馬油とは?効果・効能や安全性について解説
一般的な薬局などでも取り扱われており、とくに女性にとっておなじみの化粧品成分が馬油です。さまざまな脂肪酸を豊富に含んでいることで有名な馬油ですが、はたして赤ちゃんにも使用できる成分なのでしょうか。
そこで今回は、馬油の特徴や効果・効能についてお伝えし、安全性についても詳しく解説します。馬油はどのようなシチュエーションで使用すると効果的なのかを再確認するためにもご注目ください。
馬油とは
馬油は名前のとおり馬のたてがみや皮下脂肪から抽出する動物油脂の1種です。読み方については諸説ありますが、日本国内では「ばあゆ」と呼ばれることが一般的といえます。一方、本場・中国では「マーユ」と発音されることが普通ですが、内容や抽出法にはとくに違いを見つけられません。
馬油の歴史は古く、中国最古の医学書として知られる「黄帝内径」にも、皮膚病を治療する作用を持つ成分として取り上げられています。生きたままの馬から馬油を抽出することは不可能であり、食用として解体される過程において、腹部や首から抽出されることが普通です。
馬油には多くの種類の脂肪酸が豊富に含まれています。とくにオレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレン酸の配合量は多く、そのほかにもパルミトレイン酸やステアリン酸などの存在も認められます。それぞれの抽出量は、馬の個体差によって異なることも特徴的です。
馬油はどんな化粧品に含まれている?
馬油が多くの化粧品成分として採用されていますが、スキンケアオイルとして原料のままで販売されることが目立ちます。加工される場合は、ヘアケア製品やボディケア・ハンドケア製品、洗顔料、リップクリーム、シートマスク製品などで使われることが多い成分です。
馬油の融点は29~50度とされ、日本国内においては、冬は固形で使用できていた馬油が夏季になると液状化するという現象も見られます。この特性を生かし、成分配合を工夫することによって、液状タイプの商品に仕上げられることがあれば、石鹸のように固化させた商品に仕上げられることもあります。
馬油の効果・効能
馬油の効果・効能として強く期待できるのは、角質水分の増加や皮膚油分量の増加によるエモリエント作用です。抗炎症作用に関しても評価が高く、中国では頻繁に治療薬として用いられてきました。それぞれの項目をさらに詳しくチェックしていきましょう。
馬油はヤケドを治療するために使われることもあります。アトピー性皮膚炎を治療するためにも馬油が使われることがあり、ヤケドした直後に患部を冷やし、馬油を塗布することで水泡の発生を抑える効果に期待もできます。
余計な熱を除去する効果も馬油に備わっているため、日焼けをしたあとに馬油を使っても効果的です。紫外線によって受けたダメージを修復させることはできませんが、水分を保つ効果も合わさることによって、抗炎症効果を求めることが可能です。
馬油に含まれる成分は、人間の皮下脂肪にある脂肪酸と共通点が多いという特徴があります。とくにオレイン酸やパルミチン酸は人間の肌との相性に優れ、馬油は速やかに人間の皮膚に浸透していきます。動物性の油ですがギトギトしておらず、なじみやすいこともメリットといえるでしょう。
馬油には、角質層の水分量と油分量を高める効果があります。高い浸透力と馬油が持つ成分の相乗効果によって、皮膚の水分をキープさせ、皮膚バリア機能を高める効果に期待できます。安全な保湿成分を求める方にとって、馬油は有効な選択肢の1つです。
馬肉は「桜肉」と呼ばれ、日本国内でも食用として頻繁に用いられています。馬油は食用の馬肉から抽出される成分なので、口の中に入ったとしてもまったく害がありません。これは赤ちゃんにとっても同じことであり、馬油を塗布した患部を舐めてしまったとしても、何らかのトラブルが起こる可能性はまずないでしょう。
馬油を髪の毛に塗布することによって、毛髪を潤わせ、乾燥を防ぐことができます。髪の毛や頭皮が乾燥してしまうと、枝毛や切れ毛などの原因になることがありますが、こういったトラブルを未然に防ぐためにも馬油は頻繁に利用されています。
また、頭皮が潤うことにより、フケやかゆみなどの症状を抑えられることもメリットです。このような頭皮トラブルを放置していると、赤ちゃんは「乳児脂漏性湿疹」を発病する恐れもありますので、これを防ぐためにも馬油は大いに役立ちます。
馬油の安全性
馬油に関しては、皮膚刺激性や眼刺激性などの研究があまり盛んに行われていません。情報不足という感は拭えませんが、中国では数百年にわたって使用されてきたこと、我が国でも10年以上の使用実績があること、医薬部外品原料規格2006に収載されていることなどから、安全性は高いと判断できます。
アレルギーに関しては、ヒト試験の結果によって皮膚反応が認められないことがわかっています。まれに馬油を塗布した患部が赤くなることがありますが、これは馬油による血行促進作用によるものと考えられ、重大な肌トラブルを引き起こすリスクはありません。
馬油を使用する際の注意点
馬油を使用する上で注意すべきことはとくにありません。赤ちゃんの肌に使用しても何ら問題が見られない成分であり、危険性について憂慮する必要がないためです。馬油は食用として利用しても害のないものですから、少なくともごく一般的な使い方をしていれば、トラブルに巻き込まれる心配はありません。
まとめ
薬局などでも頻繁に見かける馬油は、中国で長くヤケドなどの治療薬として使われてきました。人間の肌との相性がよく、保湿性に富んでいるため、さまざまな化粧品の原材料として利用されています。
馬油に関する研究はお世辞にも進んでいるとはいえませんが、外原規2006に収載されており、長年にわたる使用実績も持っています。アレルギー反応も認められず、食用として用いることもできる成分なので、赤ちゃんの肌に使用してもトラブルの原因になることはありません。