赤ちゃんは中耳炎になりやすい?中耳炎の症状・原因や予防法について解説
目次
- ・赤ちゃんの中耳炎の症状と原因
- ・赤ちゃんが中耳炎になりやすいのはなぜ?
- ・赤ちゃんが見せる中耳炎のサイン
- ・赤ちゃんの中耳炎の治療法
- ・赤ちゃんの中耳炎が治るまでのホームケア
- ・赤ちゃんの中耳炎を予防するには
- ・まとめ
赤ちゃんがかかりやすい病気の一つが中耳炎。2歳までには、約9割もの赤ちゃんが経験すると言われるほどです。中耳炎は発熱や痛みを伴うので、赤ちゃんにとってもつらいですよね。もし中耳炎になっても、できる限り早く治してあげたいものです。
そこで今回は、中耳炎の症状や原因、治療法、予防法について詳しくお伝えします。中耳炎を何度も繰り返さないように、ぜひ参考にしてみてください。
赤ちゃんの中耳炎の症状と原因
耳には、外側から順番に、外耳、中耳、内耳(がいじ、ちゅうじ、ないじ)という3つの部分で形成されていますが、そのうち、鼓膜の奥にある空洞が中耳です。この中耳に炎症が起こるのが中耳炎。中耳炎にはいくつか種類がありますが、特に多いのが急性中耳炎と滲出性中耳炎です。まずは、それぞれの症状と原因を見ていきましょう。
急性中耳炎とは、風邪などのウイルスや細菌の感染症が中耳に入り込むことで起こる急性の炎症です。生後6ヶ月までに約半数、1歳までに約8割、2歳までに約9割の赤ちゃんが1度はかかると言われるほど赤ちゃんには身近な病気で、発熱や耳の痛み、耳だれなどの症状が現れます。
そして、最大の原因は鼻水です。鼻の奥に溜まった細菌が耳と鼻をつなぐ管(耳管)から中耳に侵入して中耳炎を引き起こしています。
滲出性中耳炎は、中耳に滲出液が溜まってしまった状態です。急性中耳炎の治療過程で発症することもありますし、急性中耳炎が悪化して滲出性中耳炎になってしまうこともあります。この場合、急性中耳炎のような痛みや発熱はなく、主な症状は耳の閉そく感や難聴です。目に見える症状がないので気付くのが遅くなることもあります。
赤ちゃんが中耳炎になりやすいのはなぜ?
では、なぜ赤ちゃんは中耳炎になりやすいのでしょうか?その理由を見ていきましょう。
生後6ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、ママのおなかにいたときにもらった免疫に守られているので、あまり病気をしません。そして、生後6ヶ月を過ぎるとその免疫は減少し、自分で免疫を作り始めます。しかし、まだ赤ちゃんの作る免疫だけでは十分ではなく、抵抗力が弱いもの。そのため、風邪をひきやすい状態でもあります。風邪をひくと鼻水が出ますよね。その分、中耳炎になる確率が高いということになります。
耳管(じかん)は、成長と共に細く長くなり角度がついていきます。しかし、赤ちゃんの耳管は、太く短く角度がほぼ水平。そのため、鼻で増殖した細菌やウイルスが自然と中耳に入り込みやすい構造なのです。
赤ちゃんが見せる中耳炎のサイン
当然ですが、赤ちゃんは体調の悪さや不快感を言葉で伝えることができません。つまり、お世話をするママパパが気付いてあげなければならないということ。そこで、赤ちゃんが見せる中耳炎のサインを確認していきましょう。
風邪をひいた後にこれらのサインが出たら中耳炎を疑ってみてください。サインを見落とさないことが早期発見のポイントです。
ママパパが話しかけても振り向かない、返事をしないなど、理由もなく赤ちゃんが反応してくれない場合には滲出性中耳炎が原因で聞こえていないのかもしれません。この状態が長く続くと、言語の発達に影響が出ることもありますので早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。
赤ちゃんの中耳炎の治療法
赤ちゃんの中耳炎は自然に治るものではありませんので、症状に合った治療が必要です。 そこで、どんな治療をするのか簡単に見ていきましょう。
急性中耳炎の治療は、状態によって内容が異なります。軽度であれば、まずは痛み止めが処方され経過を見るか、抗生剤を使用します。また、痛みがひどい場合や高熱がある場合、鼓膜切開を行って膿を出すことも。ただし、鼓膜を切開しても、数日で鼓膜は元通りに塞がりますのであまり心配しないでくださいね。
滲出性中耳炎の治療は、鼻やのどの病気に対する治療と滲出液をなくして聞こえを良くするための耳の治療を並行して行います。耳の治療では、軽度であれば、鼻から空気を送って滲出液を排出する「耳管通気」、重度であれば「鼓膜切開」を行いますが、それでも滲出液が溜まってしまうような場合は、鼓膜切開した後に小さな鼓膜チューブを入れる手術が必要です。チューブは短期間で抜くこともありますが、多くの場合は約1~2年は外せません。赤ちゃんからしてみればチューブが入っていて邪魔だなという感覚はありませんし、通常通りの生活は送れるのですが、できれば避けてあげたいですよね。こうならないためにも、急性中耳炎の段階でしっかりと治す必要があります。
赤ちゃんの中耳炎が治るまでのホームケア
次に、ホームケアについてポイントや注意点をお伝えしていきましょう。
耳の奥までケアする必要はありませんが、耳だれが出ているときは、清潔なガーゼや綿棒でやさしく拭き取って、耳の周りを清潔に保つようにしましょう。
体が温まると炎症が悪化するので、熱があるときや耳だれがひどいときにはお風呂には入れず、軽いシャワーだけにしましょう。なお、医師からの指示があると思いますが、鼓膜切開を行ったときもお風呂に入れないようにしましょう。
基本的に、中耳炎が完治するまでは飛行機に乗せないようにしましょう。やむを得ない理由がある場合には、医師に相談して指示を受けるようにしてください。
赤ちゃんの中耳炎を予防するには
最後に、赤ちゃんの中耳炎を予防する方法を見ていきましょう。
中耳炎の主な原因は鼻水ですので、まずは風邪をひかないように体調管理をしっかりとしてあげてください。家族が風邪をひかないように注意することも大切ですよ!
もしも風邪をひいてしまった場合、鼻水の吸引器などを使って鼻水が長く鼻に溜まっている状態を作らないようにしましょう。
仰向けに寝かせたままミルクを飲むと、ミルクが中耳に流れ込んで中耳炎になることがあります。これが「ミルク性中耳炎」などと呼ばれるものです。必ず、赤ちゃんの頭は起こした状態で飲ませてあげてくださいね。