏などに使われる成分として尿素は大変メジャーな存在です。長きにわたり医薬部外品として、そして化粧品として使われてきた成分なので、尿素が配合された商品を使用した経験がある方は多いはずです。
赤ちゃん向けの化粧品の中にも尿素が含まれることがありますが、安全性に関する問題を憂慮する必要はないのでしょうか。今回は、尿素の効果や効能についても触れながら、詳しくご紹介します。

尿素とは

尿素とは、ほ乳類の尿の中に含まれている窒素化合物の1つです。尿素は1773年に発見された、とても深い歴史を持つ成分です。人間を含む動物は、タンパク質などの窒素化合物を取り入れた後で不要になったものを排泄しますが、その中の1種として放出されるのが尿素です。
尿素が化粧品成分として使われるようになったのは、1950年代からと言われています。現代にはたくさんの保湿成分がありますが、尿素はとくに深い歴史を持つ成分と言えます。化粧品のみならず、医薬品として使われることも多く、世間一般に広く普及した成分です。

尿素

尿素はどんな化粧品に含まれている?

化粧品成分として尿素が使われる場合は、主にハンドクリームやボディクリーム、保湿化粧品、ヘアカラーといったアイテムが中心です。効果については後述しますが、とくに期待を持てる効能が「保湿効果」であることから、これらのアイテムに使われることが多いのです。
赤ちゃん用のクリームに尿素が配合されることもありますが、その割合は決して高いとは言えません。尿素はオーソドックスで効果的な成分であることは間違いありませんが、長く活用されてきた定番の成分でもあり、近年になって発見された新しい有効成分が優先されることが多いという点が、その一因と考えられます。

尿素が含まれる化粧品

尿素の効果・効能

尿素は浸透しやすく、強い保湿作用を持つ成分です。化粧品としては保湿目的で使われることが多く、同じく保湿剤として医薬品分野においても、保湿効果をもたらすことによる活躍が認められています。ここからは尿素の効果・効能について、より詳しくご紹介します。

水分量を増やして保湿する効果

尿素は、アミノ酸の1種であるアルギニンが、酵素の力によって変換した結果によって生まれるアミノ酸代謝物です。これが水分と結合することにより、角層タンパクを柔軟にさせる効果が現れることがわかっています。つまり尿素は、角質層に水分を届かせて、柔軟性を持たせるための重要な役割を果たします。
この効果により、余計な角質を除去する働きも見せることから、水分を皮膚に保持させながら地肌をツルツルにさせる効果にも期待できます。水になじみやすいという性質も併せ持っているため、皮膚への浸透も素早く、効率的に水分を行き届かせられるのです。
尿素は複合保湿原料として使用されることもあり、この場合は「LACTIL」「dermofeel quadegra」「AMC Advanced Moisture Complex NP」といった原料名に変わります。用途としては、いずれも保湿剤として使われる点で一致しています。

水分量を増やして保湿する効果

薬剤が浸透しやすく染毛効果に期待できる

尿素は人間の肌になじみやすく、毛髪に対しても深く浸透します。しかも尿素単体が浸透しやすいばかりでなく、同時に配合しているそのほかの成分や薬剤を素早く浸透させるアシスト機能も果たすことから、ヘアカラー剤使用時における染毛促進効果をもたらします。
実際に尿素は、ヘアコンディショナーやリンス、シャンプーといった、成分が毛髪に浸透することによって効果を期待できる製品にも多く用いられています。一見すると、尿素とヘアカラーにはとくに関連性がなさそうにも見えますが、このような効果を持つために採用される機会が増えているのです。

ヘアカラー剤使用時に染毛促進効果をもたらす

尿素の安全性

前述していますが、尿素は1950年代から長く使われ続けてきたおなじみの成分です。有効性と安全性の基準を満たした成分だけが収載される日本漢方局や、厚労省によって認められた医薬部外品原料規格2006に収載されていることからも、高い安全性を確認できます。
そもそも尿素は、人間の尿の中からも見つけられる成分であり、人間がもともと持ち合わせている主要成分の中の1つです。人間は1日に約30gの尿素を放出すると言われており、これをしっかりと補給しなければ、正しくサイクルを繰り返せません。
長い歴史を持つことから、ヒト試験も頻繁に繰り返されていますが、特段大きな有毒性は認められていません。アレルギーに関する報告もとくには見当たりませんが、皮膚刺激性に関しては、尿素の濃度が濃すぎる場合には若干の刺激感や紅斑が認められることはある様子です。
こういった試験結果を受け、現在は尿素の配合濃度を3%以下にするように定められています。日本国内で一般に流通している商品の場合は刺激性について憂慮する必要がなく、眼刺激性についても認められないことが動物実験の結果わかっています。もちろん、赤ちゃんの肌につけても何ら問題は起こりません。

尿素は赤ちゃんにも安心して使用できる成分

尿素を使用する際の注意点

尿素の配合量の上限が3%に設定されていることは先ほどお伝えしたとおりですが、洗い流して使う化粧品に関しては、10%までの濃度の尿素を使うことが認められています。つまり、本来ならば長時間地肌につけることが推奨されていない量の尿素が配合された商品が流通している可能性があるのです。
たとえばリンスやシャンプーといった商品は、濃度10%までの尿素使用を認められています。尿素の濃度が濃いと、地肌につけた際に紅斑や痛み、かゆみが発生する場合があります。尿素を含むシャンプーなどを長時間つけっぱなしにすることは避け、なるべく早く洗い流しましょう。

まとめ

尿素は1950年代から広く使われるようになった、日本人にとってなじみ深い成分の1つです。強い保湿効果を持つことに加えて、併用している成分や薬剤を皮膚・毛髪に浸透させる効能を備えていることから、ボディクリームやヘアカラーなどの化粧品に使われています。
安全性に関してはとくに問題が見当たらず、市販されている尿素配合の化粧品であれば、赤ちゃんに対して使用してもまったく問題はありません。ただし注意点の欄でご紹介したように、高濃度の尿素が含まれるリンスオフ製品に関しては、長時間つけっぱなしにしないように注意しましょう。

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