カリ石ケン素地とは?効果・効能や安全性について解説

カリ石ケン素地とは?効果・効能や安全性について解説

我々の生活にとって欠かすことのできないアイテムの一つに石鹸があります。その成分となるのがカリ石ケン素地であり、ボディソープやハンドソープを含む洗浄製品には、頻繁にこの成分が使用されています。
非常に身近な存在のカリ石ケン素地ですが、安全性に関する問題は見当たらないのでしょうか。赤ちゃんでも安心して使える成分なのかどうか、詳しく解説します。

カリ石ケン素地とは

カリ石ケン素地とは、高級脂肪酸、あるいは油脂のカリウム塩のことを指す言葉です。カテゴリーとしては石鹸に分類され、陰イオン界面活性剤として扱われます。なお、医薬部外品として使用される際の名称は「カリウム石けん用素地」とされることが一般的です。
石鹸を製造する際には、高級脂肪酸や油脂に水素化Kを混合させて化学反応を起こさせることが普通ですが、カリ石ケン素地は単体で石鹸としての作用を持つことが特徴的と言えます。カリ石ケン素地は、50年以上にわたって我が国で使用されてきた、豊富な実績を持つ成分です。

カリ石ケン素地

カリ石ケン素地はどんな化粧品に含まれている?

カリ石ケン素地は、一般的な洗浄用の石鹸として用いられることが多いことに加えて、美容石鹸の成分としても使われることがあります。起泡力に長けることも特徴的であり、フワフワとした質感を出すことを目指すことが多い洗顔料の原料として使用されることも珍しくありません。
その他にも、ボディソープやハンドソープなど、洗浄力を伴う化粧品全般に使用されています。安全性については後に詳しくお伝えしますが、石鹸をつかさどる成分としてごく一般的な材料であるため、赤ちゃん用のボディソープなどに含まれることも多い成分です。

カリ石ケン素地が配合されている化粧品

カリ石ケン素地の効果・効能

カリ石ケン素地の効果・効能は、起泡効果に長けていること、そして高い洗浄効果を持つことの2点です。ごく一般的な石鹸であることから、各メーカーが研究を重ねている成分でもあり、水洗いにおいてコレステロールを除去する効果が高いこともわかっています。詳しく見てみましょう。

起泡性が高く泡立ちやすい

カリ石ケン素地の性質は、高級脂肪酸や油脂の性能によって左右されますが、一般的にはミリスチン酸やオレイン酸が含まれる場合に起泡性がより高くなります。反対にステアリン酸などが含まれる場合は、起泡性・泡持続性の両面でともに期待できません。
一般論として、カリ石ケン素地は泡立ちやすい成分比率に仕上げて作られることが普通です。フワフワしたテクスチャーと高い洗浄力を兼ね備えた製品に仕上がることが何よりの魅力であり、ボディソープなどに応用して使われる機会が多い理由とも言えます。

フワフワと泡立ちやすく高い洗浄力がある

高い洗浄力を持つ

国内の大手化粧品メーカーの実験により、カリウム石鹸による洗濯効果が判明しています。水洗いにおいてはコレステロール比率の減少が確認されており、これによってラウリン酸Kなどが持つ、コレステロールを残留させる特性と全く異なる性質を持つ成分であることが判明しました。
ミリスチン酸Kやオレイン酸Kに関しても、スクワレン洗浄力を示すと同時に、コレステロールを残すという洗濯洗浄性を示しています。脂肪酸の内容次第で洗浄力には差が生まれるものの、いずれにしても高い洗濯洗浄性が認められていることには違いがありません。

化粧品メーカーの実験により高い洗濯洗浄性が認められている

カリ石ケン素地の安全性

カリ石ケン素地は、これまでに50年以上にわたって我々の生活に欠かせない素材として活躍してきました。この間にアレルギー反応などが現れたという重大な報告例は認められず、赤ちゃんの肌に付けたとしても安全と判断できます。さらに詳しく、カリ石ケン素地の安全性を確認してみましょう。

皮膚刺激性に関するネガティブな報告例はない

カリ石ケン素地は長年の使用実績を持つ一方で、現代でも有効なデータとして活用できるような、高レベルの試験が行われたことはありません。データ不足という感は否めませんが、ネガティブな報告例がないことは安心材料になると言えるでしょう。
皮膚刺激のみならず、皮膚感作(アレルギー性)についても発症例は認められていません。こちらも具体的な研究結果が見当たらず根拠には乏しいと言わざるを得ませんが、あくまでも実績を見る限りでは問題点はないと判断できます。
脂肪酸アルカリ塩の肌刺激性について付け加えると、皮膚刺激が強いものとして「ラウリン酸」「ミリスチン酸」「オレイン酸」という3つの成分を挙げられます。可能な限り刺激の少ない製品を使いたいという場合は、この3つの配合比率が少ない製品を選ぶとよいでしょう。

皮膚刺激性に関するネガティブな報告例はない

眼刺激性に関する有効データはない

皮膚刺激性については長年の使用実績から問題なしと判断できますが、眼刺激性に関する有効なデータは見当たりません。カリ石ケン素地が目に入ることによって発生する毒性や危険性については、深く研究された実績がないというのが正直なところです。
こちらも実績をベースとした分析になりますが、カリ石ケン素地を含む製品は目元に近付けて使用することが多い一方で、失明など重篤な問題を引き起こした経歴はありません。目に入った場合は素早く洗い流すなどの対策をとることで、低刺激以上のダメージを受けることはなさそうです。

眼刺激性に関する有効データはない

カリ石ケン素地を使用する際の注意点

注意点として取り上げておきたいのは、配合成分次第で肌がつっぱるような感覚に陥ることがあるという点です。脂肪酸アルカリ塩を含んだ洗顔料の場合、皮膚に吸着したまま残留する時間が長くなることがわかっており、これが原因で肌のかさつきを生むことがあります。

配合成分次第で肌がつっぱるような感覚に陥ることがある

まとめ

カリ石ケン素地は、石鹸をつかさどる成分として非常に有名であり、これまで50年以上にわたって石鹸やボディソープなどの製品に採用されてきました。高級脂肪酸の内容により性能が変わりますが、起泡性に長け、洗浄力が高いことは共通した特徴です。
安全性について、皮膚刺激性や眼刺激性に関する有効な研究データは見当たりません。しかしこれまでの使用実績の中で大きなトラブルを起こした経験がないことは、安全性を示す重要なポイントであり、大人から子どもまで安心して使用できる成分と考えられます。