トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルとは?効果・効能や安全性について解説
目次
- ・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルとは
- ・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルはどんな化粧品に含まれている?
- ・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの効果・効能
- ・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの安全性
- ・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを使用する際の注意点
- ・まとめ
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、スキンケア製品やメイクアップ製品に配合されることが多い成分です。単体で美容効果を発揮することはない成分なので、どんな役割を果たしているかご存じない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの効果や効能について詳しく解説します。これは赤ちゃん用の製品に使われることもある成分なので、安全性が高いか否かについてもご紹介しましょう。
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルとは
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、多価アルコールであるグリセリルに対して、中級脂肪酸のカプリル酸/カプリン酸を結合させた成分です。「トリ」という言葉はギリシャ語の「3」に由来しており、カプリル酸/カプリン酸/グリセリンという3つの成分が合わさったことを表現しています。
カプリル酸/カプリン酸は、ココナッツオイルに含まれている成分です。中級脂肪酸であるため、油脂以上に軽い感触があることが特徴と言えます。分解までにかかる時間が短く、エネルギー化が早いため、体内への残留時間を短縮させられるという特性を秘めていることもポイントです。
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルはどんな化粧品に含まれている?
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、リーブオン製品(皮膚に付けたまま長時間維持させる製品)に多く使用されています。とくにスキンケア製品やメイクアップ製品に含まれることが多く、赤ちゃん用の化粧品として使用されることもあります。
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの効果や効能については次の項目で詳しく解説しますが、テクスチャーの改良とエモリエント作用、そして分散作用に期待できます。そのため洗い流し製品に使われることは多くなく、口紅などの成分として使われる機会が目立つことが特徴的です。
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの効果・効能
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルには、これから紹介する3つの効果・効能が備わっています。単体では美容効果等に期待はできないものの、貴重なつなぎ役として機能する成分として重宝されているため、詳細について把握しておきましょう。
さっぱりとした感触を持つ軽い油分であることから、製品のテクスチャーを改良するための材料として用いられることが目立ちます。粘りが少なく伸びやすいという特性を生かし、潤滑剤のような役割を期待されて活用されることが多い成分です。
とくにクリームや乳液といった製品に採用されることが多く、特有のベタつきを抑える作用を発揮させています。有効成分そのものを希釈させて効果を薄れさせる心配もなく、製品のクオリティをそのまま維持できることも多くのメーカーに信頼される要因になっています。
主に顔料の成分としてトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが用いられる場合は、そのほかの成分を分散させる効果を発揮させることを狙いにしていることがほとんどです。単純に成分を伸ばして使いやすくするだけでなく、均等に分散させる能力に長けていることも特徴と言えます。
口紅などの、ムラなく顔料を分散させたいアイテムに対してトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが頻繁に使用されるのはこのためです。安全性については次の項目で詳しく述べますが、結論から言えば、この成分を含む口紅が赤ちゃんの肌に触れたとしても、とくに問題が起きることはありません。
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルには、皮膚からの水分蒸発を防ぎ、潤いを閉じ込めるエモリエント作用が含まれています。成分の油膜を使って皮膚を覆って水分量をキープさせます。また、油の1種でもあることから、肌にツヤを与える効果にも期待できる成分です。
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの安全性
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、医薬部外品原料規格2006に収載されている成分です。10年以上にわたってたくさんの化粧品に用いられた実績を持ち、厚生労働省からも安全性を認められた成分であるため、赤ちゃんの肌に使用したとしても大きなトラブルは起こりません。
さまざまな条件でヒト試験も繰り返されており、いずれの試験においてもアレルギー性が認められることはありませんでした。アレルギー以外の皮膚刺激性に関しても特段問題は見受けられず、皮膚アレルギーを持つ患者が使用した際にもトラブルは認められていませんでした。
眼刺激性についても、動物とヒトの両方で試験が行われた経歴を有しています。いずれのケースにおいても不適合反応は認められず、安全であることがわかっています。目に近い場所で使用したとしても、問題になることはまずありません。
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを使用する際の注意点
ヒト試験の結果でアレルギー反応は認められませんでしたが、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルはココナッツオイルから抽出した成分という前提があります。
一般的にはベビーオイルに使用されるオイルと同じ成分であるため安全性が高いことには変わりありません。しかし、ナッツアレルギーを持つ方にとってはアレルギー反応を引き起こすリスクがあることは事実なので、該当する人物に使用する際はパッチテストを実施することがおすすめです。
まとめ
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、テクスチャーを改良する効果のほか、エモリエント作用や分散作用に期待できる成分です。赤ちゃん用の化粧品に配合されることもあり、主にスキンケア用品などの成分として使われています。
ヒト試験が繰り返し行われており、皮膚刺激性や眼刺激性などに関する有毒性は認められません。ただしココナッツオイルを由来とする成分であるため、ナッツアレルギーを持つ人物に対しては、パッチテストを行った上で使用することをおすすめします。