フェノキシエタノールとは?効果・効能や安全性について解説

フェノキシエタノールとは?効果・効能や安全性について解説

化粧品の原材料を確認してみると、フェノキシエタノールという成分が使用されていることがあります。ノンアルコールの化粧品を選んだにも関わらず、エタノールが配合されていることに違和感を覚えた経験があるという方もいるかもしれません。
そこで今回は、多くの化粧品に含まれるフェノキシエタノールとはどんな成分で、どのような効果・効能に期待できるのかをご紹介します。また、赤ちゃんへの影響や安全性についてもわかりやすく解説します。

フェノキシエタノールとは

フェノキシエタノールは、主に化粧品の防腐剤として使用される芳香族アルコールの1種です。名前に「エタノール」は含まれるため誤解されることが多いのですが、酩酊成分として分類されるエタノールとは異なるため、アルコールアレルギーを抱える方でも問題なく使用できます
天然成分としては、日本茶として有名な玉露に含まれる成分として知られています。そのほかにも綿花地帯で空中を漂う物質からフェノキシエタノールが検出されたという報告性もあり、日本人が無意識のうちに体内に取り込んできた成分の1種であるとも考えられています。

フェノキシエタノールはどんな化粧品に含まれている?

フェノキシエタノールは防腐剤として使用されています。美容効果などは含まれない成分ですが、汎用性は非常に高く、スキンケア化粧品からボディケアアイテム、ハンドケアアイテム、メイクアップ化粧品、洗顔料、さらに石鹸や日焼け止めなどにもフェノキシエタノールが配合されています。
具体的には、とくにシャンプーやクレンジング、保湿化粧品、フェイス&ネック商品などに配合されることが多く、一般的な知名度が高い成分でもあります。赤ちゃん用の化粧品としては、2006年以降に使用されることが増えてきました。

フェノキシエタノールはどんな化粧品に含まれている?

フェノキシエタノールの効果・効能

フェノキシエタノールから期待できる効果・効能は防腐作用です。化粧品の原材料の中には、そのままでは長持ちさせることが難しい成分も多く存在します。細菌の繁殖を防ぐために不可欠な防腐作用を持つフェノキシエタノールの魅力を、さらに詳しく解説します。

グラム陰性菌に対抗する能力が高い

フェノキシエタノールが持つ防腐効果において、とくに強い対抗能力を発揮できる相手となるのがグラム陰性菌です。グラム陰性菌はサルモネラ菌やコレラ、大腸菌・赤痢菌などを引き起こす原因となるため、とくに赤ちゃんが吸収してしまわないように注意すべき細菌です。
フェノキシエタノールは、グラム陰性菌の1種である緑膿菌と大腸菌に対してとくに強く作用することが研究により解明されています。防腐剤の中にはグラム陰性菌への対応を苦手とするものも多く、そうした欠点を補完するために使われることが多いという点もフェノキシエタノールの特徴といえます。

パラベンの欠点を補う成分として用いられることが多い

防腐剤としてはパラベンも非常に有名な成分です。パラベンはフェノキシエタノールと比較して殺菌能力が高く、より少ない配合量で抗菌効果を発揮するという強みを持ちますが、一方でグラム陰性菌の排除が苦手です。フェノキシエタノールは、パラベンの欠点を補うために使われることも多い成分となっています。
グラム陰性菌以外にも、カンジダやコウジカビといった、パラベンでは対処しきれない微生物に対してもフェノキシエタノールが有効性を持っています。また、パラベンには多少のリスクが伴うアレルギー反応に関しても、フェノキシエタノールでは安全性が認められています。

フェノキシエタノールの安全性

フェノキシエタノールの安全性

先ほどの項目でもご紹介したように、フェノキシエタノールにはアレルギーの心配がありません。研究機関によって行われたヒト試験では、数千人に対してフェノキシエタノールのパッチテストを実施していますが、アレルギー反応を確認できた被験者は1人もいませんでした。
皮膚炎を有する患者にフェノキシエタノールを使用した場合も、皮膚に対する刺激が認められたのは数百人中たった1人だったという研究結果も残っています。絶対に皮膚刺激性がないとは断言できませんが、ごく一部の例外を除き、ほぼ確実に安全に使用できる成分と見て間違いありません。
眼刺激性については動物実験が行われています。数件の研究結果をまとめると、希釈していないフェノキシエタノールを点眼した動物の眼には重篤な損傷が発生しましたが、5%程度にまで希釈して点眼した動物は、軽度の刺激で済んだという結果に落ち着いています。
医薬部外品にフェノキシエタノールを配合する場合は、配合量の上限を1.0にまで抑えることが求められています。現在、市場に流通しているフェノキシエタノール配合化粧品は十分な希釈が行われているため、赤ちゃんの肌に触れたとしても失明などの重大なリスクを招くとは考えられません。
フェノキシエタノールは医薬部外品原料規格2006にも収載されています。化粧品としての使用歴も10年を超過しており、安全な成分と結論付けられます

フェノキシエタノールを使用する際の注意点

フェノキシエタノールの注意点としては、先ほどもご紹介した眼刺激性に関する問題を挙げなければなりません。研究結果により、2%以下にまで濃度を下げれば、眼に入ったとしても強い刺激を受けることはありませんが、それ以上の濃度で点眼することは危険です。
使用する際には可能な限り目の中に入れないように注意することが大切です。また基準を満たしていると確信できない化粧品の使用はおすすめできません。とくに個人輸入の薬品には注意が必要なので、使用しないように強く意識しておきましょう。

まとめ

フェノキシエタノールは、防腐剤として多くの化粧品に採用される成分です。赤ちゃん用のアイテムにも稀に含まれることがあり、とくにグラム陰性菌に対抗する能力に期待できます。
医薬部外品原料規格2006に収載された成分であり、皮膚刺激性は認められません。日本国内で流通している化粧品の場合はまったく問題ありませんが、基準値以上のフェノキシエタノールが配合される場合は眼刺激性が強いため、個人輸入した商品に含まれている場合は注意しましょう。