ステアリン酸ソルビタンとは?効果・効能や安全性について解説

ステアリン酸ソルビタンとは?効果・効能や安全性について解説

ステアリン酸ソルビタンは強い乳化作用を持つため、ボディケア製品などで使われることが多い成分です。お手持ちの化粧品の中にも、この成分を含む品があるかもしれませんが、安全性に問題はないのでしょうか。
今回は、ステアリン酸ソルビタンの安全性や効果・効能について詳しくお伝えしていきます。どのような目的で使用されているのか、そして赤ちゃんの肌に触れても問題にならないのか、しっかり整理しておきましょう。

ステアリン酸ソルビタンとは

ステアリン酸ソルビタンは、高級脂肪酸の1つであるステアリン酸をベースに、多価アルコールのソルビタンを結合させた界面活性剤です。ソルビタンは「ソルビトール」という物質から産生されるもので、これは果物や海藻の中に含まれる天然の甘味成分です。
水、あるいは電解質の影響を受けにくいことが特徴で、乳化作用や洗浄力に優れた成分となっています。界面活性剤の中では「非イオン(ノニオン)界面活性剤」というカテゴリーに分けられます。界面活性剤と言うと石鹸などをイメージしがちですが、ステアリン酸ソルビタンは食品添加物としても認められています。

ステアリン酸ソルビタン

ステアリン酸ソルビタンはどんな化粧品に含まれている?

先ほどお伝えしたように、ステアリン酸ソルビタンには乳化作用と洗浄力が秘められています。そのため、化粧品としてはボディソープやハンドソープ、石鹸といったアイテムに使われることが多く、次いでスキンケア化粧品などにも採用されています。
ステアリン酸ソルビタンの洗浄力を生かすことを目的に、シャンプーやクレンジングなどの成分に使用されることも少なくありません。赤ちゃん向けの化粧品に使われることは珍しい成分ですが、家庭内で子どもが触れる可能性がある成分として、安全性について深く理解しておくべき成分と言えるでしょう。

ステアリン酸ソルビタンが配合された化粧品

ステアリン酸ソルビタンの効果・効能

ステアリン酸ソルビタンの効果・効能として期待できるのは、乳化と洗浄力という2点です。そのほかの成分と合わせて混合乳化剤を組成する原料となる場合もあり、さまざまな化粧品に使用されています。ステアリン酸ソルビタンの長所や効能について、この項目でお伝えしていきます。

乳化剤としての役目を果たすことが多い

ステアリン酸ソルビタンは、主に乳化剤としての役割を期待されて化粧品に配合されています。そもそも乳化とは何かと言うと、混ざり合わない液体同士の架け橋となって、均一に分散させる効果を果たす成分のことを指し、親水性の高さを示す指標として「HLB」という値が使われています。
ステアリン酸ソルビタンのHLB価は4.7です。これは親油性が強い成分として扱われるものであり、「W/O型乳化」というカテゴリーに該当します。身近にあるW/O型乳化の例としてはバターやマーガリンがあり、反対に親和性の強い「O/W型乳化」の代表例は牛乳やマヨネーズです。
ステアリン酸ソルビタンは単体でも乳化作用を持ちますが、商品化される際には混合乳化剤の成分として活用されることがほとんどです。そのほかのO/W型乳化剤と混ぜ合わせて、より親水性を強めさせたうえで乳化剤として使用されます。
代表的なものとしては、ステアリン酸グリセリルなどと混合させた「NIKKOL MGS-TGV」、ヤシ酸脂肪スクロースと合わせた「SP ARLACEL 2121 MBAL」があります。とくに後者の場合は、親水性を示すHLBが6.0にまで向上することが特徴です。

乳化剤としての役目を果たす

高い洗浄力を併せ持っている

ステアリン酸ソルビタンは界面活性剤の1種なので、洗浄力の高さにも定評があります。洗顔料やシャンプー、ボディソープといった製品にステアリン酸ソルビタンが使われるのはこのためです。一定の保湿力も持ち合わせていることから、肌や毛髪との相性がよい成分と評価もできます。

高い洗浄力を併せ持っている

ステアリン酸ソルビタンの安全性

ステアリン酸ソルビタンは、薬添規2018規格をクリアした医薬品添加物規格2018と、外原規2006の基準をクリアした医薬部外品原料規格2006の両方に収載されています。厚生労働省からも信頼されている成分であることから、安全性は高いと判断できます。
ステアリン酸ソルビタンは1950年代から継続的に使用されてきましたが、これまでに発売禁止となる事例は見つかりません。アレルギーを引き起こす危険性や光毒性、光感作性についてはほとんど認められず、この点に関する心配をする必要はありません。
一方で気がかりとなるのは、ヒト試験や動物試験においてわずかな刺激を感知したケースが多いことです。ヒト試験においては、ステアリン酸ソルビタンの継続使用後に紅斑などの症状が見られたという報告が多く、体質次第では肌に合わない可能性があることが示唆されています。
かぶれや激しい痛みなどの症状を伴ったり、後遺症を残したりといった重大なトラブルの報告例はありません。眼刺激性に関しても、わずかな角膜刺激程度で収まっており、48時間以内に解消したという検証結果が残っているため、強く問題視するような話ではありません。

体質次第では肌に合わない可能性がある

ステアリン酸ソルビタンを使用する際の注意点

ステアリン酸ソルビタンは基本的に安全な成分ですが、先ほど解説したように、人によって肌に軽い刺激を受ける可能性があります。とくに赤ちゃんに対して使用する場合は、念のために一定の警戒心を持って取り扱うべきと言えるでしょう。
具体的な対策としてはパッチテストが有効です。ステアリン酸ソルビタンを配合する化粧品等を使用する際には、製品を少しだけ肌に付けて放置し、24時間以内に紅斑などの問題が現れないかどうかを確認してから本格使用をはじめましょう。

まとめ

ステアリン酸ソルビタンは非イオン界面活性剤であり、主に乳化作用を目的としてボディケア化粧品に使用されるほか、洗浄力を生かした石鹸類に使われることが多い成分です。赤ちゃん用の製品に使われることは珍しいものの、この成分を用いた製品が家庭内に存在するケースは珍しくありません。
安全性に関してとくに大きな問題は見受けられませんが、ヒト試験によって、紅斑などの肌刺激が現れる可能性があることがわかっています。症状は軽度であり、頻度も多いとは言えませんが、念のために事前のパッチテストを行うことをおすすめします。

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