イソノナン酸イソトリデシルとは?効果・効能や安全性について解説

イソノナン酸イソトリデシルとは?効果・効能や安全性について解説

スキンケア・メイクアップ化粧品の成分として使われることがある成分として、イソノナン酸イソトリデシルというものがあります。赤ちゃん用のアイテムに使われることは極めて珍しいものの、粘膜につける化粧品成分として使われることもあることから、安全性が気がかりだという方は多いのではないでしょうか。
今回は、イソノナン酸イソトリデシルの安全性について、学術的な根拠を基にしながら詳しく解説します。イソノナン酸イソトリデシルが、もつ特徴や効果、そして使用されることが多い化粧品についても確認し、安全性を確かめておきましょう。

イソノナン酸イソトリデシルとは

イソノナン酸イソトリデシルとは、中鎖分岐脂肪酸の一種であるイソノナン酸と、中鎖分岐アルコールの一種であるイソトリデシルアルコールによるエステル油です。医薬部外品として使用される際にも、化粧品成分の表示名と同じイソノナン酸イソトリデシルという名前が使われます。

エステル油とは、合成された潤滑油を指します。エステル油は炭化水素系の合成油の一種であり、潤滑性に優れ、熱安定性をもつことが特徴です。イソノナン酸イソトリデシルに関してはとくに油性感が少なく、さらっとした肌触りであることから、化粧品成分として使用されることがあります。

イソノナン酸イソトリデシル

イソノナン酸イソトリデシルはどんな化粧品に含まれている?

効果・効能の欄でも詳しくお伝えしますが、イソノナン酸イソトリデシルの特徴は、エステル油でありながらサラっとした感触をもつことと、属延性に優れていることです。成分を薄く均等に引きのばす力に長けているため、肌につけて使うタイプの化粧品に使用されます。
たとえば日焼け止めや乳化系スキンケア、あるいはメイクアップ化粧品にも、イソノナン酸イソトリデシルが使われることがあります。さらにシリコーンとの相性に秀でていることも特徴で、これを多用するクレンジング剤にも基剤として配合されることがあります。
ただし、現在市場に出回っている化粧品においては、イソノナン酸イソトリデシルが使用されることは珍しくなっています。2013年のデータでは、リーブオン製品の81商品に使用されていることが確認されたのみで、あまり見かけることのない成分であることも確かです。

イソノナン酸イソトリデシル配合の化粧品

イソノナン酸イソトリデシルの効果・効能

化粧品成分に使われる場合は、イソノナン酸イソトリデシルもつエモリエント作用と分散性が期待されることが一般的です。エモリエント作用とは、皮膚の水分を蒸発させないように残す作用のことで、分散はその名のとおり、肌の表面上で引きのばす作用のことです。これから詳しくご紹介します。

分散効果

イソノナン酸イソトリデシルはとくに顔料を分散させる効果が高く、顔料同士が擬集することを防ぐ効果に期待できます。化粧品は温度や湿度の変化によって分離し、再度固まることで劣化を招くことがあります。これを、擬集といいます。イソノナン酸イソトリデシルにはこれを予防する作用があり、化粧品の品質を保つことができるのです。

これらの特徴からもわかるように、イソノナン酸イソトリデシルが赤ちゃん用の化粧品に使われることはほとんどありません。成分単体がなんらかの強い作用をもたらすこともなく、化粧品に含まれているそのほかの素材を引き立たせ、効果を強めるための脇役として用いられることが一般的です。

用意するもの

モリエント作用に期待できる

イソノナン酸イソトリデシルはあっさりとした感触をもち、それでいてその他の成分を柔軟に引きのばすつなぎ役として活躍します。べたつきのない爽やかな肌触りをもつことでも評価が高く、テクスチャー改良の一環としても用いられることがあります。
イソノナン酸イソトリデシルそのものにエモリエント作用が備わっていることもメリットのひとつで、肌についた有効成分を蒸発させず、保湿する効果をもち合わせています。この特性があることも、乳液やクリームといった化粧品や、ファンデーション、あるいは口紅に使用される要因といえるでしょう。

モリエント作用に期待できる

イソノナン酸イソトリデシルの安全性

続いて、安全性について詳しく解説します。イソノナン酸イソトリデシルに赤ちゃんが直接触れる機会はほぼありませんが、ママの化粧品成分に使われている可能性がある点には、注意が必要です。イソノナン酸イソトリデシルは、可能であれば接触を避けるべき成分です。
イソノナン酸イソトリデシルは医薬部外品原料規格2006に収載されており、なおかつ我々が10年以上にわたって使い続けてきた成分です。実績という点では問題が見受けられませんが、オススメできない理由は、ヒト試験における安全性を実証するデータが極めて乏しいためです。
とくに皮膚刺激性について、あるいは眼刺激性についての主だった研究結果は一切見当たりません。これまでになんらかの事故が起きてないことは確かですが、だからといって安全だと確証できるデータは、2020年現在では出揃っていないという現状があります。
ただし、皮膚感作性(アレルギー性)に関しては、わずかながら研究結果が残されています。ヒト試験の結果により、28人の被験者に対して一定量のイソノナン酸イソトリデシルを塗布した結果、いずれの被験者も、アレルギー反応を示さなかったことがわかっています。

イソノナン酸イソトリデシルは可能であれば接触を避けるべき成分

イソノナン酸イソトリデシルを使用する際の注意点

イソノナン酸イソトリデシルは、医薬部外品原料規格2006に収載され、試験によりアレルギー反応を示す人がいなかったことがわかっていますが、現段階では十分な研究結果が残されているとはいえません。将来的なリスクについては極めて軽微ではあるものの、積極的な使用は避けるべきともいえます。

まとめ

イソノナン酸イソトリデシルは、エモリエント作用をもつこと、そして分散性が高いことを理由に、主に大人用のメイクアップ化粧品に使用されることがあります。赤ちゃん用の化粧品成分として使われることは、あまりありません。

外原規2006に収載され、10年以上安全に使われてきた実績は十分ですが、肌刺激性などに関する研究結果が見当たらないことが欠点です。使用しても問題ないと考えられますが、積極的な使用はオススメできません。