ミリスチン酸ポリグリセリル-10とは?効果・効能や安全性について解説
目次
- ・ミリスチン酸ポリグリセリル-10とは
- ・ミリスチン酸ポリグリセリル-10はどんな化粧品に含まれている?
- ・ミリスチン酸ポリグリセリル-10の効果・効能
- ・ミリスチン酸ポリグリセリル-10を使用する際の注意点
- ・まとめ
赤ちゃんの肌はとても敏感。ちょっとしたことで肌トラブルを引き起こすこともありますよね。そこで気になるのが、赤ちゃんの肌に直接触れるローションやクリームなどのベビー用アイテムです。赤ちゃんが生まれてから成分を気にするようになったというママパパも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ミリスチン酸ポリグリセリル-10の効果や効能、安全性についてお伝えします。
ミリスチン酸ポリグリセリル-10とは
ミリスチン酸ポリグリセリル-10とは、ミリスチン酸を親油基とした多価アルコールの一種で、多価アルコールエステル型のポリグリセリン脂肪酸エステルに分類される非イオン界面活性剤です。一般的に「アルコール」というとエタノールが想像されがちですが、多価アルコールはまったく別の物質だと考えてくださいね。
そして、非イオン界面活性剤は、水に溶けたときにイオン化しない親水基を持つことから、水の硬度や電解質の影響を受けにくく、そのほかの界面活性剤と併用できるため使いやすいという特徴があります。また、乳化性や分散性、洗浄性など、さまざまな性能面での評価も高いため、近年多く使用されるようになってきた成分です。
なお、化粧品の成分としてはミリスチン酸ポリグリセリル-10と呼ばれますが、医薬部外品に配合される際には「モノミリスチン酸デカグリセリル」と表示されます。
ミリスチン酸ポリグリセリル-10はどんな化粧品に含まれている?
ミリスチン酸ポリグリセリル-10は、スキンケア化粧品をはじめ、ボディケア製品やハンドケア製品、洗顔料、ボディソープ製品など、幅広く使用されています。赤ちゃん用のアイテムですと、ローションやクリーム、UVケア製品などにも使用されています。
ミリスチン酸ポリグリセリル-10の効果・効能
では、ミリスチン酸ポリグリセリル-10の効果・効能を見ていきましょう。
乳化とは、油や水分のように本来混ざり合わないものを均一に分散させ、混ざった状態を作ることです。
たとえば、マヨネーズを思い出してください。マヨネーズの原料は、主に酢と油と卵です。酢と油は本来混ざり合わないものですが、しっかり振ることで一時的に混ざった状態になります。しかし、時間が経てばまた分離してしまいますよね。
そこで、混ざった状態を保つために必要なのが卵。卵を入れることで、均一に混ざった状態が維持できるので、マヨネーズにおいての乳化剤は卵ということになります。
これを化粧品に置き換えてみましょう。本来混ざり合わない2つの液体を混ぜ込むのが「乳化」。その結果出来上がったものを「エマルション」と言いますが、実は乳液やクリームなどのほとんどはエマルションです。このエマルションを一定の品質に保つために乳化を助ける乳化剤(界面活性剤)が必要なのですが、その一つがミリスチン酸ポリグリセリル-10というわけです。
米国化粧品工業会(CTFA)理事会によって、科学者の判断で化粧品成分の安全性を判定することを目的に設立されたCIR機構の化粧品成分総点検(Cosmetic Ingredient Review)によると、ミリスチン酸ポリグリセリル-10について次のような安全性データが得られています。
試験データによると、ヒト実験によって皮膚への刺激性はほとんどなしとされています。しかし、眼への刺激性については、動物実験において、最初の1時間で中程度の結膜刺激が観察された後、24時間で最小限、48時間で完全に消失という結果が…。このことから、ミリスチン酸ポリグリセリル-10は、眼刺激性について「非刺激-最小限」であると考えられています。
また、アレルギー性についてはデータ不足のため詳細は不明とされているものの、安全性の基準を満たした成分として「医薬部外品原料規格2006」に収載されていますので、基本的に安全性が高いと言えます。総合的に考えると、適切な配合量や使用方法の範囲であれば、安全性には問題ないと考えてよいでしょう。
ミリスチン酸ポリグリセリル-10を使用する際の注意点
ミリスチン酸ポリグリセリル-10は、基本的には赤ちゃんにも使用できます。しかし、そもそも赤ちゃんの皮膚はとても薄くてバリア機能が未熟です。どんなに優しい成分で作られていても、場合によっては肌トラブルの原因となる可能性も考えておきましょう。
また、一つの製品にも複数の成分が含まれていますので、ミリスチン酸ポリグリセリル-10以外の成分が原因で肌トラブルを引き起こすことも考えられます。そのため、赤ちゃんが初めて使う製品は、必ずパッチテストをするようにしましょう。パッチテストとは、製品に含まれる成分に対して、赤みやかゆみ、かぶれなどが起こらないかを事前に調べるためのテストです。
パッチテストには複数のやり方がありますが、赤ちゃんや敏感肌の人の場合はより念入りに、3日間ほどかけて様子を見たほうが安心です。次にご紹介する方法を参考にしてみてくださいね。
赤みやかぶれが出た場合には、すぐに洗い流してパッチテストを終了してください。翌日も入浴後の清潔な肌に製品を塗るということを繰り返して、3日間続けて異常がなければパッチテストは終了です。
なお、スキンケアアイテムのパッチテストでは、皮膚が薄い二の腕などに直接原液を塗りますが、せっけんやシャンプーのパッチテストの場合は原液をそのまま塗らないようにしましょう。この場合、原液を精製水で薄めたものを使用します。ガーゼに染み込ませて塗布するか、絆創膏のガーゼ部分に塗ってから貼ってあげてくださいね。
まとめ
今回は、ミリスチン酸ポリグリセリル-10の効果や効能、安全性についてお伝えしました。ミリスチン酸ポリグリセリル-10は、非イオン界面活性剤として多くの製品に使用されている成分です。基本的には安全ですが、赤ちゃんに初めて使用する際にはパッチテストを行いましょう。赤ちゃんの肌に合っているか、しっかりチェックしてから使うようにしてくださいね。