大人はもちろん、赤ちゃんにもスキンケアが欠かせませんが、どんなアイテムを使ったらいいか悩んでしまいますよね。含まれている成分が、赤ちゃんにとって安心・安全なものか事前にチェックしておきたいママパパも多いでしょう。
今回は、トリエチルヘキサノインについて、効果・効能・安全性がどのようなものかお伝えします。

トリエチルヘキサノインとは、飽和脂肪酸の一種である「2-エチルヘキサン酸」と、多価アルコールの一種である「グリセリン」を結合したトリエステル（トリグリセリド）です。化粧品の成分としてはトリエチルヘキサノイン、医薬部外品に配合される際には「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」と表示されます。
簡単に言うと、トリエチルヘキサノインは「天然油脂と同じ構造を持った合成の液状オイル」です。しかし、天然油脂と同じ構造でありながら酸化しにくいなど、安定性に優れているという特徴があります。そのため、季節や産地によって成分構造にバラつきが生じやすい天然油脂に代わって、トリエチルヘキサノインの使用が増えているとも言えるでしょう。
また、合成成分なので生産量に不安が少なく、安定した供給が可能であることも需要とされる理由の一つです。

トリエチルヘキサノインの効果・効能

では、トリエチルヘキサノインの効果や効能について見ていきましょう。

ベタつかず、肌なじみがよい

トリエチルヘキサノインは、ベタつきがなく軽い使用感であることに加え、肌なじみがよいのが特徴です。また、ほかのオイルとの相溶性がよいため乳化しやすく、スキンケア化粧品のテクスチャーをよくするための感触改良剤や基剤として使用されています。

油膜で水分の蒸発を防ぐ

トリエチルヘキサノインは、水蒸気通気性の優れた薄い油膜を形成できます。これによって、肌の角質に含まれる水分が外部に蒸発するのを防ぎ、保湿効果をもたらすというわけです。

トリエチルヘキサノインの安全性

トリエチルヘキサノインは「合成の液状オイル」であるとお伝えしましたが、「合成」という部分に不安を感じるママパパも少なくないかもしれませんね。
しかし、米国化粧品工業会（CTFA）理事会によって計画されて設立されたCIR機構の化粧品成分総点検（Cosmetic Ingredient Review）によると、次のような安全性データが得られています。

そもそもこの総点検は、科学者の判断で化粧品成分の安全性を判定することが目的とされたものです。そして、この結果はヒト実験や動物実験によって得られたデータですので、適切な配合量や使用方法の範囲であれば、安全性には問題ないと考えてよいでしょう。
また、医薬部外品としても、安全性の基準を満たした成分として「医薬部外品原料規格2006」に収載されていますので、基本的に安全性が高いと言えます。

トリエチルヘキサノインは安全性が高いため、基本的には敏感肌の方や赤ちゃんにも使用できます。しかし、それぞれの製品には複数の成分が含まれていますので、トリエチルヘキサノインには問題がなかったとしても、そのほかの成分が原因で肌トラブルを引き起こす可能性も否定できません。
とくに、赤ちゃんの皮膚はとても薄くてバリア機能が未熟ですので、どんなに優しい成分で作られていても、場合によっては肌トラブルの原因となる可能性も0ではありませんよね。そのため、赤ちゃんが初めて使う製品については、必ずパッチテストをすることをおすすめします。
パッチテストとは、製品に含まれる成分に対して、赤みやかゆみ、かぶれなどが起こらないか、事前に調べるためのテストです。パッチテストには複数のやり方がありますが、赤ちゃんの場合はより念入りに、3日間ほどかけて様子を見たほうが安心です。手順は次のとおり。ぜひ参考にしてみてくださいね。

赤みやかぶれが出た時点で、パッチテストは終了しましょう。3日間繰り返した結果、何も異常がないようであればその製品を使用しても大丈夫です。
なお、スキンケアアイテムのパッチテストでは、皮膚が薄くい二の腕などに直接原液を塗りますが、せっけんやシャンプーのパッチテストの場合は原液をそのまま塗らないようにしましょう。この場合、原液を精製水で薄めたものを使用します。ガーゼに染み込ませて塗布するか、絆創膏のガーゼ部分に塗ってから貼ってあげてくださいね。