パルミチン酸イソプロピルとは?効果・効能や安全性について解説

パルミチン酸イソプロピルとは?効果・効能や安全性について解説

近年注目を浴びている成分の1つにパルミチン酸イソプロピルがあります。とても難しい名前ではありますが、使用しているボディケア用品などの成分に表示されているところを見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。
赤ちゃん向けのボディローションなどにも、パルミチン酸イソプロピルが使用されることがあります。そこで今回は、この成分にはどんな特徴があり、どのような効果・効能に期待できるのか、安全性と合わせて詳しく解説します。

パルミチン酸イソプロピルとは

パルミチンイソプロピルは、低級アルコールのイソプロパノールと、高級脂肪酸のパルミチン酸を結合させた脂肪酸エステルです。パルミチン酸はラードやオリーブオイルなどに含まれており、抗酸化作用を持ち、主にビタミンAを安定させる能力を持つことでも知られています。
パルミチン酸はベタつきが強い油剤であるため、そのままの状態で化粧品として商品化させると用途が限定されてしまいます。そこで殺菌効果を持つイソプロパノールと組み合わせてエステル化することにより、さっぱりとした仕上がりになり、多くの化粧品に応用できる成分として生まれ変わるのです。

パルミチン酸イソプロピル

パルミチン酸イソプロピルはどんな化粧品に含まれている?

パルミチン酸イソプロピルは、近年になって多くの化粧品に応用されはじめた成分です。海外の調査結果によると、パルミチン酸イソプロピルの配合製品は2001年に535商品だったことに対し、2013年には1,125商品と、およそ2倍の製品が流通するまでになりました。
具体的な化粧品のジャンルとしては、肌につけたままの状態で効果を促す、いわゆるリーブオン製品に採用されることが目立ちます。とくに皮膚に対して使われることが多く、スキンケア化粧品やボディケア・ハンドケア製品、そしてヘアケア製品などにパルミチン酸イソプロピルが採用されています。

パルミチン酸イソプロピルの効果・効能

パルミチン酸イソプロピルは万能な成分といえます。単体としては水分を与え、ツヤを加えるといった作用を持ち、脇役としてはテクスチャーの改良を引き出すことが可能です。それぞれの効果・効能について、詳しくチェックしておきましょう。

エモリエント作用により肌の水分量を維持できる

パルミチン酸イソプロピルが持つ最大の魅力はエモリエント作用です。とくにオイル製品の基材として用いられる際に力を発揮することが多く、そのほかの油剤との相性に優れています。成分を肌にとどめさせ、キープするための保護膜として、強い効果を発揮します。
ベタつきがなく、サラッとした仕上がりになることもパルミチン酸イソプロピルの特徴です。粘度の高い成分の効果はそのままに、使いやすく希釈する効果を秘めています。患部に塗布した際に肌に吸い付くようにして伸びるので、商品の元となる成分に相乗効果を与えられます。

エモリエント作用により肌の水分量を維持できる

毛髪のツヤを引き出せる

上述したエモリエント作用は、肌だけではなく毛髪に対してもよい影響を与えます。上質な油剤としてヘアクリームやヘアオイルに用いられることにより、髪の毛に対するツヤを与えると同時に、毛髪を保護する作用にも期待できるのです。
パルミチン酸イソプロピルは、毛髪につけた際も脂ぎったベトベトとした感触を出すことがありません。使用中に不快感を覚えることがなく、なおかつ髪の毛全体に対して均一に伸ばしやすい成分なので、非常に多くの製品に採用されるに至ったと考えられます。

毛髪のツヤを引き出せる

テクスチャーを改良するための成分としても使われる

スキンケア化粧品などを製造する際には、メーカーはできる限りベタつきがなく不快感を覚えない製品を開発しようとします。すでにお伝えしていますが、パルミチン酸イソプロピルにはギトギトした油分を引き伸ばす効果が備わっているため、テクスチャー改良のための脇役として採用されることも珍しくありません。
とくにロウや非極性油は水と油のように混ざりにくい物質同士ですが、この間に入って成分を均一化させる効果も持ち合わせています。そのほかにも、香料や色素を溶解させる作用が備わっていることもポイントで、溶剤として使われるケースも認められます。

パルミチン酸イソプロピルの安全性

パルミチン酸イソプロピルは、医薬品添加物規格2018と、医薬部外品原料規格2006の両方に収載されている成分です。厚生労働省によって安全性にお墨付きが与えられており、なおかつ30年以上にわたり使用されている成分なので、危険性は見当たりません。
皮膚刺激性やアレルギー性については、ヒト試験が繰り返し行われています。いずれも被験者に皮膚刺激の兆候が見られることはなく、安全性が再確認される結果となっています。光毒性に関してもヒト試験が行われていますが、ここでも問題が見つかることはありませんでした。
以上の結果から、パルミチン酸イソプロピルの安全性について憂慮する必要は一切ないことがわかりました。赤ちゃん用の商品としてもまれに使われることがある成分ですが、既定されたとおりの使い方を徹底していれば、健康面をはじめとする諸問題が起こることはありません。

パルミチン酸イソプロピルは安全に使用できる

パルミチン酸イソプロピルを使用する際の注意点

動物試験の結果、パルミチン酸イソプロピルには若干の眼刺激性があることが認められています。この成分は洗顔フォームやアイブロウなどに用いられることもあり、目の近くで使用する可能性は十分にあります。失明などの重大なトラブルは決して起こりませんが、念のために注意すべきでしょう。

まとめ

パルミチン酸イソプロピルは、イソプロパノールとパルミチン酸を結合してエステル化させた成分です。単体としてもエモリエント作用をもたらしますが、それ以上にテクスチャーを改良させたり、溶剤として使用したりすることを目的に化粧品に配合されるケースが目立ちます。
医薬部外品原料規格2018にも収載されており、ヒト試験の結果も良好で、皮膚刺激性やアレルギーなどの問題は見受けられません。赤ちゃんの肌にも優しく作用する成分なので、安全性に関するリスクに警戒する必要はないと結論付けられます。

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