アミノ酸とは?効果・効能や安全性について解説
人間が生きていくうえで欠かせない成分に「アミノ酸」があります。アミノ酸は食品やサプリメントから摂取するものというイメージが強いのですが、現代では化粧品の成分として使われる機会が増えてきました。
今回は、アミノ酸の効果や効能についてお伝えし、化粧品として使用する場合の安全性も解説します。赤ちゃんの肌に触れても問題がない成分なのかどうか、この記事を通じてチェックしてみましょう。
アミノ酸とは
アミノ酸は、1806年にフランスではじめて発見された物質です。すべてのはじまりはアスパラから見つかった「アスパラギン」ですが、それ以降に研究が進み、グリシンやロイシン、タンパク質などすべてのアミノ酸が1935年までに見つかったといわれています。
人間の体のうち、2割はアミノ酸で作られています。筋肉や内臓の細胞を作り出すヘモグロビンMや、髪の毛や皮膚を構成するコラーゲンもタンパク質の1種です。人間の健康を維持するうえでアミノ酸は必須であり、今この瞬間も極めて重要な要素であり続けているのです。
アミノ酸はどんな化粧品に含まれている?
アミノ酸には、角質の水分量を増やすことによる保湿効果が備わっています。保湿効果は化粧品にとって極めて重要なものですから、ボディケア・ハンドケア製品からクレンジング、ヘアケア、洗顔料に至るまで、アミノ酸配合の化粧品はとても多く販売されています。
皮膚の中に吸収されにくいというアミノ酸の特性は、スキンケア化粧品やシートマスク製品といった化粧品にも生かされています。アミノ酸は赤ちゃん向けの化粧品に配合されることもあり、食品以外の分野においてもますます一般化が進められています。
アミノ酸の効果・効能
アミノ酸は、主に皮膚用と毛髪用という2つのパターンで化粧品として使われることが一般的です。アミノ酸の種類は合計で数十種類に及ぶため、化粧品の用途に応じて使われるアミノ酸の種類も変わります。化粧品から期待できるアミノ酸の効果・効能を、使用部位ごとに解説します。
アミノ酸を皮膚に対する化粧品として使用する場合は、主に保湿作用を持たせることを目的として用います。アミノ酸の保湿力が優れていることは、先ほどの項目でお伝えしたとおりです。肌の水分量をキープさせるうえで、アミノ酸は強い効果を発揮するのです。
さらにアミノ酸は皮膚のpHに近い状態の成分であることから、化粧品として使用した際の肌荒れを防ぎやすいこともメリットに挙げられます。一般的な石鹸類にはアルカリ酸が使われることが多いのですが、アミノ酸系の商品に切り替えるだけでも、肌を優しく守る効果に期待できます。
保湿という役割に期待して化粧品成分に使用する場合は、複数の種類のアミノ酸を組み合わせることが一般的です。とくにセリン、フリシン、アラニン、アルギニンはたっぷりと配合されることが多く、次いでプロリンやバリンといったアミノ酸もメジャーな存在として知られています。
アミノ酸が持つ保湿作用は、毛髪に対しても優れた効果を与えます。美しく健康的な毛髪を保つためには、水分を閉じ込めておくことが重要です。アミノ酸は毛髪表面の「キューティクル」を保湿できる成分なので、ヘアケアアイテムにも頻繁に用いられています。
「髪の毛を染めた後にパサパサしてしまう」という問題に悩まされる方も多いかもしれませんが、これはキューティクルが損傷し、アミノ酸が不足したことで起きるトラブルです。こういったトラブルを解決するために、コンディショナーやシャンプーにアミノ酸が配合されることが多くなっています。
毛髪修復を目的にアミノ酸を配合する場合は、ヒスチジンやアルギニンが成分として採用されることが一般的です。そのほかにもトレオニン、セリン、グルタミン+グルタミン酸、ロイシンといったアミノ酸が配合されることも多く、非常に多くのヘアケア製品の成分一覧から、これらの名前を見つけられます。
アミノ酸の安全性
アミノ酸は人体にとって必須であり、それは大人も子どもも赤ちゃんも変わりません。サプリメントなどで体内に取り込んで使用する場合も、化粧品の成分として肌や毛髪に付けて使用する場合も、危険性について憂慮する必要はまったくないでしょう。
一例としてアルギニンの場合、1980年代から頻繁に使用されており、日本漢方局や医薬部外品原料規格2006にも収載されています。安全性は厚生労働省によって認められているため、赤ちゃんでも問題なく使用できます。
上記で紹介したアルギニンは、成長ホルモンの分泌を高める成分も含まれるなど、赤ちゃんの健全な成長をサポートするうえでむしろ必要不可欠な成分です。アミノ酸は普段の食事においても不足しがちなので、化粧品として使用することに加えて、食生活に多く取り入れることを意識すべきといえるでしょう。
アミノ酸を使用する際の注意点
アミノ酸のメリットとして保湿力をご紹介しました。アミノ酸による保湿効果は数時間程度にも及び、保湿持続性の高い成分として評価できます。しかしその一方で、これは健康な角質層における検証結果に過ぎないことは理解しておかなければなりません。
皮膚炎などを持つ患者の場合や、肌のバリア機能が低下している場合には、アミノ酸による保湿持続性は低下することが解明されています。必ずしも強力な保湿力を維持できるわけではないため、この点への注意は必要です。
まとめ
アミノ酸は人体を維持するうえで必要不可欠な存在です。サプリメントなどに配合されるイメージが強い成分ですが、高い保湿力や毛髪修復能力を備えることも特徴の1つであるため、ボディケアからヘアケアまでさまざまな化粧品の原材料として用いられています。
記事中では一例としてアルギニンを取り上げましたが、アレルギーをはじめとする皮膚刺激は認められませんでした。漢方局や外原規2006においても収載されている成分でもあり、赤ちゃんの肌にも安心して使えます。