トコフェロールとは?効果・効能や安全性について解説

トコフェロールとは?効果・効能や安全性について解説

トコフェロールという言葉に聞きなじみはないかもしれませんが、実はこれは「ビタミンE」を表す言葉として使われています。サプリメントなどで摂取する栄養素というイメージが強いトコフェロールですが、実は身近な化粧品にも使われることが多い素材です。
ビタミンEという名前でもおなじみのトコフェロールは、化粧品成分として使用するとどのような効果・効能に期待できるのでしょうか。肌につけた際の安全性についても触れながら、詳しく解説します。

トコフェロールとは

トコフェロールは脂溶性の有機化合物であると同時に、トコールのメチル化誘導体でもあります。冒頭でもお伝えしているとおり、世間一般には「ビタミンE」という名前でおなじみの成分です。化粧品として使用される際にトコフェロール、医薬部外品として使われる際にはdl-a-トコフェロールなどと表示されます。
ビタミンEは、ビタミンを含む合成飼料を食べたラットが不妊症になることがわかり、その原因を解明する過程の中で発見されました。1922年に、ラットの不妊解消に対してレタスが有効であることを突き止め、そこから抽出した成分のことを「ビタミンE」と呼ぶようになったのです。
トコフェロールという言葉は、ビタミンEが発見された14年後に誕生した造語です。出産を表す「トコ」、力を与えるという意味の「フェロ」、そしてアルコールを意味する「―ル」を組み合わせた言葉として使われるようになったのがトコフェロールだといわれています。

トコフェロール

トコフェロールはどんな化粧品に含まれている?

詳しい効果については後述しますが、トコフェロールから期待できるのは抗酸化作用です。化粧品などの劣化を防ぐ効果を持つことから、数々の化粧品成分として採用されています。代表的なものでいえば、メイクアップ化粧品やボディケア・ハンドケア製品、シャンプーなどが挙げられます。
赤ちゃん用の製品にトコフェロールが使われることはあまりありませんが、その正体はビタミンEであることから、口に入れたとしても害がありません。こういった特性にも注目が集まり、歯磨き粉などの成分としてトコフェロールが採用されることも珍しくありません。

トコフェロールが配合される化粧品

トコフェロールの効果・効能

トコフェロールの効果は抗酸化作用ですが、さまざまな場面でその役目を果たします。化粧品成分としてビタミンEはどのように作用しているのか、項目別に詳しくご紹介します。

SODやグルタチオンを増やして抗酸化作用を生む

トコフェロールには、SODやグルタチオンを増やす作用があります。SODと還元型グルタチオンには、互いに抗酸化作用が認められており、この成分を増やすことが皮膚の酸化防止につながると考えられます。そのため、トコフェロールは強い抗酸化作用を生み出す元としての機能に期待できるのです。
SODと還元型グルタチオンの抗酸化作用については、1998年にカリフォルニア大学で行われた実験によって有効性が認められています。この実験では、トコフェロールを5mg使用した結果、マウスのSOD活性が30%、グルタチオンが50%増加するという目覚ましい結果が確認されました。

SODやグルタチオンを増やして抗酸化作用を生む

紫外線による影響を受けた肌にも抗酸化作用をもたらす

紫外線は、皮膚を酸化させる大きな要因の1つです。紫外線を受けた肌は、活性酸素の一重項酸素と資質が結合しやすくなり、過酸化脂質の産生をアシストしやすくなります。これを防ぐための成分として知られているのがグルタチオンペルオキシダーゼです。
先ほどと同じカリフォルニア大学の研究によると、紫外線を浴びる24時間前にトコフェロールを塗布することによって、グルタチオンペルオキシダーゼの減少を抑える効果が認められています。トコフェロールは紫外線に対しても強く、あらゆる場面で抗酸化作用をもたらす成分として重宝されているのです。

紫外線による影響を受けた肌にも抗酸化作用をもたらす

酸化防止剤として期待できる

トコフェロールは、そのほかの成分の身代わりとして酸化するという特性を持っています。化粧品成分の中に参加しやすいものが含まれているという場合に、トコフェロールを同時に配合すると、トコフェロール以外の酸化を防ぎやすくなるのです。このため、トコフェロールは酸化防止剤としても期待できます。

酸化防止剤として期待できる

トコフェロールの安全性

トコフェロールは、医療上の有効性と安全性の基準をクリアした成分が収載される日本漢方局と、医薬部外品原料規格2006の両方に収載されています。さらに10年以上にわたって継続的に使われているため、安全性については問題が見当たりません。
皮膚刺激性についてはヒト試験も実施されていますが、健康な状態の肌を持つ人物に対する試験では、強い刺激が認められた被験者はいませんでした。大人はもちろんのこと、赤ちゃんに対して化粧品成分として利用しても、安全に使用できる成分と判断できます。
一方で、眼刺激性については、動物試験によって軽微な刺激が認められています。ヒト試験が行われていないため詳細は不明ですが、目の中に入れると充血や痛みなどの問題が現れる可能性が高いため、使用方法に関してはある程度の注意を払う必要があるでしょう。

赤ちゃんに対しても安全に使用できる成分

トコフェロールを使用する際の注意点

健康な状態の肌に対してトコフェロールを使用しても、皮膚刺激やアレルギーなどの問題は見られません。しかし皮膚炎を有する患者に対してパッチテストを行った際の結果を見ると、わずかながら陽性反応が見られる確率が上がることがわかっています。
1985年に行われた実験では、4,887人に対する試験によって、12名のアレルギー反応が確認されています。決して高い陽性率ではありませんが、赤ちゃんに使用する際には念のためパッチテストを実施するとよいでしょう。

まとめ

トコフェロールは「ビタミンE」としておなじみの成分であり、強い抗酸化作用に期待できます。製品の劣化を防ぐ効果を持つため、シャンプーからメイクアップ化粧品に至るまで、多くのアイテムにトコフェロールが使用されています。
皮膚炎を有する方の使用や、眼刺激性については一定の注意が必要ですが、一般的な使用方法で用いる場合にはとても安全な成分です。赤ちゃんから大人まで、安心して利用できる成分として評価できます。

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