取材・相談してきました!

第22回では、「子育てしやすいまち」を目標に、
官民が協力して子育て支援の充実をはかる新宿区を取材してきました。

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職場、住居、保育施設の距離が近く
ワーク・ライフ・バランスを
実現しやすい環境で
子育て世代にもメリットいっぱい!

世界有数の繁華街を擁しながら、大学や専門学校が集まる学生街、歴史が残る街並み、閑静な住宅街、国際色の色濃いエリアなどさまざまな顔を持つ新宿区。住み、働き、学び、楽しむことができる、魅力いっぱいのまちです。
新宿区では子どもたちが健やかに自分らしく成長していけるまちづくりを目指し、「新宿区子ども・子育て支援事業計画(第二期)」を推進しています。

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新宿区役所近くの新宿中央公園は、遊具コーナーや水遊び場、芝生広場など親子で楽しめる施設が充実。緑も豊かで、まさに都会のなかのオアシス (画像提供:新宿区)

計画の基本目標は、「子育てしやすいまちの実現」。この達成度を測る指標として、実際に「子育てしやすいと思う」区民の割合を数値目標に掲げています。

平成30年度の調査時には、就学前児童保護者で59.3%、小学生保護者で61.9%でしたが、令和6年度の計画最終年度にはともに65.0%まで引き上げることが目標です。保育園の待機児童解消問題にも力を入れており、計画の詳しい内容について、新宿区子ども家庭課管理係の寺田係長に教えていただきました。

「計画では“子育てコミュニティタウン新宿”を総合ビジョンとして掲げています。
自分の子育て経験を活かしながら他人の子育てを応援する、そんな『子育て』をきっかけとした出会いと交流が生まれるまち。さらに、豊富なメニューの中から自分に合った子育て支援サービスが選択でき、ワーク・ライフ・バランスが一層推進され、誰もが子育てを楽しみながら生き生きと暮らせるまち。これが、新宿区が目指すべきまちの姿です」(寺田係長・以下同)

計画策定にあたり、さまざまな取り組みが設けられています。そのなかから、新宿区ならではの特色あるものをいくつかご紹介します。

令和4年度よりさらに充実! 
産前産後支援事業

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産前産後に家事や育児の手伝いが必要な家庭へ、産後ドゥーラまたはヘルパーを派遣。保護者の精神的・身体的負担を軽減し、産前産後の生活を支援する事業で、対象家庭は1時間あたり1000~1500円の少ない負担でサービスが受けられます。

これまでは0歳児がいる家庭を対象としていましたが、令和4年度からは多胎児を育てる家庭や、ほかに4歳未満の兄姉がいる家庭は、対象を2歳まで引き上げて支援対象を拡大。さらに、インターネットから登録可能な「電子申請」の受付も始まり、より利用しやすくなりました。

【単胎児家庭の利用可能期間・利用上限時間数】

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※年齢区分の枠を越えた時間の繰り越しはできません。
※対象時の誕生日の時点での兄姉の年齢によってサービスの利用上限時間数が決定されます。

【多胎児家庭の利用可能期間・利用上限時間数】

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※三つ子以上は一人当たり30時間がプラスされます。
※年齢区分の枠を越えた時間の繰り越しはできません。

保育園の待機児童は二年連続
ゼロを達成

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多岐にわたる保育事業を展開し、保護者の多様な働きかたを支援 (画像提供:新宿区)

令和4年12月時点で、区内に認可保育所を区立12所(うち2所は公設民営)、私立52所、認定こども園を区立10所(幼保連携型3所、保育所型7所)、私立8所(すべて保育所型)を設置。令和3年4月に保育園待機児童0人が実現し、令和4年4月も引き続き0人となりました。
「平成27年4月の時点では、待機児童は168名でした。需要予測に沿って計画的に保育所等の整備を進めてきた結果、現在は2年連続で待機児童ゼロを達成できています。今後も人口推計や地域の保育ニーズを踏まえつつ、着実に待機児童対策を行いたいと考えています」

