ボタンエキスは?効果・効能や安全性について解説
中国を代表する花として知られるボタンから抽出されるボタンエキスは、日本人にとっても馴染み深い成分のひとつです。漢方を含む医学においても用いられることが多いほか、化粧品成分として利用されることもあり、お手持ちのアイテムにも、本成分が含まれるものがあるかもしれません。
そこで気になるのが、赤ちゃんを含む人体への影響です。効果や効能について深く知ることも重要ですが、学術的なデータから、安全性についても理解を深めておきましょう。今回は、ボタンエキスに関連する多くの情報を網羅して、信頼して使用できるかどうかについて解説します。
ボタンエキスとは
ボタンエキスとは、中国で伝統的に観賞用として栽培されているボタン(牡丹)の根皮から、水やエタノールなどの混合液を使って抽出したエキスです。ボタンは天然の植物ですので、含まれる成分や濃度には個体差があります。
本成分は、漢方をはじめとした医薬品として用いられることがあります。具体的な効果としては、血液の生成や炎症を抑えるため、あるいは抗菌・鎮痛・抗アレルギー性に期待するために使われることが一般的で、長年にわたって親しまれてきました。
ボタンエキスはどんな化粧品に含まれている?
化粧品としてボタンエキスが用いられる際には、抗菌作用や抗炎症作用、色素沈着抑制作用、バリア機能改善作用を、主な目的として使われます。ボタンエキスが果たす役目は多岐にわたり、それ故に多くの化粧品成分として採用されています。
具体的には、スキンケア化粧品や洗顔料、ボディケア、頭皮や毛髪のケア、そしてメイクアップ化粧品に対して用いられることが一般的です。主に大人がケアすべき諸症状への効能に期待が集まる成分であることから、赤ちゃん向けのアイテムに使われることはさほど多くありません。
ボタンエキスの効果・効能
ボタンエキスによって得られる効能・効果について解説します。主に期待されるのは、抗菌効果・抗炎症効果・色素沈着抑制効果・アンチエイジング効果の4点です。それぞれについて、詳しく確認しておきましょう。
人間の皮膚には、常在菌と呼ばれる菌が常に繁殖しており、これをすべて殺菌すると、健康な皮膚を保つことができません。抗菌効果を得るためには、皮膚常在菌と上手に付き合い、菌のバランスを保つことが大切なポイントです。
ボタンエキスには、不要あるいは過剰な皮膚常在菌を殺菌し、なおかつ人体にとって不可欠な皮膚常在菌を残す効果が備わっています。使用することで皮膚常在菌のバランスを保ち、抗菌効果をもたらすことが大きなメリットです。
紫外線を受けることにより発生し、皮膚に炎症を引き起こすことにある物質に、CXCR3というものがあります。これを放置しているとメラノンの生合成が開始され、色素沈着が起こるという悪循環が生まれますが、ボタンエキスには、CXCR3を抑制する効果があることが確認されています。
つまり、ボタンエキスを化粧品成分として採用することによって、抗炎症効果と色素沈着抑制効果という2つを同時に発揮することが期待できます。メラニン量を減少させることにより、美白効果にも期待できますので、とくに女性にとっては注目すべき作用といえるでしょう。
アンチエイジング効果としては、第一にセラミドの合成促進作用を強みとして挙げられます。角質層をバリアするためにセラミドは欠かせない成分であり、これを合成するボタンエキスを配合することにより、保湿性を高めることが可能です。
また、シワの発生を抑えるために役立つと考えられている、コラゲナーゼやMMP-11といった成分を増加、または抑制する効果があることにも注目です。肌の水分量を保ちつつ、老化防止に直結する成分を増加させる機能をあわせもつ成分であることも、ボタンエキスに注目が集まる要因となっています。
ボタンエキスの安全性
ボタンエキスの安全性を知る上では、まずは厚労省などによる機関からの評価を確認することが重要です。本成分の場合、医療上の有効性と安全性の両方が一定以上と評価できる成分だけが収載される、日本薬局方にボタンエキスの名前が記されているため、安全性は高いと判断できます。
さらに医薬部外品原料規格2006に収載されていること、化粧品として活用されるようになってから約10年の年月が経過していることも、安全性の高さを示しています。国によって認められ、トラブルなく使用されてきた成分ですので、アレルギー性などに関する心配をする必要もないでしょう。赤ちゃんの肌についてしまっても、大きな問題はないでしょう。
ボタンエキスを使用する際の注意点
安全性についてとくに疑問を感じる必要はなく、用法用量を守って使用するという前提があれば、指摘すべき注意点はありません。ひとつだけ不安材料があるとするならば、アレルギー性や皮膚刺激性、眼刺激性などに関するヒト試験の研究結果が、まだ出揃っていないことでしょうか。
理論上のデータだけではなく、最終的に人間が安心して使える成分かどうかを正確に判断するためには、ヒト試験を欠かすことができません。しかしボタンエキスに関しては、現時点で有効と見られるヒト試験、あるいは動物試験による詳細な試験結果が見当たらず、不透明な部分があるというのが実情です。
まとめ
観賞用としてもお馴染みの牡丹から抽出されるボタンエキスには、抗菌・抗炎症・アンチエイジング効果など、さまざまな作用が備わっています。化粧品成分として採用されるケースが多いことに加え、医薬品成分として用いられることも多く、その有効性には、大いに期待することができます。
医薬部外品原料規格2006、日本薬局方の両方に収載され、10年以上の使用歴の中でも大きなトラブルが見当たらず、安全性に関しても高く評価できます。一方で、ヒト試験による研究結果がまだ出揃っておらず、この点だけを注意点として覚えておかなければなりません。