オレイン酸グリセリルとは?効果・効能や安全性について解説
目次
- ・オレイン酸グリセリルとは
- ・オレイン酸グリセリルはどんな化粧品に含まれている?
- ・オレイン酸グリセリルの効果・効能
- ・オレイン酸グリセリルの安全性
- ・オレイン酸グリセリルを使用する際の注意点
- ・まとめ
肌につけたまま使う化粧品をはじめ、コンディショナーなどのリンスオフ製品、そして入浴剤などに使われる成分のひとつに、「オレイン酸グリセリル」があります。海外のデータでは2002年と2015年までの13年間で、当成分の配合製品は約6倍にまで伸び、より一般化されてきました。
しかし、オレイン酸グリセリルには懸念すべきポイントがあり、とくに赤ちゃんに接触させる際には一定の注意を払わなければなりません。今回は、オレイン酸グリセリルの特徴と併せて、なぜリスクがあるということができるのか、成分の安全性についてわかりやすく解説します。
オレイン酸グリセリルとは
オレイン酸グリセリルとは、高級脂肪酸の一種であるオレイン酸とグリセリンを合わせたモノエステルです。非イオン界面活性剤として活用され、医薬部外品表示名称Mとしては「親油型モノオレイン酸グリセリル」という名前が使われますが、いずれも内容は変わりません。
オレイン酸は、オリーブオイルやベニバナ油などに含まれている不飽和脂肪酸で、グリセリンは大豆をはじめとする油脂を分解して生み出す成分です。天然成分から作られるエステルであることから、自然由来による界面活性剤と評価されることもあります。
オレイン酸グリセリルはどんな化粧品に含まれている?
オレイン酸グリセリルには、乳化を促す作用が備わっています。乳化とは、成分として使われる液体同士の相性が悪く混ざり合わないときに、その2つの成分の間に入って分散させられる成分です。この効果に期待され、実に多くのリーブオン・リンスオフ製品に採用されています。
具体例としては、洗顔フォームやクレンジング、美容液、乳液、保湿クリームなどがリーブオン製品の代表格として挙げられます。リンスオフ製品としては、コンディシュナーやシャンプー、ヘアカラーをはじめとするヘアケア製品の合成海面下製剤として用いられています。
オレイン酸グリセリルの効果・効能
オレイン酸グリセリルには、W/O型乳化剤としての効果を発揮するという特性があり、これが、本成分が多数の製品に配合される唯一かつ最大の理由となっています。本成分が単体で肌への劇的な効果を与えるわけではありませんが、万能性の高い乳化剤としての需要があることから、多くの製品に採用されています。
HLB値は2.5と、親油性が非常に高いことが特徴で、さらに水中で分散しないという特性をもつことも本成分の特色です。
オレイン酸グリセリルは、親水性の高いO/W型乳化剤とバランスよく配合させることにより、乳化安定剤として多くの商品に使用されます。非常に汎用性が高く、2020年時点では合計112商品への配合に限られていましたが、2015年には663商品に採用されるほど拡大されてきました。
現在使用されているオレイン酸グリセリルは、リーブオン製品が1に対してリンスオフ製品が2程度の比率で活用されています。主に皮膚に接触させるボディソープやハンドソープ、そしてヘアケア製品に採用され、赤ちゃん用の製品に採用されることも少なくありません。
オレイン酸グリセリルの安全性
オレイン酸グリセリルについては、安全性に若干の疑問が残ります。一般的な使用法を守れば問題はないと考えられますが、ヒト試験の結果によって、中程度の刺激性が確認されていることも確かです。赤ちゃん用に使われることもあるオレイン酸グリセリルの安全性について、詳しく解説します。
注意点として知っておかなければならないのは、試験による結果です。まず皮膚刺激性については、1981年に行われたヒト試験において、10人の被験者のうち1人に、中程度の累積皮膚刺激性が見られています。1977年のヒト試験でも、軽度な皮膚刺激を発症した人がいました。
眼刺激性に関しても、動物試験の結果で中程度の刺激が確認されています。ウサギに対する試験結果ですが、オレイン酸グリセリルを含んだ日焼け止め製剤を使用した結果、1時間経過時点で角膜刺激が起きています。
確率としては高いとはいえず、短時間で回復へと向かっていることは事実ですが、一般的な合成活性剤と比較すると、リスクが高いといわざるを得ません。とくに濃度が高く、希釈が足りていない製品を選ぶ場合には、皮膚接触・眼への侵入の両面で、一定の注意を払うべきでしょう。
一方で、前向きな要素としては、薬添規2018と外原規2006の基準をどちらもクリアしていることです。医薬品添加物規格2018、医薬部外品原料規格2006の両方に収載されている成分であることから、厚労省によって、一定の安全性が認められていることがわかります。
また、20年以上にわたって多くの製品に配合されてきた中で、決定的といえる肌トラブルの報告事例は存在しません。身近なアイテムの中にもオレイン酸グリセリルは含まれていますが、我々の生活の中でごく自然に消費され、なんらかの問題をもたらすこともない成分ですので、過度な警戒は不要ともいえます。
オレイン酸グリセリルを使用する際の注意点
注意すべきなのは、稀に中程度の肌刺激と、眼刺激が起きる可能性があることです。とくに赤ちゃんの肌に長時間触れさせ続けたり、眼の中に入ったりするような使い方は、念のために避けるとよいでしょう。毒性があるとはいえませんが、可能であれば、代替成分を使用した化粧品を購入したほうが安心です。
まとめ
オレイン酸グリセリルは、合成界面活性剤の一種で、乳化作用をもちます。汎用性が高く、とくに近年開発された石鹸や洗顔フォーム、シャンプー、コンディショナーなど多彩なアイテムに用いられている成分です。
薬添規2018などの基準をクリアしており、毒性はありませんが、ヒト試験と動物試験により、稀に中程度の刺激が生じる点は気がかりです。過度な警戒は不要であるものの、可能であれば、代替成分を使用した化粧品を購入するとより安心できるでしょう。