学童クラブ以外でも、
放課後の子どもの居場所づくりを

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区立小学校(29校)全校で、「放課後子どもひろば」を実施。スタッフの支援のもと、子どもたちが自由に集い、自主的に活動する自由な遊び場と体験プログラムの提供の場です。
学童クラブは区運営の29か所と民間運営の3か所があり、区の学童クラブでは小学3年生までと配慮を要する6年生までの児童は定員を超えていても受け入れています。定員を超える利用希望のある学童クラブの近隣の区立小学校では、「放課後子どもひろば」のほか、学童クラブの機能を付加した「ひろばプラス」を実施。保育士等の資格がある専任職員と支援者が常駐し、放課後の児童の居場所を提供しています。
「これらの事業を展開することにより、各家庭の事情と子どもの成長に応じ、放課後の子どもの居場所が幅広く選択できるしくみが整えられています」

子育て支援団体の活動を
楽しく伝える「新宿子育てメッセ」を毎年開催

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10年以上続く「新宿区子育てメッセ」では、毎年楽しいイベントを開催 (画像提供:新宿区)

区内で活動するさまざまな子育て支援関連団体の取り組みの発表や交流、情報交換の場として、誰もが参加できる「新宿子育てメッセ」を毎年開催しています。
令和4年度の第12回メッセは、新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインイベントと区内数か所でのミニイベントによるハイブリッド開催となりました。企画運営は毎年、「新宿子育てメッセ実行委員会」が中心となって行います。

区独自の基金で
子どもたちへの支援活動を応援

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平成28年4月に設置された「新宿区子ども未来基金」。区民や企業等からの寄付金を基金として積み立て、子どもの成長を支援する「学習支援」や「子ども食堂」など、区民等の自主的な活動に対し助成を行います。
「令和4年度からは、基金を活用したコンサルティングによる支援活動も始まりました。これから活動を始めたい人や、すでに活動を行っていて人材確保や資金繰りなどのアドバイスを受けたい人を対象とし、専門的知識を有するコンサルタントが支援します。子育てを支援する地域の活動が、より一層活発になるよう願っています」

このほかにも区では、子育て世帯が区内で民間賃貸住宅を住み替える際の費用負担を軽減する「次世代育成転居助成」や、子世帯とその親世帯が区内で新たに近居または同居する際の費用負担を軽減する「多世代近居同居助成」などの制度を設けています。
どちらも募集数には限りがありますが、子育て世帯の居住環境の改善や、区内定住を計ることを目的としています。

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これまで紹介してきたさまざまな情報については、新宿区の子育て応援ポータルサイト「はっぴー子育て」からも確認できます。行政はもちろん、民間の情報も含め、子育てに役立つ各サイトへ迅速にアクセスできるポータルサイトです。
https://shinjuku-city.mamafre.jp/

おもに妊娠期から就学前の子どものいる家庭へ向けた情報発信として、「新宿はっぴー子育てガイド」を毎年作成。区や民間の子育て支援情報や、お出かけマップを掲載しています。母子健康手帳の交付時に配布するほか、区役所本庁舎2階、子ども家庭課でも配布しています。

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https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/file03_07_00011.html

スマートフォンアプリ「しんじゅく子育て応援ナビ」の無償配布も行っています。スマートフォンのプッシュ通知機能により、妊娠期や乳幼児健診のお知らせ、講座の案内などを配信。「子育て応援ショップ&マップ」により、子ども用トイレや授乳スペース等の設備が整った店舗や、子ども連れへの割引サービス等を提供する店舗等の情報も検索できます。
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/kosodate_map.html

小・中学生の子どもがいる家庭には、学校を通じて「新宿区子育て支援施策ガイド」を毎年配布しています。支援を必要とする家庭が、学習支援や経済的支援などの情報を確実に得られるよう、外国語版の電子ファイルも区のホームページで公表。英語・中国語・韓国語に加え、令和4年度は新たにミャンマー語版が作成されました。区役所本庁舎2階、子ども家庭課でも配布しています。
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/kodomok02_002088.html

保育園入園希望者に対し、入園申し込み開始の11月に合わせ、「しんじゅく保育施設ガイド」を毎年発行しています。
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/hoiku01_002081.html

ひとり親家庭へ向けた「新宿区ひとり親家庭サポートガイド」も毎年作成しています。
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kodomo/index18_01.html

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行政と民間が協力し、子育て支援に力を入れる新宿区。
取材を通じて、職場と自宅の距離が近く、短い通勤時間が魅力な「職住近接」と、保育施設や学童施設と自宅の距離が近く、安心して子育てできる「育住近接」の、どちらもかなえやすいまちだと感じました。区では今後も「子育てしやすいまち」への実現へ向け、引き続き計画を推進していくとのことです。

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