セタノールとは?効果・効能や安全性について解説

セタノールとは?効果・効能や安全性について解説

化粧品成分として脚光を浴びることはありませんが、多くの化粧品に配合される成分に「セタノール」というものがあります。セタノールにはどんな効果・効能があり、なぜ多くのアイテムに使用されているのでしょうか。
そこで今回は、セタノールの効果や効能について解説した後、気になる安全性についてもご紹介します。赤ちゃん用の化粧品に含まれていても安全なのかどうかをしっかりと確認しておきましょう。

セタノールとは

セタノールは、パーム油を原料に製造する高級アルコールです。「セチルアルコール」あるいは「パルミチルアルコール」と呼ばれることもあり、水溶性はありません。元々はクジラの脂質を原材料に使用していましたが、捕鯨が禁じられたことにより、パーム油を使用することが一般化しています。
セタノールは化粧品として使われることが多い一方で、潤滑剤として機械製品に用いられることもあります。この場合には主に機械のナットやボルトの潤滑剤として使われることが多く、さまざまな場面で活躍する成分として万能な役目を果たしていることも特徴的です。
高級アルコールという名前から誤解されることもありますが、炭素数が8個以上ある場合のアルコールはすべて「高級アルコール」として分類されます。セタノールの炭素数は16と基準の2倍にまで達しており、高級アルコールの中でもとくに油に溶けやすい成分です。

セタノール

セタノールはどんな化粧品に含まれている?

セタノールはスキンケア化粧品やメイクアップアイテム、ボディケア、あるいはハンドケア製品などの化粧品に含まれています。効果や効能については次の項目で詳しく解説しますが、乳化補助や感触の改良などを目的に使われることが多く、赤ちゃん用のアイテムとしても活用されます。

セタノールの効果・効能

セタノールには美容に関連する作用は含まれておらず、セタノール単体でなんらかの効果に期待はできません。それでも多くの化粧品に採用される理由はどこにあるのでしょうか。ここからは、セタノールの効果や効能について深く迫ります。

化粧品の乳化を補助する効果

「水と油」という言葉は、互いに反発し合って仲が悪いことを表す言葉ですが、この言葉は化粧品にもそのまま当てはめられます。乳液などのアイテムは、水の中に油が含まれる水中油型と、油の中に水が含まれる油中水型の2種類があり、そのままではきれいに交じり合うことができません。
そこで役立つのがセタノールです。セタノールは水中油型と油中水型のどちらに対しても乳化作用をもたらすことができ、水と油の間に入って両方を交じり合わせる役目を果たします。水と油を結び付ける重要な存在として、クリームなどの化粧品で重宝されています。
赤ちゃん用の化粧品としても、化粧水やオイル、パウダー、クリームという分野において配合される機会が増えています。1980年代と比較して、2000年代には配合製品数も増加しており、クリーム製品において欠かせない成分として存在感を増しています。

化粧クリームを作る際に水と油を結び付ける役割を果たす

肌触りをよくするための成分として用いられる

セタノールにはエモリエント作用が認められています。既存のクリームや乳液にセタノールを配合することによって、成分を滑らかな状態に調整することが可能です。肌触りがよくなることに加えて、クリームが肌の上で伸びやすくもなることから、使用感を向上させるためにも役立ちます。
口紅には油成分が強いロウが原材料として使われますが、ロウの強度を抑えてマイルドにするための調整剤としてセタノールが使われることもあります。適度なツヤを加えることもできる成分でもあり、赤ちゃんの肌に使用する際にもメリットを感じられるはずです。

成分を滑らかな状態に調整し

セタノールの安全性

セタノールは、1982年の時点で2,000種類を超える化粧品に使用されています。それから約40年が経過する現在に至るまで、とくに大きな問題は見受けられません。赤ちゃん用の製品に使われる機会も増えていますが、それらの商品から問題が出たという報告も見当たりませんでした。
セタノールは医薬部外品原料規格2006、そして日本漢方局の両方に収載されている成分でもあります。どちらも医療上の有効性と安全性が認められた成分しか収載されることがありませんので、厚生労働省からのお墨付きを得ているといっても過言ではありません。
皮膚刺激性については、さまざまな研究機関がパッチテストをはじめとするヒト試験を実施しています。この結果、後遺症が残るような大きな問題は見つかりませんでした。眼刺激性については動物試験しか行われていませんが、眼刺激性なしとの報告が出ています。

セタノールを使用する際の注意点

セタノールを使用すると、まれに紅斑が発生する場合があるとされています。紅斑が出現するかしないかは個人差で決まるため、使用前に皮膚刺激が起きるかどうか判断することは困難です。本格的に使用する前に、念のためにパッチテストを行って様子を見ることをおすすめします。
また、アレルギー反応に関しても、ごくわずかではありますが陽性反応が出たという研究結果も見受けられます。とくに皮膚炎や皮膚乾燥を持つ患者の場合は、アレルギー型接触皮膚炎を引き起こす場合があると考えられています。

いずれも重要なトラブルにつながる可能性は高くありませんが、100%安全と断言することはできません。皮膚炎などの症状が見られないという場合も、肌荒れに悩まされることが多いという方にセタノールを使用する際には、細心の注意を払いましょう。

セタノールを使用する際の注意点

まとめ

セタノールは、パーム油を還元することで産生する高級アルコールの1種です。乳化補助やテクスチャー改良といった作用を持つため、赤ちゃん用を含むさまざまな化粧品の成分として使用されており、数十年間にわたる使用実績を有しています。
とくに大きな副作用や肌トラブルは見受けられませんが、皮膚炎を持つ患者はまれにアレルギー反応を引き起こす可能性があります。使用する際は細心の注意を払い、パッチテストを行うことをおすすめします。

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