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第3回は絵本専門士とは?国立青少年教育振興機構にインタビューしてきました。

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絵本専門士とは?国立青少年教育振興機構にインタビュー

絵本に関する知識、技能、感性を備えたことを証明する資格「絵本専門士」。2014年に設立されて以来、情操教育の担い手として、保育や学校の現場を支えてきました。
 昨今は研究で読み聞かせに子供の想像力や言語能力を高める効果があると証明されていることから、絵本専門士に注目が集まっています。絵本専門士はどういった役割を担い、何を期待されているのでしょうか。絵本専門士養成講座の事務局である国立青少年教育振興機構の担当者に聞きました。 最後には職員さん、絵本専門士さんのオススメ絵本をご紹介していますので最後までお付き合いくださいね。

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国立青少年教育振興機構が所在する国立オリンピック記念青少年総合センター

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インタビューに応じた国立青少年教育振興機構の桑山課長(中央)と、末原係長(左)教育事業部 企画課 指導者養成係 國定係員(右)ら=東京都渋谷区、独立行政法人国立青少年教育振興機構

インタビューには、同機構企画課の桑山課長と末原係長、國定係員(絵本専門士)が出席。それぞれが質問に答える形で、絵本専門士の果たす役割や求められる能力を話してくれました。

とその前に、このようなインタビューをする前に桑山課長より「まずお互いを自己紹介しましょう」と、課長自らご自身のご家庭を交えながら絵本に関するお話しをしてくれました。
当然、私たちも自己紹介する事になり、このような取材では初めての経験で驚きましたが、自己紹介後は、当初よりも緊張がほぐれ柔らかい雰囲気の中でお話しする事ができ、取材しながら「これも技能の1つだな」と、さすがの教育機関の課長様でありました。

余談はここまで、早速、絵本専門士の取材内容に移りたいと思います。

様々な領域で求められる高度な知識

はじめに、「絵本専門士とは何か?」の質問に、絵本の専門家として必要なスキル、求められる能力が当然あり、絵本専門士養成講座で指導する3つの領域「知識を深める」「技能を高める」「感性を磨く」を基本に、専門士に必要な能力について説明してくれました。

桑山課長によると、絵本専門士はまず絵本や子供に関する知識が必要とのことです。大学の教育学部で学ぶような包括的な教育の知識だけでなく、政府や行政が児童に対して行う児童福祉サービスである児童福祉の知識も求められるといいます。「絵本専門士に求められる、さまざまな領域の知識は、優れた読み聞かせの基盤となり、絵本や子供に関する知識だけでなく、子供たちの関心を引きつけ、読み聞かせの内容をどう子供たちに伝えるかという技能も大切です」と、2つ目に求められる能力を強調。子供は注意散漫で読み聞かせ中に手遊びをするケースが多く、「読み聞かせは、読み手が何となく喋るだけでは十分でありません。子供たちに、読み聞かせを集中させるための環境を整えなければならないでしょう」としました。
 3つ目に必要な能力として、絵本の世界を捉え、それを味わい伝える豊かな感性を挙げました。感性はたくさんの経験や体験により、ゆっくり醸成されるもので、すぐに身につくものでは無いとしながらも、「子供たちの豊かで魅力ある人格の形成を促すためには、専門士自身が豊かな感性を備えてなければなりません。この意味で、感性も中心的な能力と位置付けています」との事。

絵本は想像力や言語力を育む

さらに、絵本専門士に求められる資質・能力には、知識・技能・感性という3カテゴリーに加え、「コミュニケーション力など6つの細かなスキルがあります」と指摘しました。6つのスキルのうち、選択力は子供の発達段階に応じた絵本を選択する力、企画力は読み聞かせ会など事業を企画、実施する力などと定義しているとのこと。これらのスキルが有機的に作用することで、「子供たちの総合的な人格形成につながります」といいます。
 続いて、桑山課長は、絵本が子供の生育発達の過程で果たす役割について説明しました。
 第一に、絵本は親子間でのコミュニケーションを円滑にするツールになっているといいます。絵本の読み聞かせは、子供たちに安心感を与え、相互のコミュニケーションを支える架け橋になっているとのこと。絵本は想像力や言語力を育む効果もあるといい、「子供たちは物語を聞く中で次の展開を思い描きます。これは、絵本は話を聞いて理解するプロセスの中で、想像力を育んでいるのです」としました。

絵本専門士に望まれる主な
資質・能力

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中央の3つの要素を中心に「選択力、コーディネート力、企画力、コミュニケーション力、表現力、指導力」の6つが加わり発信できる技能を有する資格が絵本専門士

桑山課長からのご質問で「絵本とは何でしょう?」の問いに、
私は「遊び、おもちゃのようなもの、初めて触れる知識」と言いましたが、 絵本専門士の國定さんは「心の栄養」、末原係長は「親との触れ合い」と、心を育む事であり、親とのコミュニケーションツールとして絆を深める事であるなと、さすがの感性と感心してしまった場面でした。
このような温かく本質的に大事な感性(心)を持つ方がいて、そのような方を育てる為の機関なんだなと思い、皆様にも知ってもらいたいです。皆様は「絵本とは?」どのようにお答えになりますか?考えるだけでも楽しいですね♪

子どもたちにとって絵本とは

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ここまでのお話しで「絵本」が大切で良さそうな事が分かったと思いますが、実は、人の意識・能力が幼児期や小学校低学年に読み聞かせしてもらうと、青年期以降の意識・能力が高いという事が、国立青少年教育振興機構が実施した調査研究結果で明らかになっています。

(意識・能力とは=「未来志向」「社会性」「自己肯定」「文化的作法・教養」「論理的思考」等)

意識・能力とは様々事がありますが端的に一部紹介しますと
・人を思いやる気持ち
・社会ルールを守る意識
などの社会性が高い。

・コミュニケーションスキル
・礼儀、マナースキルが高い

・未来志向、社会貢献奉仕などの意識が高い

と就学前から中学時代にかけて読書活動が多いか少ないかで違いがあるようです。

このような事は、人生を豊かにしてくれる大切な要素です、全国のママパパは一度考えてみてはどうでしょうか?
ご興味のある方は、国立青少年教育振興機構より、この調査結果資料を頂いていますので見てみてください。(余談ですが、お手伝いは道徳観、正義感、自己肯定感を育むという調査結果もありますよ)

子どもの頃の読書は、人生を豊かにします。

子どもの頃の読書活動が多い大人ほど、未来志向や社会性などの「意識・能力」が高いことがわかりました。また、子どもの頃に読書活動が多い大人ほど、ボランティア活動に参加している人が多い傾向にあります。

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「意識・能力」に関する質問項目例

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調査結果はP2
https://www.niye.go.jp/files/items/1335/File/dokusyo.pdf

読書はコミュニケーション能力の基盤となります。

子どもの頃から、本に親しむことは豊かな人生を切り拓く上でとても大切です。特に絵本や読み聞かせなどは子どもたちの情操を育み、考える力、コミュニケーション能力、社会性などを養います。

子どもの頃(就学前から中学時代)に読書活動が多い中学生や高校生ほど、現在も人を思いやる気持ちや社会のルールを守る意識などの社会性が高い傾向にあります。

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読書をすることが多い子どもほど、コミュニケーションスキルや、礼儀・マナースキルが高い傾向にあります。

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また、子どもと同様に、子どもの頃の読書活動が多い大人ほど、未来志向や社会性などの意識・能力が高い傾向にあります。

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こちらの調査結果はP4から
https://www.niye.go.jp/files/items/1335/File/dokusyo_tetsudai_sotoasobi.pdf