アラントインとは?効果・効能や安全性について解説
敏感肌の方でも使用できる軟膏やリップクリームの成分として、「アラントイン」という成分が使われることがあります。赤ちゃん用の化粧品としても稀に使われるアラントインには、どのような効果・効能が秘められているのでしょうか。
そこで今回は、アラントインの効果をはじめとする基本情報をお伝えしていきます。気になる安全性についても解説し、赤ちゃんの肌に使用しても問題ないのかどうかをわかりやすくご紹介します。
アラントインとは
アラントインには、皮膚を保護する作用があることが認められています。アラントインは、人間などの一部を除く哺乳類が最後に代謝する産物です。ヒポキサンチンからキサンチンに変わり、尿酸に変化し、アラントインとなって、排泄の寸前にアンモニアに分解されるという流れをたどります。
人間の場合は、尿酸をアラントインへと代謝されません。そのため尿酸が尿酸のまま体内に残留して結晶化し、これが通風を引き起こすことが知られています。アラントインの効果については後述しますが、皮膚を保護することに加えて修復させる効果もあり、化粧品成分として採用されることがあります。
アラントインはどんな化粧品に含まれている?
先ほどご紹介したとおり、アラントインには皮膚の保護と修復作用が備わっています。角質細胞を増殖させる効果もあるため、ハンドケアやボディケア、洗浄製品、日焼け止め、シートマスク、スキンケア化粧品など多くのアイテムで成分の1つとしてアラントインが配合されています。
赤ちゃん用の製品としては、化粧水やオイル、パウダー、クリームとして使われています。しかし、大人用の化粧品と比べるとあまり多くの商品に採用されているわけではありません。2007年に行われた調査では、アラントイン配合の赤ちゃん向け製品は6商品しか存在せず、比較的珍しい成分と言えます。
アラントインの効果・効能
アラントインが持つ効果・効能は、ずばり傷を修復する効果と、肌を保護する効果の2つです。とくに修復効果についてはカバーできる範囲が広く、炎症を抑えたり、アレルギーを予防したりする効果にも期待できます。それぞれの項目をより詳しく解説します。
アラントインに関する研究は十分に進んでいるとはいえませんが、白血球を一時的に増加させる効果があることが認められています。これにより創傷の治癒を早める効果を生み出せるため、傷薬の1種としてアラントインが配合されることは珍しくありません。
アラントインは、単純な肌荒れだけではなく、皮膚炎や乾燥肌、紫外線を起因とする皮膚炎、あかぎれ、ひび割れなどさまざまな肌トラブルから治癒へと導きます。角質細胞を増殖させることにより、上皮細胞を健康な状態へと回復させているのです。
とある民間企業は、紙おむつを使用する際のかぶれに悩まされている赤ちゃんを対象に、アラントインを含む添加紙を使用した試験を実施しています。この結果、97.6%もの赤ちゃんに有効性が認められ、アラントインによる創傷治癒効果の存在を裏付ける結果となりました。
アラントインからは、炎症を鎮静化させる作用をはじめ、抗アレルギー作用など、肌を保護するうえでさまざまな効果に期待できます。湿疹やニキビといった炎症由来のトラブルを抑えられることも、赤ちゃんにとってうれしいメリットの1つといえるでしょう。
アレルゲンによる作用を予防できることもポイントです。乾燥肌・敏感肌の人にとってアラントインは非常に相性がよいことは間違いありません。刺激を感じやすいデリケートな肌を持つ赤ちゃんにも向いた成分の1つとして評価できます。
アラントインの安全性
アラントインは医薬部外品有効成分であり、なおかつ医薬部外品原料規格2006にも収載されて
います。これまでに10年以上も使用され続けてきた成分ですが、大きなトラブルは見当たりません。厚生労働省からも認められた、安全性の高い成分であると言えます。
アラントインは数々の研究機関による実験の対象となり、ヒト試験が繰り返されてきました。皮膚刺激性については、ごく稀に軽微な皮膚反応が見られることがあったものの、すぐに治癒できる範囲のものであり、大多数の被験者には一切トラブルが認められませんでした。
眼刺激性については動物実験が行われていますが、この結果からも重大な問題は起こらないと結論付けられています。アレルギー性に関する指摘も見当たらず、赤ちゃんにも安心して使用できる成分と考えて問題ありません。
アラントインを使用する際の注意点
アラントインは医薬品成分としての指定を受けています。これにより、化粧品としてアラントインを配合する場合は、既定以下の配合量に制限しなければ使用が認められません。具体的には、粘膜に使用することがある化粧品の場合、100g中0.20gが認められている最大の配合量になります。
石鹸やシャンプー、入浴剤などに対しても配合量の上限は厳格に決められており、これを破ることはできません。石鹸類の場合の最大配合量は100gあたり0.50g、育毛剤や歯磨き類、浴用剤の場合は同じく100gあたり0.20gが、アラントインを使用できる上限量です。
国内で流通している商品の場合は、ガイドラインに沿って製造された化粧品と考えられるため、とくに警戒する必要はありません。ただし海外製の化粧品を個人輸入する場合などは、危険な量のアラントインが配合されていないかどうか必ず確認を行いましょう。
まとめ
アラントインには創傷治癒効果や肌の保護効果があり、ハンドケア製品からヘアケア製品まで多くの化粧品の材料として採用されています。商品数は決して多くありませんが、赤ちゃん用の化粧品に配合される場合もあります。
過去にヒト試験が繰り返されており、アレルギーを含む皮膚刺激性や眼刺激性についてはほとんど認められませんでした。医薬品成分としての指定を受けており、個人輸入の化粧品等には警戒が必要ですが、基本的には赤ちゃんに使用してもまったく問題ありません。