シアバターとは?効果・効能や安全性について解説

シアバターとは?効果・効能や安全性について解説

ボディローションやハンドクリームなどに配合される成分の1つに「シアバター」があります。ヘアケア用品にも配合される万能さが売りのシアバターですが、どのような効果・効能に期待できるのでしょうか。
そこで今回は、シアバターの特性や長所についてご紹介したうえで、多くのデータをもとに安全性の解説も行います。赤ちゃん向けの化粧品にシアバターが含まれていても安全なのかどうか、しっかりと把握しておきましょう。

シアバターとは

シアバター(シア脂)とは、アカテツ科のシアバターノキの種子から作られる植物性の油脂を表す言葉です。シアはアフリカの国々で自生しており、樹齢数百年という木も多い一方で、種子が貴重なことで知られています。そのため、高級化粧品の原材料として使われることも珍しくありません。
天然成分であることから、シアを採取した国や地域により、成分量が若干異なっています。しかし不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸が多く含まれていることは共通しており、とくにオレイン酸やステアリン酸、リノール酸、パルミチン酸の含有量が豊富な植物です。

シアバター

シアバターはどんな化粧品に含まれている?

シアバターには、肌の水分蒸発を抑えるエモリエント作用が含まれているため、多数のスキンケア化粧品やボディクリーム・ハンドクリーム、リップ、ヘアケア用品、メイクアップ化粧品などで配合されています。また、酸化に強いという特性を生かし、日焼け止めなどの保存料として生かされることもあります。
原産地であるアフリカ諸国においては、傷やヤケドの治療薬として使われてきた歴史を持っています。傷の修復を早める効果に期待できるとされていますが、日本国内ではこういった用途でシアバターが使われることは少なく、美容関連商品に添加されることが一般的です。

シアバターの効果・効能

シアバターには、前の項目でも軽く触れたとおり、水分の蒸発を防ぎ保湿するエモリエント作用が含まれています。また、それ以外にもいくつかの効果・効能に期待できる成分でもあります。さらに詳しくシアバターの特性を確認しておきましょう。

エモリエント作用による保湿効果に期待できる

シアバターには、エモリエント作用に富んだ成分である、オレイン酸やステアリン酸が豊富に含まれています。この2つの成分に加えて、保湿力に長けたフィトステロール長鎖脂肪酸が深く浸透するという特性を持つことから、強い保湿効果に期待できるという点が最大のメリットです。
シアバターを使用すると、その部分の水分量を体内に留められるため、乾燥肌への対策として非常に有効です。赤ちゃんの肌にとって乾燥は大敵と言わざるを得ません。乾燥性湿疹などの問題を防ぎ、肌のトラブルを予防するために、シアバターの使用はとてもおすすめできます。

皮膚を保護する効果に期待できる

強い保湿効果と合わせて、皮膚を保護する効果に期待できることもシアバターの特徴です。肌だけではなく髪の毛に対しても成分が有効に働くため、ヘアケア製品にもシアバターは頻繁に使われています。ヘアワックスの原料や、髪の毛のパック剤として使用されることも珍しくありません。
シアバターは肌に取ると伸びやすい性質ではありますが、肌触りが重いことも特徴の1つです。肌の上で残留しやすい成分であるため、使用感という面では少しクセを感じてしまいますが、アフリカで傷薬として使われてきた歴史からもわかるように、皮膚を守る作用に期待できます。

皮膚を保護する効果に期待できる

香料の効き目を持続させられる

香料とシアバターを併用することによって、香料の効き目を持続させられるという点も大きな特徴と言えるでしょう。前述した保湿効果を持つこともあり、とくにハンドクリームやヘアケア製品との相性がよい成分としても知られ、脇役としても製品のよさを引き立てています。

香料の効き目を持続させられる

シアバターの安全性

シアバターは、過去10年以上にわたって多くの化粧品に使用されてきた成分です。医薬部外品原料規格2006のみならず、日本漢方局にも収載されている成分であることから、厚生労働省にも認められた安全性の高い成分とみなして問題ありません。
皮膚刺激性に関してはさまざまな研究機関によるヒト試験が行われていますが、ごく一部の被験者から落屑を確認した以外には、アレルギー反応が認められることはありませんでした。アレルギー以外の皮膚刺激も認められず、赤ちゃんの肌に使用したとしても安全です。
眼刺激性と光毒性については動物実験が行われています。眼刺激性については軽度の結膜反応が見られたのみで、大きな刺激はありませんでした。光毒性も一切認められておらず、安全性について疑う必要はまったくありません。

シアバターを使用する際の注意点

シアバターには日焼け止め効果があるという説があり、紫外線を遮断する効果Mがあると訴える記事を見かけることもありますし、実際に日焼け止め製品にシアバターが使われることもあります。しかし、シアバターに含まれるUVカット成分とされる「トリテルペン」のSPF値は低いことが近年の研究によって明らかになってきました。
シアバターに日焼け止め効果を期待できる成分が一部含まれていることには違いありませんが、その有効性には疑いが残るというのが正直なところです。そのほかの紫外線吸収成分が含まれている商品なら選ぶ価値はあるものの、シアバター単体で紫外線吸収ができると訴える製品の購入は見合わせるべきでしょう。

SPF値が低く日焼け止め効果は期待できない

まとめ

アフリカに生息するシアの種子から抽出するシアバターには、保湿作用や皮膚を保護する作用が含まれています。現地では古くから傷薬やヤケドの治療薬として使われてきた実績があり、香料の効果を持続させるという効果も備えることから、国内でも多くの化粧品成分としてシアバターが採用されています。
UVカット効果の有効性には疑問が残りますが、ヒト試験の結果として皮膚刺激性に問題がなく、安全に使用できる成分ということはわかっています。シアバターは日本漢方局や外原規2006にも収載されており、赤ちゃんにも安心して使用できると結論付けられます。

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