ラウロアンホ酢酸Naとは?効果・効能や安全性について解説

ラウロアンホ酢酸Naとは?効果・効能や安全性について解説

シャンプーや洗顔料、ボディソープなどに用いられる成分として、ラウロアンホ酢酸Naというものがあります。両性界面活性剤としてメジャーな存在であることから、現在も多くの製品に採用されており、赤ちゃんの肌に触れる機会がないとも限りません。
そこで気になるのは、ラウロアンホ酢酸Naが人体に何らかの悪影響を及ぼす可能性があるのか、安心して使用できるのかという点です。科学的根拠の有無についても触れながら、効果・効能を含むラウロアンホ酢酸Naの特徴を隅々まで解説していきます。

ラウロアンホ酢酸Naとは

ラウロアンホ酢酸Naは、高級脂肪酸の一種であるラウリン酸と、アルキルイミダゾリンという成分を合成することで得られる、両性界面活性剤です。長くイミダゾリン型として扱われた歴史を持ちますが、1990年代に主生成物がグリシン型であることが判明し、現在はグリシン型として扱われています。
pH値によってアミノ酸型が変化し、中性領域では両性界面活性剤となる一方で、塩基性領域では陰イオン界面活性剤となります。さらに酸性領域では陽イオン界面活性剤としての性質を示すという特徴を持ち、万能性の高い成分であることがわかります。

ラウロアンホ酢酸Na

ラウロアンホ酢酸Naはどんな化粧品に含まれている?

ラウロアンホ酢酸Naは洗浄剤、起泡剤、あるいはヘアコンディショニング剤としての役割を果たします。このような事情から、使用される化粧品はリンスオフ製品(洗い流す化粧品)がほとんどです。具体的にはシャンプーやボディソープ、洗顔料として用いられています。
とくに活用されることが多いのがシャンプーMです。大人用の製品だけではなく、赤ちゃんが使用する製品に使用されることもあります。目に入る可能性のある性質の成分に多く使用されますので、後述する安全性について深く知り、正しい使い方をすることが重要です。

ラウロアンホ酢酸Naが含まれる化粧品

ラウロアンホ酢酸Naの効果・効能

ラウロアンホ酢酸Naには、シャンプーなどの製品に多用させることにうなずける効果・効能が非常に多く詰まっています。起泡や洗浄という効果はもちろんのこと、一部の界面活性剤を可溶化したり、刺激を緩和したりする効能も含まれることが特徴です。それぞれの作用を詳しく見てみましょう。

非イオン界面活性剤との相乗効果で強い起泡・洗浄効果を発揮する

ラウロアンホ酢酸Naは、陰イオン界面活性剤との相乗効果により強い起泡・洗浄効果を発揮します。本成分は対硬水性という面で若干の不安があり、それを補うために陰イオン界面活性剤が併用されることが普通です。なお、当成分はコカミドプロピルベタインとほぼ変わらない起泡・洗浄効果を持ちます。

非イオン界面活性剤との相乗効果で強い起泡・洗浄効果を発揮する

非イオン界面活性剤を可溶化させることができる

ラウロアンホ酢酸Naの特性として、非イオン界面活性剤を透明に可溶化させるというものがあります。可溶化とは、油などを透明な形に変えて水に混ぜる作用を示す言葉であり、ラウロアンホ酢酸Naの働きによって、非イオン界面活性剤を含む化粧品の完成度を高めることが可能です。

非イオン界面活性剤を可溶化させることができる

陰イオン界面活性剤の刺激性を緩和させられる

併用荒れる陰イオン界面活性剤の中には、肌に強い刺激を与えることが危惧される特性を持つ成分も存在します。そういった成分を含む製品に対し、一定量のラウロアンホ酢酸Naを添加することによって刺激を緩和させ、肌へのダメージが生じない製品を生み出すことが可能です。

陰イオン界面活性剤の刺激性を緩和させられる

コンディショニング剤としても活用されている

シリコーンなどの成分を取り込みながら髪の毛に付着させ、滑らかさやツヤを出す成分のことを「コアセルベート」と呼んでいます。コアセルベートは陰イオン界面活性剤と両性界面活性剤、そしてカチオン化高分子という3つの成分で産生されるため、それらの成分と絡み合う本成分はコンディショニング剤としても活用されます。

ラウロアンホ酢酸Naの安全性

ラウロアンホ酢酸Naは、1960年代から頻繁にシャンプーなどの成分として活用されてきました。現在も多くの製品に本成分が使われており、アレルギーは重度の皮膚刺激といったネガティブな問題が発生している形跡はありません。
また、外原規2006規格をクリアした成分が収載される「医薬部外品原料規格2006」にも収載されています。これは厚生労働省によって一定の安全性が認められた成分として解釈もでき、安全と判断することが可能です。ただし、以下の点には若干の注意が必要です。

厚生労働省によって一定の安全性が認められた成分

ヒト試験や動物試験による有効性を伴うデータが存在しない

ラウロアンホ酢酸Naは長く使われてきたごく一般的な成分ですが、これまでに有効性を確認できるヒト試験・動物試験が実施された経験がありません。本成分を安全と判断する根拠は、あくまでも「過去にトラブルの報告歴がないから」という実績に依存するというのが正直なところです。
具体的には、皮膚刺激性・アレルギー性・眼刺激性といった、可能であれば知っておきたい情報に関する研究データが全く存在せず、詳細は不明です。ただし、類似する成分の試験結果を鑑みて判断すれば、すぐに洗い流すリンスオフ製品として使用される上では、とくに危険性はないと判断できます。

ヒト試験や動物試験による有効性を伴うデータが存在しない

ラウロアンホ酢酸Naを使用する際の注意点

ヒト試験等による有効性のある実験データが存在しないことは懸念すべきポイントです。しかし、それ以外にはとくに使用上の注意点は見当たりません。その他の界面活性剤と同様に、目に入った際には素早く洗い流すことを徹底すれば、安心して赤ちゃんにも使用できる成分と考えて問題ないでしょう。

まとめ

ラウロアンホ酢酸Naは、シャンプーなどに含まれることが多い界面活性剤であり、陰イオン界面活性剤と併用することで強い起泡・洗浄効果を発揮します。それ以外でも、その他の刺激性を伴う成分の緩衝材となり、ダメージを軽減させる役割に期待できます。
安全性に関しては、ヒト試験等の有効な結果を示すデータがなく、不透明な点があることは確かです。一方で長い使用歴を持ち、その間にトラブルがないことや、外原規2006の規格をクリアしていることから、老若男女が安心して使用できる成分であると断定できます。